night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

コモアしおつを見に行く

 河口湖からの帰り、中央本線の四方津(しおつ)で下りてみた。ここは山梨県上野原市。谷あいの駅から、山の斜面をずどーんと登っていく斜行エレヴェータと、その上にニュータウンがあるということで有名だ。──山の上のニュータウン、その名を『コモアしおつ』という。


 エスカレータもあるのね。止まってたけど。エレヴェータとどういう使い分けなのだろうか。


 ぐんぐん登って行く。この斜行エレヴェータは『コモア・ブリッジ』という。乗っている時間は4分くらいか。


 開発時の模型だそうだ


 『コモア・ブリッジ』の山頂側の駅。



 スーパーマーケットが1軒あり、そして住宅街が広がっている。


 ここは1987年から、積水ハウスが開発を始め、1991年から販売開始されたのだという。門柱に、シンボルマークと"GROWING TOWN COMMORE SHIOTSU"という文字の彫られたブロンズのエンブレムがはめ込まれている家が、いくつもある。開発が始まった頃の、新しい街をつくっていくぞ、という勢いのようなものが感じられる。──こういう雰囲気、例えばぼくの地元の町田市内でも、ほぼ同じ時代に分譲が始まった住宅街などで、今でも感じられる、時代の空気のように思われる。


 これがシンボルマークのようだ


 建ぺい率は60%らしく、意外に家と家の間が詰まってるのが気になるけれど。

 東京に通勤するには限界だの、ニュータウンは限界集落化するだの、口さがないインターネットではいろいろ言う人がいるようだが、郊外で生まれ育ち衰退する地元を見つめながら毎日都心に通勤する苦労を身をもって知っているぼくには、笑うこともできない。それに、ここを歩いてみると、たしかに管理が行き届かなくなったような家もゼロではないにせよ、住宅地としてのクオリティが維持されているし、それには多大なコストがかけられていることは容易に理解できる──そもそも『コモア・ブリッジ』の維持費も住民が負担しているのであって、ぼくのような部外者が物見遊山しているのは、それにただ乗りしているのである──。(公団ではなく)民間の開発で、郊外にちゃんとした住宅街が大規模に作られた、稀有な例だと感じた。

 ここの中古の戸建てが、例えば二千万円…いや、わからないけど、もっとするのかな…だとしたら、選択肢としてまったくありだろうし、新しく住む人はいるだろう。都心からの時間距離は否めないけれど、何もみんなが都心に通勤しているわけでもないし、八王子や立川ならもっと近いし、甲府に通う人だっているだろうし。


 ただ、若干のロストフューチャー感は、なくはなかった。