night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

「カミーユ・アンロ 蛇を踏む」@東京オペラシティアートギャラリー 12/15

 不思議な展示だった。カミーユ・アンロとはフランスの現代アーティストだそうだ。

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 大災害を思わせる

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 若手作家の展示をしている“project N"では、山田七菜子さんという作家の強烈な油彩が。

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 オペラシティのすり鉢の下では、人体像がクリスマスツリーを見上げる格好に。

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坂本真綾 LIVE TOUR 2019「今日だけの音楽」@ハーモニーホール座間 大ホール 12/8

 坂本真綾さん、新譜『今日だけの音楽』をリリースして、コンサートツアーが始まりました。今回は東・名・阪+大晦日東京国際フォーラムでカウントダウンライヴですが、ぼくは初日のみ参戦です。

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 この日はファンクラブ限定公演になっています。“ハーモニーホール座間”こと座間市立市民文化会館は、過去にも坂本さんのライヴで使われていたと思いますが、ぼくは初めて訪れました。ぼくの地元からだと座間はすぐ近くな感覚ですが、かといって土地勘があるわけでもなく、ホールの最寄り駅が小田急の座間ではなく相武台前であることもやっと前の週くらいに調べて知りました。──相武台前駅からは歩いても15分か20分程度です。

*

 新譜についているショートムービーのイメージの、朗読入りのSEから始まり、ステージの紗幕に大きく映像が投影されました。

 このムービーのディスク、実はあまりよく見ていなかったのですが、山の中の廃道のようなところや赤い鉄橋を坂本さんが歩いていたり、砂浜に置かれた奇妙な白い直方体の上に乗っていたり…(これ、ロケ地どこなのかな、と思ったりします)。──2曲目では幾何学模様のプロジェクションが踊り狂い、後ろからの照明で坂本さんの影が大きく映る瞬間に息を呑みました。紗幕が上がると、映像にあった白い箱(「豆腐」(笑))が、舞台上にも。坂本さんは白地に銀のスパンコール的なものが一面に散った、タイトめなドレスで登場。

 新譜は様々なクリエイターから曲の提供を受けた、正直なところあまり統一感のない雑多なアルバムですが(川谷絵音作品がいかにも彼らしい、とか言われても、どういう音楽が彼っぽい音楽なのか知らないしね)、とがったところがないかわりにBGMとしては最適、という種類のアルバムだと思っています。──コンセプト・アルバム、ということについて、過去に『イージーリスニング』という名盤がありましたが、それについて、普段のアルバムではできないようなことや書かないような歌詞を書いた…と回顧しながら、「菅野よう子が私に飽きてたんだと思う。写真も菅野よう子だったが、ビキニの水着が透けるようなのを着させられて『回れー!回れー!』とか言われた」というMCに笑ってしまいました。

 後半の坂本さんの衣装は、古代ギリシャのトーガみたいなドレープの豊かな、くすんだ赤だけどスカートにはシルバーの縞が斜めに入った、不思議なドレス。『cloud 9』を歌って、みんなこれ好きでしょ、みたいなことを言っていましたが、あくまで静かなFC民に対して、もっと声出していいんだぞ!おまえらが率先して空気を作るんだからな!なんて煽っていたのが面白かったですね…(笑)

 短いギターのイントロが性急に入って、『ソラヲミロ』。急に来た過去曲に、腕を突き上げるオーディエンスもいましたね。ラレンタンドからのブレイクがかっこいい曲です──あれってドラムスが生でリズムを決めてるんでしょうか? ただ、ヴォーカルは正直キツそうで、ファルセットに転じるところがそれほどマイクにのってこない感じでした。そして『マジックナンバー』で我慢できない感じで立ち上がるオーディエンスでした。

 舞台上の例の白い直方体は、プロジェクションの的になったり、最後の曲『今日だけの音楽』では縦書きで文字が投影されていたりしましたが、そこの壁が実は引き戸が開き、光るドライアイスの煙の中に坂本さんが消えて行って、おしまいになりました。──アンコールではその直方体の上に坂本さんが現れて、へりに腰掛けたりするので、見ていてちょっとひやひやしましたが、ここで歌ったのが『青い瞳』だったんですね…これはすごいものを聴いた気がします。1stアルバムに収録されている、『天空のエスカフローネ』関連の曲ですが、これをライヴで歌うことなんてこれまであったんでしょうか?

