日比谷を離れて、地下鉄を乗り継いで新宿へ。丸ノ内線の西新宿で下りて、少し新宿駅側に戻る方向に地下道を歩くと、新宿野村ビルの足もとあたりに出る。休日のこのへんは都心のエアポケットのような場所で、人が少なくて、良い。少し時間をつぶしてから、損保ジャパンビルに増設された、この美術館へ。
■SOMPO美術館>北欧の神秘 ─ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
スカンジナビア三国の国立美術館のコレクションが来ているという。良いのだけどあまりパンチのない風景画が多いな、と思いながら見始めたが、
この、画面いっぱいに広がる枯れ枝の勢いに圧倒された(ニルス・クレーゲル『春の夜』)。そんなに小さな絵ではないのだけど、生気がないのに不思議と生々しい力強さがあるというか、なんというか。
アッケという画家の『金属の街の夏至祭』という大きな絵が面白かった。ゴシック風の架空の街で踊る人々が赤く照らされている、夢の中のような絵。やはり、白夜があったり極夜があったり、その基層にある光や空気が、私たちが想像するものとはまったく違うのだろうなあ、なんて思う。
映像コーナーでは、テオドール・キッテルセンというノルウェーの画家の、“トロル”という伝承の化け物や、“ぺスタ”(ペストのことですね)、荒廃のイメージなどの作品に、モーションをつけたものが流れていた。これまた怖い、気味が悪い。──神秘の物語をモチーフにした作品はほかにもあって、
ポスターにもなっているこの絵は、キッテルセンの『トロルのシラミ取りをする姫』。異形のものと人との交流…
伝説の勇者は森に倒れ、、、
こんなタペストリーも。
ムンク。やっぱりムンクは一人だけ何かが違う、と思ってしまう。──『ベランダにて』という絵が、吸い込まれるような不思議な感覚があった。見たことあるはずはないのに、いつかどこかでこういう光景を見たことがある、という気がして。