night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

2/2(金)福井へ

 休みを取れたので出かけることにした。午後、新横浜から新幹線『ひかり513号』の自由席で、15時01分に名古屋に着いた。


 在来線のホームできしめんを食べる。名古屋駅、ほとんど全部のホームにそれぞれきしめん屋さんがあるようだ。うまい。



 乗り換えるのは、15時48分発の、特急しらさぎ11号、金沢行き。これで福井まで行く。新幹線からの乗り継ぎで特急券を買ってあった。東京から、列車で福井に行くには、米原で新幹線から特急『しらさぎ』に乗り換えるのが最も使う人が多いやり方だと思うが、『しらさぎ』の半分くらいの列車は名古屋が始発になっている。──福井・敦賀には来月、北陸新幹線が金沢から伸びてくる。この、名古屋から米原・敦賀・福井を通って金沢まで行く『しらさぎ』は廃止されて、敦賀止まりに変わる。長距離の特急列車が飛び交っていた北陸本線も、いまが最後の姿だ。


 6両編成、そのうち自由席は2両。ぼくは指定席を取ってあったが、西日を浴びながら走る列車はがらがらに空いていた。在来線の東海道本線を特急列車で進むのも珍しい経験である。自分の乗った列車が岐阜や大垣に停まったのはいつ以来だろうか、などと考えているうちに、うたた寝してしまった。普通列車とは違う、新垂井経由のルートのはずだけど、よくわからなかった。

 米原では進行方向が逆向きに変わるとともに、後ろに3両増結したそうだ。北陸本線の特急が6両というのは少ないな、そんなに需要が減ったのか、と思っていたので、やはり米原からの方が乗客が多いのか、とちょっと安心(?)した。米原を発車してしばらくすると、連結部の通路を開ける作業が終わったらしく「6号車と7号車の間、通れるようになりました、お待たせいたしました」と丁寧に放送するのに感心した。──名古屋駅で買った“ひつまぶし巻き”を食べる。米原で座席の向きを替える活動(?)があるのがわかっていたので、それまで駅弁を開けずにいたのだった。

 ところで、ここまで、関ヶ原あたりでも、湖北のあたりまで来ても、まったくと言っていいほど雪を見ない。このあたりも雪のない土地ではないはずなのだけど、と思っていたら、さすがに余呉湖のあたりから風景が俄然寒々しくなってきて、国境の山越えにかかった。──それでも、敦賀を過ぎて北陸トンネルを越えて、福井に着いてみると、やはり、街にはまったく雪がなかった。2月のこの時期の旅行なのでわざわざブーツを履いてきたのだが、結局、このあとも、少なくとも街なかで雪を踏むことは一度もなかった。

*


 福井に着いた。17時58分。


 新幹線の開業を来月に控えた、福井駅。この日は駅からすぐのビジネスホテルに投宿する。



 話には聞いていたが、福井は恐竜が売りの土地であり、駅前にも恐竜がうごめいている。──この恐竜、首などが動くだけではなく、ぶおお、とか奇声を上げていて、これはちょっとやりすぎではないのかという気がする。それに、こんなシマシマ模様だとか、本当に学術的に正しい考証なのだろうか。


 路面電車もしずしずと駅前に入ってきた。


 福井は駅からすぐのところにお城の本丸が残っており、お濠の向こうの石垣の中に、福井県庁が建っている。城跡に今でも県庁があるというのは珍しい。ここ以外だと静岡の県庁が城跡にあるのを思いつくけど、そのほかにはなさそうだ。

*


 日本海側に来たのなら、おいしい海の幸を食べたい。しかし、カニが名物なのはわかっているけれど、カニは、一人で食べるものではないっていうか…。何がいいかな、と考えながら、片町という繁華街(金沢にも片町という繁華街があるが、福井にもある)に歩いて行った。──ある店に入り、品書きを見て、これだ、と思い、寒ブリのお刺身を頼んだ。ニュースによると、今年は寒ブリが豊漁なのだそうだ。食べてみると、これが、よく脂がのっていて、これまで食べたことがないほどおいしい魚だった(食文化や流通経路の違いもあるのかもしれず、関東ではあまりブリを刺身で食べないように思う)。塩をちょっとつけて食べるのが、魚自体の味を感じられて、おいしい。本当においしい魚のお刺身には、醤油なんてつけちゃだめだなあ、ブリってこんなにおいしい魚なのか、と感心してしまった。