*

・はじまり(SE)
・hidden notes
・ホーキングの空に
・お望み通り
・オールドファッション
・細やかに蓋をして
・火曜日
ディーゼル
・ユーランゴブレット
トロイメライ

・cloud9
・秘密
・序曲
・宇宙の記憶
・Buddy
・ソラヲミロ
・逆光
マジックナンバー
・光あれ
・今日だけの音楽

-encore-
・青い瞳
・ポケットを空にして

*

 前述のとおり、ぼくは今回のアルバムにはそれほど強い印象を受けておらず、またそれをフィーチャーしたライヴでしたが、不思議と、「よいコンサートを1本見た」という充実感のある日でした。タイトルチューン『今日だけの音楽』のアウトロの余韻に、引き込まれたようです。

「サウジアラビア」@横浜ユーラシア文化館、「ミュシャ展」@そごう美術館 12/7

 横浜をぶらぶらしてきた。まず根岸線関内駅から歩いて10分くらい、横浜ユーラシア文化館へ。

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横浜ユーラシア文化館

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 企画展「サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年」を開催中。黒いベールに不思議な仮面をつけた人物、ちょっとぎょっとするが…、片倉もとこ氏という文化人類学者が、1960年代から、現地の女性たちのコミュニティに入って調査を続けていたそうだ。すごい人がいたのだなあ

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 こんな鮮やかな衣装も着ているのね。

*

 横浜駅に移動して、そごうの上へ。

そごう美術館>ミュシャ展 運命の女たち

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 若いころの素描とかから、すでにものすごくしっかりした絵なのだよね…。1890年代のパリで開花しちゃった時期の、カレンダーや雑誌などの印刷物(“ビザンティン風の頭部”や、花の連作、四季の連作など)が目を引いたけれど、娘のヤロスラヴァを描いたというスラヴ叙事詩展のポスターや、『スラヴィア』とかが好き。わりと晩年になってからの、友人の娘だというエリシュカを描いた油彩が展示されていて、もはやパリ時代の画風とはまったく違い、力強さがある。──ほとんど褪色したようなパステル画に、ほのかに見える表情が、幻のように見えたのが、印象に残った。

11/30(土)鋸山(2)

 展望台で休憩、食事してから、再び歩いた。

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 また石切り場が現れた。もはや全容を写真に収めるのが難しい、反響板つきのコンサートステージのようになっている。

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 蔦のからみ具合…夏場なら緑に覆われているのかな?

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 字を彫っていた途中で放棄されたのだろうか。

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 房総半島、山は高くはないのかもしれないが、深いのだなあ、と実感する。

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 この階段がかなり厳しい!

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 あの岩はすぱんと割れて倒れたりしないのか。

 富津市の金谷から登ってきたが、尾根の南側は鋸南町で、“日本寺”という寺院の境内になる。600円の拝観料が必要だ。料金所の老人はイラスト地図を渡して、複数組の観光客をまとめて相手に、説明の口上を始め、5分くらいじっとその話を聞くことになった。手元の地図を見させたいのか、背後に立っている看板を見させたいのか、自分が手を指す方向を見させたいのか、なかなか困った。

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 「百尺観音」だそうだ。

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 「地獄覗き」というスポットで、行列ができていた。並ばなかったけど。

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 大仏だ。江戸時代に作られたものだという。岩肌に彫り出されているものなので、これも磨崖仏と呼んでいいのだろう。薬壺を持っている、薬師如来だが、薬師如来の大仏って珍しいかも?

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 ちょうど航空路に当たっているらしく、大仏の頭上を飛行機がしばしば通る。羽田に降りるときにこのへんを通るのかな。

*

 ここからは山の反対側、保田の方に、歩いて下りることにした。日本寺もそちらが“表参道”なのだそうだ。

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 さざんかと、つわぶき。そうか、つわぶきは冬に咲く花だったか。

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 山門を出る。──森の中の参道を下りていくが、木々の間に、小さな鹿のような、それにしてはずんぐりとした、不思議な生き物を一頭見かけて、驚いた。すぐに見えなくなってしまったが…、あれはきっと、房総半島に増えていると聞く、キョンだったのではないか。

