night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

フィリップス・コレクション展 @三菱一号館美術館 12/30

 この日は、神保町で野暮用を済ませてから、三田線で日比谷へ。早めに行かなければ、と思っていたこの展示、年末押し詰まった日になってしまったが、それほど混雑していなかったので、ひと安心した。三菱一号館は狭いので人が多いと大変なことになるんだよね…。

三菱一号館美術館>フィリップス・コレクション展

www.phillipscollection.org

 フィリップス・コレクションはウェブサイトで作品を共有している。

 米国のコレクターが生涯で集めた作品たちなのだそうだ。フィリップスさんとは、趣味が合うかも…。色合いの美しさが選択基準なのじゃないかな、なんて思う。ピエール・ボナールの晩年の作品、開いた窓から部屋の外を見ている絵や、南国の棕櫚の葉が大きく画面にかかっている絵など、見ていてすがすがしい気分になる。ベルト・モリゾの、やわらかい暖色の女の子の絵も、しみじみよかった。──かと思えばピカソがあったりして、これは…人だか何だか、何が描いてあるのかわからず、円いそれらしいものが描いてあるからまあ女性なんだろうな、うーん…、という感じの絵なのだけど、これもたぶん、ポイントは彩りなんじゃないかな、と…。原色で強い色彩だけど、不思議とバランスが取れているのだった。

www.phillipscollection.org

 一番好きなのを選ぶとしたら、この、デュフィのアトリエの絵。品の良いポップ。これ、青い壁は、おそらく、影の表現なのだと思うのだけど、それをこの色で描く感覚、すごいね。

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 三菱一号館まわりのライトアップ、きれい。

「国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア」@ Bunkamuraザ・ミュージアム 12/24

 モスクワからクラムスコイの『忘れえぬ女(見知らぬ女)』が来日しています…って、2009年にも同じような展示がありました。会場も同じ、渋谷のBunkamuraだった。企画が一周したのかな…。とは言え、空間の広がりを感じられる、よい絵が多かったです。描かれた時代を考えるとコンサバな絵ばかりなのだけれど、シーシキンの描く、果てまで続く平原と広い空や深い森に、くぎ付けでした。奥行きのある風景画、大好き。クラムスコイの『月明かりの夜』という女性像にも、その神秘的な空気に感心しました。──気に入ってカードを買ったのは、空と青い影が美しい、バクシェーエフの『樹氷』と、農民の女の子が草原に寝転がっているのを真横から描いた絵…(苦笑/クズネツォフ『祝日』)。

Bunkamura>国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア

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 ロシアだからということでチェブラーシカ推しのようです。

「田根剛 未来の記憶」@東京オペラシティアートギャラリー 12/15

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 建築家の田根剛氏の個展に行ってみた。まず、大画面でエストニア国立博物館が紹介されている。ソ連時代の軍用飛行場があった土地に、滑走路を残してその先に最先端の現代建築を建てた、というもの…。

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 雪に閉ざされる冬景色に、暖かい光をもたらす博物館。独立後に政権公約で建設されることになった国立博物館、普通に考えたら占領時代の飛行場など全部取り払うだろうけれど、“記憶を生かす”のが作風なのだそうだ。異国人だからこそ提案できた案だろうな、と思う。

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 新国立競技場の設計案。“古墳スタジアム”だそうだ。この模型、下をくぐって入って、スタジアムを中から見ることができる。

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 外苑にこんな山ができていたら、面白かっただろうけれど…。代々木公園のスタジアムは、本当に田根氏の案で建設することになったんだっけ?

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 これ、渋谷のどこの案だったっけ。

東京オペラシティアートギャラリー>田根剛 未来の記憶

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 オペラシティ、季節はすっかり…。

12/9(日)泉屋博古館分館

 泉屋博古館(せんおくはくこかん)というのは、京都にある住友グループの美術館だと思っていたが、東京にも分館があると最近知った。

泉屋博古館分館(東京)

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 千代田線の赤坂駅から歩いて六本木に出て、アークヒルズの横の坂を登って行った。小規模な美術館である。

 古代中国の青銅器を展示している。化け物に人が食われているような『虎卣』は、以前にたしか根津美術館で見たことがある。空間恐怖のようにびっしりと文様で埋め尽くされた、不思議な動物をかたどった銅器たち。──古代中国の青銅器と言えば饕餮文、と相場が決まっているが、そもそも何を指して饕餮文と呼ぶのか、あまりよくわかっていなかった。想像上の動物だとは知っていたが…、えっ、顔だったの、これ。

