night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

ムンク展 @東京都美術館 12/4

 『叫び』が来日ということでとにかく大混雑必至のこの展示、平日に行けるタイミングをずっと狙っていたが、火曜日の午後に上野に現れることができて、行列なしで入れた。場内はやはり混んでいたけれど、もうこのくらいの混雑は仕方ないかな、と思う程度であった。『叫び』は、有名な油彩画ではなく、1910年に描かれたテンペラ画が来ている。そのほか、『絶望』『不安』も合わせた三つを、最前列で移動しながら見るレーンと、その後ろで見られるエリアに分けられていたが、最前列もほとんど行列しないで見ることができた。

 展示の序盤で印象深いのは、『病める子』のリトグラフ、『臨終の床』の壁に人の顔が浮かんでいるような版画などの、濃厚な死のイメージ。『死と春』は、青々とした針葉樹の枝を死者の枕元や手に持たせる、そういう習慣がノルウェーにあったのだろうか。

 同じように海岸にいる人を描きながらまったく画風の違う『夏の夜、渚のインゲル』、『メランコリー』が並ぶあたりから、どんどん核心的になっていって、『赤と白』や『魅惑』/『別離』で描かれている、女性へのある種の強迫観念みたいなものは、見ているだけで息苦しくなってくるほどだ。──ただ、意外にもこの人は長生きしていて、国民的画家になって、戦争中の難しい時代まで生きている。

 自宅から見下ろした夜景を描いた『星月夜』という絵が、すっきりとしていて好きだった。なんか不穏ぽい影も描かれてはいるにせよ、これは、素直に清冽な空気を描きたかったんじゃないかな、と思わされる絵だった。あと、実は白眉だったのは『太陽』ではないか思う。圧倒的な力を感じた。

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