*

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 人里に下りてきた。千葉らしい風景になってきた。

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 ああ、房総の海岸だなあ、と思う路地を抜けて…、

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 保田駅に着いた。この時点で13時50分頃だった。

 保田は、内房線で浜金谷の隣の駅である。ここまで歩いてきたが、結局は列車で浜金谷に戻って、フェリーで帰ることになる。列車の本数は1時間に1本程度だが、14時12分という列車があった。

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 待ち時間に、歩いて5分くらいの砂浜で、海を見てきた。

*

 浜金谷駅も、港からそれほど遠くはなく、列車を下りて駅から速歩きすれば5分くらいでフェリー乗り場に着けそうなのだが、さすがに14時20分というフェリーには間に合わない。次のフェリーは1時間後だ。──フェリー乗り場の隣には大きな物産店舗ができていて、適当に海産物の買い物などをしていた。国道沿いにはファミリーレストランもあるし、久里浜港に比べると金谷港は時間をつぶしやすい。

 そういえば、今回、海岸沿いの金谷や保田の町で、ほんの少し歩いただけでも、屋根をやられてビニールシートをかけている家が、何軒も目についた。今年の台風では房総半島はすさまじい被害を受けたわけだが、こんなにあちこちの家が壊れてるとは…と、改めて驚いた。吹っ飛んだのがもしも自分の家の屋根の瓦だったら、と考えると、何が起きるのか、どこの誰に相談すればいいのか、直すとしてもいくらかかるのか、まずわからない。その苦労は想像もつかない。──日本の民家の屋根も、だんだんと未来の時代には、沖縄のようなコンクリづくりになっていくのだろうか、…などと考えた。

 15時20分のフェリーで久里浜へ戻った。帰りの船中でビールで乾杯したのは予定通りだったが、ぼくは金谷港ですでに一本空けてしまっていたという体たらくであった。

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 この日使った切符。京浜急行久里浜までの往復と、久里浜港までのバスと、東京湾フェリーの往復がセットになった割引切符だ。

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 浦賀水道は船の交通量の多いところで、フェリーの前をNYKの大きなコンテナ船が横切っていくのを感心しながら眺めていたら、遠くにはさらに大きなエバーグリーンのコンテナ船が見えて驚いたりした。


 

11/30(土)鋸山(1)

 房総の鋸山に登ってみようということで、朝も早くから横浜駅に集合した。早朝には氷が薄く張っていたような寒い朝だ。久しぶりに東京湾フェリーに乗るため、まず京浜急行の電車で久里浜へ行き、路線バスでフェリー乗り場に向かう。

 京急久里浜駅から東京湾フェリーまでのバスは、『久7』と『久8』のどちらかに乗ればよいようだ。経由が違うようで、今回は行きも帰りも『久8』に乗り、微妙に遠回りのようだがいずれにしても10分程度であった。学生時代、京急久里浜駅から東京湾フェリーまで、何度か歩いたことがあるが、なにも200円足らずのバス代をけちらなくても、と、今になってみると思う。

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 9時25分の東京湾フェリーに乗船。

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 日射しの強いソファ席でゆったり。

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 寒いけれど好天で、まさに雲ひとつない。富士山がくっきりと見えるし、沖合には伊豆半島の山々と、さらに遠くには伊豆大島も見える。40分間の航海で金谷港に着いた。

*

 金谷港から歩き始めた。コンビニに寄ったりしてから内房線浜金谷駅の前を通り過ぎ、金谷の集落を縫って、線路をくぐって少し行くと、登山道が現れた。──鋸山に登るには、ロープウェイと自動車道のほか、登山道がいくつかあるようだが、台風15号で大きな被害を受け、今は、「観月台」経由の「関東ふれあいの道」でしか登れないようだ。

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 いきなりこの登りだからなあ…

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 だが、少し上っただけで、金谷の町を見下ろして、すばらしい眺望なのだ。

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 木の根道になった。

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 いきなりの急な登りに、息が上がってしまい、少し休憩。屏風のような山容が、行く手に立ち塞がっている。

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 もともと盛んに石が切り出されていた鋸山では、こういった“樋道”で切り出した石を滑り下ろしていたそうだ。だけど、すごい斜度だけど…、本当にこんなところを落としていたのだろうか。

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 目の前に岩壁が現れた。なんだこれは!

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 石を切り出していた跡だ。これは驚いてしまった。なんだか荘厳でもあり、どことなく不気味でもある。人の手で、採石という産業によって、作り出された造形だ。

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 何かのマーク?