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 これはレプリカだけれど、…鼻で、口で、目なんですって。

 帰りは、スウェーデン大使館の脇の歩道を下りていくと、神谷町の信号に出た。六本木から赤坂にかけての谷と、神谷町の谷の間の、馬の背のような地形になっている。

12/4(火)東京国立博物館

 平成館では、『京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ』と、『マルセル・デュシャンと日本美術』をダブルヘッダーで開催中。

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 大報恩寺とは、いわゆる“千本釈迦堂”のこと。鎌倉時代十大弟子像が、そろってお出ましになっている。快慶は、どちらかと言うと都ぶりで均整のとれた菩薩や如来、というイメージを、昨年の奈良の快慶展で持ったけれど、この十大弟子像はごつごつとリアルである。──後半は、肥後定慶の観音菩薩像、六体が並んでいた。光背が外されて後ろに置かれているのが、展示方法としても独特だ。

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 聖観音菩薩は写真撮影可だった。よいお顔である。

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 マルセル・デュシャンと言えば、便器を置いて芸術だと言い張った人。若いころは多少わかりやすい絵も描いていたようだが…

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 好きだけどね、これとか

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 花嫁と独身者がどうのこうの、というやつ。うーん、わからん。──日本美術とのクロスオーヴァーを狙った展示だったはずなのだが、例えば千利休の竹花入が“レディメイド”だと言われても、…そういう問題じゃなくない? という気がしてしまい、いまひとつだったかな。

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 本館もひとまわりした。

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 鍋島の染付。この整い方がいいなあ

 東洋館では、『中国近代絵画の巨匠 斉白石』という企画展示を開催していた。清末から人民中国初期にかけて生きた画家だそうだ。

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 いい具合に力が抜けていて、好きだなあ

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 大イチョウが壮絶な色彩を示していた。

ムンク展 @東京都美術館 12/4

 『叫び』が来日ということでとにかく大混雑必至のこの展示、平日に行けるタイミングをずっと狙っていたが、火曜日の午後に上野に現れることができて、行列なしで入れた。場内はやはり混んでいたけれど、もうこのくらいの混雑は仕方ないかな、と思う程度であった。『叫び』は、有名な油彩画ではなく、1910年に描かれたテンペラ画が来ている。そのほか、『絶望』『不安』も合わせた三つを、最前列で移動しながら見るレーンと、その後ろで見られるエリアに分けられていたが、最前列もほとんど行列しないで見ることができた。

 展示の序盤で印象深いのは、『病める子』のリトグラフ、『臨終の床』の壁に人の顔が浮かんでいるような版画などの、濃厚な死のイメージ。『死と春』は、青々とした針葉樹の枝を死者の枕元や手に持たせる、そういう習慣がノルウェーにあったのだろうか。

 同じように海岸にいる人を描きながらまったく画風の違う『夏の夜、渚のインゲル』、『メランコリー』が並ぶあたりから、どんどん核心的になっていって、『赤と白』や『魅惑』/『別離』で描かれている、女性へのある種の強迫観念みたいなものは、見ているだけで息苦しくなってくるほどだ。──ただ、意外にもこの人は長生きしていて、国民的画家になって、戦争中の難しい時代まで生きている。

 自宅から見下ろした夜景を描いた『星月夜』という絵が、すっきりとしていて好きだった。なんか不穏ぽい影も描かれてはいるにせよ、これは、素直に清冽な空気を描きたかったんじゃないかな、と思わされる絵だった。あと、実は白眉だったのは『太陽』ではないか思う。圧倒的な力を感じた。

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朝日新聞>ムンク展―共鳴する魂の叫び
東京都美術館>ムンク展

東山魁夷展 @国立新美術館 12/3

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 月曜日、会期の最終日に、駆け込みで見に行った。大した混雑だったが、思いのほか好みであった。特に、北欧の風景や、ヨーロッパの街角を描いた絵など、風景の切り取り方が、とてもよい。──有名な、御射鹿池の絵(『緑響く』)も来ていた。むせ返るような夏の緑の空気が思い浮かぶ。

 正直なところ、東山魁夷がどれほどのものだろうか、と思いながら来たのに、思わず気になってしまったので、図録でも買おうか、と思ったものの、さすがに会期の最終日で、ショップが長蛇の列になっており、勢いをそがれてしまった。もっと早く来なくちゃいけなかったな。

