LFJ、三日目にも聴きに行きました。まずはこちら。
公演No.312 5/5(日) ホールA“グランディオーソ”12:45-13:30
「ショパンの甘美なアオハル・コンチェルト」
・モーツァルト:オペラ《ドン・ジョヴァンニ》序曲
・ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 op.21
・[soloist encore] ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調(遺作)
小林愛実(pf.)/群馬交響楽団/横山奏(cond.)
もう、完全に小林愛実さん目当てでチケットを取っていました。ショパンコンクールで入賞した、今をときめくピアニストで、さすがにホールAが満席になっていました。プログラムがショパンのピアノコンチェルトの、1番なのか2番なのかもあやふやな状態で行って、プログラムに2番て書いてあるのでああそうなのか、…どっちが2番だっけ、というような程度のあやふやさでした。最初の音が出て、ああそっちか、って、そんなふわふわぼんやりした聴衆として足を運んだぼくでしたが、遠い二階席にもかかわらず背中がぞくぞくするくらい感動してしまったのでした。──この公演でもさらりとソリストのアンコールがありましたが、このショパンのノクターンが本当にすばらしくて、ちょっと泣きそうになってしまいました。
公演後、ガラス棟の地下のタワーレコードのブースでは小林愛実さんのサイン会が行われて、行列が十重二十重に取り囲んでいました。
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今年は国フォに工事中の場所があるためか、中庭のキオスクステージの位置が少し北側に変わりましたね。──芝学園ギター部さんだそうです。ああ、ギターアンサンブルっていうのも独特の世界ですよねえ。これがコントラバスギターです、これがギタロンです、なにか弾いてもらいましょう。→ボンボンボン♪…、という調子で楽器紹介していましたが、なんかこの雰囲気、マンドリン界隈と似てるな…などと思ったり。
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新宿に足をのばしてから、日比谷に戻ってきました。
公演No.314 5/5(日) ホールA“グランディオーソ”18:30-19:15
「若きトランぺッターが描く豊かなる音の可能性」
・クラーク/辻:トランペット・ヴォランタリー
・アーバン/辻:ヴェニスの謝肉祭による変奏曲
・[soloist encore] モリコーネ:ガブリエルのオーボエ
・レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」
児玉隼人(Tp.)/新日本フィルハーモニー交響楽団/井上道義(cond.)
このチケットは当日に買い足しました。井上道義氏は今年いっぱいで指揮活動を引退するということになっており、というかこの人ももう七十代なんですね。もっと若いイメージでしたが、それってぼくが学生の頃とかのイメージだったのかな。──トランペットの児玉隼人氏は、いま中学生?の天才少年奏者で、超絶技巧の演奏を聴かせてくれました。アンコールの『モリコーネのオーボエ』は、しみじみと響き渡って、鳥肌ものでしたね。そして『ローマの祭り』、これが聴きたかったからチケットを取ったようなものです。大編成の新日本フィルが大編成でステージに並ぶと、ホールAでも広さを感じさせないくらいです。まさに爆発する勢いの大団円で、拍手喝采でした。
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地上広場に出てみると、サクソフォン・アンサンブル、ラプソディ・イン・ブルーの演奏が、わりと力が入っていて、でも祭りの最後の夜になって熱気が引いていくような地上広場のざわめきとぴったりで、お酒をのみながら聴いているのはとても気持ちよかったですね。──そしてこの日最後のホールAへ。
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公演No.315 5/5(日) ホールA“グランディオーソ”21:00-21:55
「ミチヨシ&山根VS伊福部の伝説、再び!」
・伊福部昭:ヴァイオリンと管弦楽のための協奏狂詩曲
・伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
山根一仁(vn.)/新日本フィルハーモニー交響楽団/井上道義(cond.)
そしてLFJ最終公演、続いて井上道義氏による、伊福部昭プログラム。──21時開演のプログラムともなると、本当に音楽が好きな人しか残っていないというか、昼間のプログラムとはちょっと雰囲気が違います。ステージに出てきた井上道義氏も、「さすがにちょっと人が少ない? でも、9時からの音楽会、最高よ!」「新日フィル! さっき『ローマの祭り』聴いた?(拍手) もっといい音楽会になりますよ!」と聴衆を湧かせてくれます。──例の『ゴジラ』のモチーフが使われている1曲目、そして2曲目は不協和音で有名(?)な『シンフォニア・タプカーラ』です。1楽章ですでに交響曲的な感じになっていますが、2楽章の不穏にして美しい旋律が印象的です。3楽章はもはやパワーのかたまりでした。ズンドコ! ズンドコ! というリズムがいかにも日本人て感じですよね。この曲、西洋のオケが演奏したらどうなるんだろう、全然変わってしまうのではないかな、なんて思います。最後はスタンディングオベーションでした。ルネ・マルタン氏もステージ上に引っ張り出されて歓呼を受けていました。──井上道義氏は指揮台を使わず、ステージにオーケストラと同じ高さに立って指揮をするのですね。動きが激しい(くるりと回ったりすることがあるくらい)ので落ちるからかもしれませんが、上背のある人だからできることという気もしますが、…とにかく、77歳とはとても思えない、力強い指揮。ですが、だからこそ限界を悟っているのかも、と思ったりもしました。もっと聴いておくべき指揮者だったなあ。
終演は22時を過ぎていました。でも、今年は明日も休日なので、ちょっとくらい遅くなったってへっちゃらです。ホールA、規模が大きすぎて、入場も大変だけど退館も大変です。ホールA名物(?)の非常階段を、今年のLFJでは何度もぐるぐると下りることになりました。──コロナによる空白期間を経て、LFJの規模も縮小し、自分の中でもちょっと熱がさめたというか、何が何でも先行発売でチケットを買うぞ!みたいな勢いがなくなっていたところでしたが、でもやはり、これは楽しいお祭りですね。自分なりの楽しみ方ができる、得難いイベントだと思います。