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 登山道が岩壁の方に導かれるので、本当にこっち?と訝りながら進むと、切通しがあった。岩肌に鑿の痕が模様のようについている。

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 池になっていて、なんと鯉が泳いでいる。水が湧いているとは思えない水たまりだけど、誰かが放してしまったのか…。

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 “地球が丸く見える展望台”に着いた。歩き始めてから1時間と少し。館山の洲崎から、伊豆大島天城山系、城ケ島など、よく見える。横浜のインターコンチネンタルホテルの特徴的な形が見え、羽田の風の塔の向こうにはスカイツリーがあり、長く伸びた富津岬の先には第一海堡と第二海堡東京湾に浮かんでいる。

15th Anniversary Minori Chihara Birthday Live ~Everybody Jump!!~ @ Zepp Tokyo 11/18

 今年は茅原実里さんのデビュー15周年記念の年、そしてお誕生日の11月18日(月曜日)にライヴです。平日なのに休みを取って、Zepp Tokyoに行ってきました。雨は上がったものの、風が強くて多少肌寒い日でした。荷物はショルダーポシェットだけにして、ライヴTシャツの上に、着てきたジップパーカを腰に巻いて、コインロッカーは使わずに、フロアへ。

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ダイバーシティじゃなくてこっちのZeppに来るのは久しぶりかも。18時30分開演。

 ぼくの整理番号は550番台、ここだとたぶん二千番くらいまで出していると思うので、まあ悪くもよくもない感じです。中盤の柵の前、ゼロ位置ではないにしてもちょっとだけ上手にずれたような場所を取りましたが、平場なので、前に背の高い人が来ちゃうとおしまい、という、微妙な位置でした。記念ライヴなのだから、スタンディングよりもちゃんとホールを取ってほしかったな…。しかも今回、「3時間超」になることがスタッフブログで予告されていたのです。どういうライヴになるのだろう?

15th Anniversary Minori Chihara Birthday Live ~Everybody Jump!!~

 ステージ背後の全面がスクリーンになって、冒頭から『純白サンクチュアリィ』のMVが流れ始めたので、瞬時に会場が温まりました。そして、その次に『君がくれたあの日』のセピア色の映像になったところで…、このライヴでみのりんがやろうとしていることを理解しました。まさかの、シングル全曲、発売順のセットリストだったのです。スクリーンは、MVを投影するだけではなく、ときおりステージ上の本人の映像も一緒に流して、当時と現在のみのりんが行き交う演出になっていました。

純白サンクチュアリィ
・君がくれたあの日
・Melty tale storage
・雨上がりの花よ咲け
Paradise Lost
・(MC)


・Tomorrow's chance
・PRECIOUS ONE
優しい忘却
Freedom Dreamer
・Defection
KEY FOR LIFE
・Planet patrol
・TERMINATED
・(MC)


Celestial Diva
ZONE//ALONE
SELF PRODUCER
この世界は僕らを待っていた
境界の彼方
FOOL THE WORLD
向かい風に打たれながら
・(MC)


会いたかった空
ありがとう、だいすき
・恋
・みちしるべ
・Remained dream
・(MC)


・エイミー


-encore-
Lush march!!
・Christmas Night (新曲)
・(バースデーサプライズ&茅原実里15周年プロジェクト発表)
・We are stars! (15周年記念新曲)
Freedom Dreamer

 1つめのブロックが『Contact』と『Parade』から、2つめが『Sing All Love』と『D-Formation』、3つめが『NEO FANTASIA』と10周年ベスト盤だった『SANCTUARY』、4つめが『Innocent Age』以降、『SPIRAL』と最新曲まで、…という構成になっていましたね。──こうして見ると、みのりんのライヴシーンの鉄板曲って、2010年までにリリースの菊田曲で、ほぼ完成されているんだな…。

 昔のMVが懐かしくて! 『Paradise Lost』のMV、あーこれ好きだったなあ、って…。これを見てた当時の自分のことをいろいろ思い出してしまいました。『Melty tale storage』の屏風ヶ浦の断崖や、『Tomorrow's chance』の新宿のビル街のMVなんかも印象深いですが、『会いたかった空』や『ありがとう、だいすき』とかは、こういうMVだったんだっけ、という気も。ぼくもまだ信心が足りないようです…。