国立新美術館>生誕110年 東山魁夷展
日経新聞>生誕110年 東山魁夷展

IDS! EVENT 2018“STAND UP!”@ Zepp DiverCity Tokyo 12/2

 坂本真綾さんのファンクラブイヴェント、今年はスタンディングのライヴです。台場のZepp DiverCity Tokyoへ出かけました。もはや整理番号とか特に気にせず、開演10分前くらいに入場。適当な位置に立ちました。

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 坂本さん、スタンディングのライヴは13年ぶりとのこと。その前にはタナボタとかもありましたね…あの頃は若かったので。私も四十を超えるとだんだんできなくなるじゃないですか。…といったMCがあり(まだ四十じゃないでしょ!と思いますけど…。)→ええー!!という声が上がり、「いや、がんばるよ、がんばるけどね」といったやりとりも。

 新曲をやります、と言い置いて歌った、『FLASH』という曲、真綾さんの歌のメロディと渋谷系的なバックがアンバランス。アレンジは誰なんでしょうね。──バンドはボーダーを着ることでおなじみの北川さんがバンマスで、この人はギターをジャカジャカとカッティングしてるとものすごく生き生きして見えますね。

 ちょっと思ったのは、スタンディングってことで、盛り上がる曲が多くなりましたが、そうすると、どうも同じような曲ばかりになってしまう、という問題があったような…。とくにPrivate Sky、マジックナンバー、Get No Satisfaction! あたりで感じましたが、もしかしたらオーディエンス側の乗り方の問題なのかも。

 坂本さん、最後のほうのMCで、来年の、三十代最後の誕生日に言及して、「3月30日が土曜日で、31日が日曜日なんだそうです。──曜日を言っただけです。」と話し始めました。盛り上がるオーディエンス。「ファンクラブのみなさんと会えたらいいと思います、そのときには座っていただいて…。ちょっと言いすぎました、におわせるだけにしようとしてたのに」ということでした。そういうことなら、カレンダーを空けときましょうかね…。

・DOWNTOWN
・stand up girls!
・Private Sky
・風待ちジェット
FLASH(新曲)
・明日は知らない(the band apartカヴァー)
・月の話
・空白
・逆光
・ハロー、ハロー
・Be mine!
マジックナンバー
・Get No Satisfaction!
・CLEAR

-encore-
・ユッカ
・シンガーソングライター

NHK交響楽団定期公演(第1897回/Cプログラム)@ NHKホール 11/10

 アリス・紗良・オットさんを見に、久しぶりのN響定期へ出かけた。ラヴェルのピアノ協奏曲、生で聴いたのは学生時代以来ではなかろうか。二楽章のどんよりしたところ、「灰色ワルツ」というフレーズが思い浮かぶ。とてもいい。オーケストラとの受け渡しに、指揮者だけでなくオケの奏者の方を食い入るように見ているのが印象的だった(あんな美人にあんなに見つめられたらやりにくいよね、とか思ってしまうくらい)。アリスさんは薄茶色みたいな丈の長いドレスに、ときおり、素足なのが見える。あ、ほんとにはだしで弾くんだ、なんて感心したりした。そこそこいい値段の席を奮発したけれどそれほどお顔はよく見えず、でも美人ですよね。前日はアンコールがあったようだけれど、この日はなかった。──後半はロメオとジュリエット。篠崎さんコンサートマスターN響、旋律の歌いかたが嫌味にならず、とてもいいと思った。なんというか、基礎体力がある感じの演奏、というか。このへんは指揮者のカラーなのだろうか。

ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
プロコフィエフ/バレエ組曲「ロメオとジュリエット」
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
ピアノ:アリス・紗良・オット

ナイトフォール(初回限定盤)(DVD付)
 物販で買って帰宅。

「ロシア絵画の至宝展」@東京富士美術館 10/24

 八王子の東京富士美術館に行った。

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 ぬめるような透明な波濤(アイヴァゾフスキー『第三の波』)は、絵の前に立つと圧倒される。光の美しい絵が多い。荒っぽい大地に沈む夕日、草原にかかる夕虹、かがり火に照らされる女性、森の中の陽だまり…。

東京富士美術館>国立ロシア美術館所蔵 ロシア絵画の至宝展 夢、希望、愛─アイヴァゾフスキーからレーピンまで