 その、ステージ後ろに映されるMV、『Planet patrol』では、“競技かるた”のMVと、別ヴァージョンの『宇宙刑事みのりんポリス』が両方流れるという大サーヴィスぶりで、もはや情報量過多でどこを見ていいのかわからないし(笑)、吹っ切れすぎていて、オーディエンスからは何度も笑いが起きていました。──MCで、全然関係ない映像にしようと言い出したのは斎藤Pだった…と話し始めて、あの頃は茅原実里のバブル時代だった、と自ら言及していました。うーん、あの時代の勢いは、もう戻ってこないでしょうね、良くも悪くも。

*

 みのりんの衣装は、肩が開いた黒のトップスとミニスカートの上に、右半身に白のレース地が重ねられているもので、これまでの歴代いろいろな曲で表現してきた“黒みのりん”と“白みのりん”の融合ってことかな、と。──しかし、それよりも、最近のみのりんは髪形が変わって、前髪があるのです。もう10年以上、前髪なしロングのおねいさん風だったのが、急に前髪があるので、正直、誰だかわからなくなり(?)、まだ“まえがみのりん”を見慣れないんですよね…(笑)

 MCは短めで、ほとんどノンストップで2007年から2019年までの曲を走り切りました。──『エイミー』の前のMCで、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』の京都の舞台挨拶でのエピソードを話しながら、涙ぐむみのりんでした。

*

 アンコールで、メンバー紹介とともに、初めてバンドメンバーがしゃべりました。ギターの馬場さん、ヴァイオリンの室屋大先生、キーボードの須藤ケニーさん、ドラムスの岩田ガンタさん、ベースの岩切しんちゃん、というおなじみのメンバーです。──ケニーが爆弾発言的なことを言って、えっ、あっ、えっ、と思っていたら、みのりん自ら、「今年はサンキューな年ですから…」とか言い出し、「この年まで独身だとは思わなかった。私がびっくりしてます!」なんて言及していたので、これ大丈夫なのかな…と、こちらも微妙なカオになったし、なんか誰かと同じようなことを言い始めたなあ、なんて思ったりもしました。(?)

 アンコールで、こんど劇場公開される『サンタ・カンパニー』の主題歌を歌うということで、その新曲を披露してくれることになったのですが…わりと不思議なコードから始まる曲で、案の定、音程取れずやり直しに。背景の映像もやり直しに…。もう、みのりん、この手のやつで一発でうまくいったことある?(^^;

 まあそれはそうとして、この日のみのりんは、本編だけで26曲もほぼ一気に歌ってきて、かなり過酷なライヴだったと思いますし、特に最近歌う機会の少なそうな曲は、如実に練習不足が聴いてとれました。ちょっと歌唱が厳しいな、と思う瞬間がありましたが、終盤の『Remained dream』は、最近の曲だからか、非常に上手く、…練習量の問題だけではなく、みのりんの最近の声質や発声に、昔の曲が合わなくなってきているんだな、とも感じました。歌手として10年以上も過ぎれば、そりゃそういうことはあるだろうとは思いますけれど、でも観客は絶対に『Paradise Lost』を求めるし…、難しいところですね。

*

 そういえば、15周年記念ライヴと言いつつ、『HEROINE』からの曲は無しでした。アンコール中のMCのときに、「HEROINEはー?」と言っちゃったオーディエンスがいて、「ランティスさんと、やってきたという…」と若干おろおろと釈明するみのりんでした。うーん、どっちの気持ちもわかる(?)なんて。

 みのりんが「みんなにプレゼントがあります!ドン!」と後ろのスクリーンを振り返ったところで、サプライズバースデーに。美人マネージャのしーちゃんが、バースデーケーキを運び込んできて、みんなで記念撮影。──そして再度、ドン!と、ここからが新情報の発表ラッシュでした。盛りだくさんすぎて、その場では何が何やら、でしたが、
・写真集発売(ハワイで来月(FCツアーのとき?)撮影)
・楽曲のサブスクリプションサーヴィスがスタート
・来年2月・3月のFCイヴェントは6年ぶりのキャラソンライヴ
・ベストアルバム2を発売
・来年5/30に、“TACHIKAWA STAGE GARDEN”のこけら落とし公演でフルオーケストラコンサートを開催
・夏の河口湖ライヴ『SUMMER CHAMPION』を来年も8/1、8/2に開催
…ってところだったかと。

 Amazon MusicとかGoogle Play Musicとかのサブスクリプションサーヴィスに開放したのは、まあ過去曲はCD持ってるしね…とは思いますが、そういう時代になったんだなあ、と思いますし、新規のお客さんが集まればいいなあ、と…。“TACHIKAWA STAGE GARDEN”というのは、立飛にそういうイヴェントスペースが新しくできるんだそうですね。こういうところでイヴェントを組んでもらえるようになったのは、よかったですね。事務所移籍パワーかな…。サマチャンは例年通りの土・日に。来年はオリンピックもあり、時期をずらそうか、みんな来てくれるだろうか、という話も出たけれど、「みんななら来てくれるだろう」ということになった! ということでした。開き直りましたね…。これは行かなきゃいけないなあ。

 そしてもう一度、『Freedom Dreamer』でオーラス。完全燃焼でしたね。発射された金テープは、ぼくはギリギリ届かない距離でしたが、前のほうのお客さんから回してくれました。最後は、隣の知らない人とハイタッチ。これがみのりの現場!!(^^ ──「私のみちしるべは、みんなの笑顔です!」と言ってくれたみのりんみのりんのParadeは、まだ終わりませんね。

 終演は22時過ぎでした。平日のこの時間はさすがにちょっとへこたれます…。東京テレポート駅まで少し急いで、りんかい線の22時18分の電車に飛び乗って、新宿経由で帰宅しました。

正倉院の世界展 @東京国立博物館 10/14&11/16

 今年は東京で正倉院展がある!ということで、期待していた。──まずは、会期初日の10月14日の祝日、午後遅めに行ってきた。先日の台風のためか、国立博物館の敷地内も、木の枝が折れたようなところが少し目についた。

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東京国立博物館>御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」

 重々しい錠前と、奈良時代の古櫃から、展示が始まる。──螺鈿トルコ石が散りばめられて花のようになった“平螺鈿背円鏡”や、赤や黒に染められて鳥の紋様が描かれた聖武天皇象牙碁石に見入る。この鮮やかな色が、天平の時代から伝来してきた、本物だというのだから、驚いてしまう。光明皇后の願経は、東京国立博物館の所蔵だというが、紙こそ茶色くなっているものの、千年以上もよく残っているものだ。──“花氈”という、青い花が描かれた布地は、毛織物かと思ったが、これは、羊毛をすだれで巻きこんだりして、押し固めて作った、いわゆるフェルトなのだという。唐の時代のフェルト!

 香木のコーナーがあって、織田信長明治天皇が切り取ったという“蘭奢待”などが展示されていたけれど、香りがわからないと、ただのごつごつした木であり、なんだかなあ…という気も。──そして、後半は、“螺鈿紫檀五絃琵琶”が!

宮内庁>正倉院宝物検索>螺鈿紫檀五絃琵琶

 これが本物か…!と見入る。表面板は、ラクダに乗った人物とパーム椰子のような、中近東風の意匠。模造の製作のようすのVTRが流れていて、埋め尽くしている宝相華の紋様は、螺鈿や、玳瑁の裏から彩色するという技法で作られているということを知る。また、象牙でできた赤い撥というものが一緒に展示されていて、これは実際に使用された形跡があるのだという。模造で再現した琵琶を、ボロロン…と鳴らす音が、展示室に流れる。天平の音色である。──これはすごいものを見られた。

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 “螺鈿紫檀五弦琵琶”、これは明治時代の模造。

 深く感動したのは、展示の最後にあった、“塵芥”というもの。古い布や宝物が、時代とともにぼろぼろになり、その形を失っても、正倉院では、その切れ端や繊維に至るまで何一つとして捨てず、金属製品や繊維製品などをより分けて保存し、現代と後世の研究に資しるという営みを、続けているのだという。

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 “模造 螺鈿紫檀阮咸

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 この海老錠は本物なのだそうだ

*

 そして、11月14日(土曜)の夕方には、後期展示に行ってきた。夜間開館を狙い、先に東洋館を回って時間を見計らってから入ったので、待ち時間こそなかったものの、無理なく見られた初日とは一変して、場内はもはや大混雑になっており、まともに展示を見られる状態ではなかったのだけれど…。後期は、“螺鈿紫檀五弦琵琶”が帰った代わりに、“紫檀木画槽琵琶”が来ている。

宮内庁>正倉院宝物検索>紫檀木画槽琵琶 第2号

 赤っぽい絵柄は、騎馬の場面らしい。これも背面には鮮やかな花鳥紋が描かれている。

 そして、後期、何をおいても見たかったのは、ササン朝ペルシアから伝来したという“白瑠璃椀”だ。

宮内庁>正倉院宝物検索>白瑠璃椀

 薄い褐色の色味がついていることを初めて知る。──これ、展示ケースの後ろに回って、照明の光源の反対側から、視線を椀と同じ高さに落として見ると、切子を通した無数の光が輝いて見えて、本当に美しい。この見方、Twitterで見かけたのだけれど、たしかにおすすめだ。

「チェコ・デザイン 100年の旅」@世田谷美術館 11/10

 成城学園前駅からバスに乗って砧公園へ。展示期間の最終日に滑り込みで行ってきた。

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世田谷美術館>チェコ・デザイン 100年の旅

 展示は1900年代のアール・ヌーヴォーから始まる。…となるとやはり欠かせないのがミュシャのポスターデザインで、『ジスモンダ』や四芸術などが展示されていたけれど、アール・ヌーヴォーの時代に進んだ工業化や規格化に、ウィーン分離派が影響して、チェコキュビスムというのが生まれたという説明で、奇妙な強さを持った形の金属器などが面白い。──興味深かったのは、戦間期チェコの工業製品の質の高さ。美しく機能的な磁器や金属製品などが並んでいる。驚いたのは、写真をコラージュして使ったポスターや出版物など(写真はもちろんモノクロだが)で、そういう印刷物って当時としてはかなり先進的なものだったのではないかと思う(日本の戦前の出版物でそういう風に作られたデザインのものを見たことがないのだけど、あったのだろうか?)。チェコが当時の先進工業国だったという世界史的な知識はあったけれど、実際の工業製品を見たのは初めてだった。──チェコは1939年にドイツに占領(“ボヘミアモラヴィア保護領時代”と表現されていた)されるが、そんな困難な時代からも、グラスファイバー入りの美しい濁りガラスのボウルなどが展示されていた。戦後は東側になって、プラスティックな家電製品などが並んでいて、時代的にも、こういうものは昭和の日本にもあったな、という感じがしたけれども。

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 世田谷美術館のコレクション展も一巡した。──森芳雄の描く、顔がはっきりしない人物たち。人物が背景に溶け込んでいくようだ。柔らかい絵の具が弾けるような、難波田龍起の抽象画も、なんだか気に入った。

世田谷美術館>ミュージアム コレクションⅡ 森芳雄と仲間たち

ラウル・デュフィ展 @パナソニック汐留美術館 11/3

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パナソニック汐留美術館>ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン

 ラウル・デュフィという人について特に知識はなかったのだけど、以前に松江の島根県立美術館で見た、『ニースの窓辺』というふわっと明るい色合いの絵が好きだった。その絵も来ていて、再会できたのだけれど、この展示は、実は絵画作品の数は多くなくて、織柄やプリントなどのテキスタイル・デザインがたくさん展示されていた。布地のデザインはパターンの連続で作られることが多いようだけれど、神話をモチーフにした陰影のあるパターンや、ちょっとサイケデリックな色の取り合わせなどを、じっと見ていると、ちょっと目が回りそうになる。

「おかえり 美しき明治」@府中市美術館 10/23

 自転車で府中に行った。──展示の冒頭は、昭和33年に撮影された、日本の農村の人々の写真。古い時代に、ゆるやかに導かれていく…。

府中市美術館>おかえり「美しき明治」

 明治の日本にやってきた英国の画家が、東京、日光、富士山などの名所や、街道筋の何気ない風景なども描いていて、そういった作品が近年になって評価の対象になっているのだそうだ。

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 この展覧会のメインヴィジュアルになっている、紅花を摘む女の子の柔らかい微笑みの絵は、笠木治郎吉という人の水彩画だ。農村や漁村で働く人たちの姿を、鮮やかに描いた水彩画がいくつも展示されていた。──画面の中に水蒸気がたちこめる吉田博の絵も、空気が伝わってくるようで、すばらしい。水彩画ってすごいな! と見せつけられたようだった。

 面白かったのは、徳川慶喜が描いたという風景画。まるでバルビゾン派のようなのだ。昔のお殿様というのは、貴種のたしなみとして絵などものしていたらしいが、この人もその時代のものをちゃんと取り入れて、自分のものにしていたのだろう。