night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

LFJ2024 “ORIGINES” 5/3


ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024 「ORIGINES(オリジン)─すべてはここからはじまった」

 今年もLFJに行ってきました。もはやテーマがよくわからなくなった感じもありますが、まあ別にいいでしょう。今年はチケットの先行発売とかには大きく出遅れましたが、久しぶりに祭りの空気を吸ってきました。──初日は午後遅めから、3本聴きました。

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公演No.113 5/3(金) ホールA“グランディオーソ”15:30-16:20
・ワーグナー:ジークフリート牧歌
・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
・[soloist encore] J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ短調 BWV1006から ガヴォット
 辻彩奈(vn.)/兵庫芸術文化センター管弦楽団/クリスティアン・アルミンク(cond.)

 指揮者はダークスーツにネクタイ姿で、アメリカンな感じ。たゆたう感じの『ジークフリート牧歌』に、ホルンがうまいな、などと思いつつ気持ちが緩んでいました。辻彩奈さんはピンクのドレスで登場。メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト、最初の方は、オケとかみ合ってないなあ、あんまり合わせてないんだろうなあ、という気もしたけれど、2楽章はすごくよかったですね。楽章間をアタッカで突っ込んでいくスタイルでした。──アンコールで、バッハの無伴奏ヴァイオリンのパルティータ、有名なガボットをさらっと弾いていた辻彩奈さんでした。これが、音だけで空気がカチッと空気が変わるのが、大層感心しました。LFJってタイムスケジュールがせわしなくてほとんどアンコールをしない印象でしたが、最近は公演間の時間が多めに取られるようになったようです。ホールAの退館のとき、横の方でスタッフがいままさにアンコールの曲目をマジックで手書きしているところでした。

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 地上広場で、ハイボールで一杯と、屋台飯で腹ごしらえしてから、地下ホール(ホールE)へ。ここは、無料ですが、有料公演の半券を持っていれば入れる、ということになっています。アンサンブル・オブシディエンヌという中世ヨーロッパ楽団が、リコーダやバグパイプや太鼓や歌で演奏していました。ホタテ貝をすり合わせるようなリズム楽器があったりして面白い。そして、リズムがどうも日本風に聞こえるのも面白い。ででれこでん、みたいな、ね。

 地下ホールがにぎわっているとやはりお祭り感があってよいです。昨年はこれがありませんでしたからね。ただ、物販に勢いがない気がするけど…。インターネットラジオOTTAVAのブースから、アコーディオン伴奏で不思議な歌を歌う女の人の声が聞こえてきて、それがチャラン・ポ・ランタンだった。その横にいる、赤いキャップを被ったチェロ奏者の人は…新倉瞳さんじゃん。なんか歌ってる! ブースでのステージのマイクテストだったようです。

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 次の公演が18時30分からと勘違いしていて、国際フォーラムを離れて少し休んでいましたが、18時15分からであることに気づいて、少しせわしなく戻りました。次もホールA。

公演No.114 5/3(金) ホールA“グランディオーソ”18:15-19:00
・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
・ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
・ラヴェル:ボレロ
 萩原麻未(pf.)/神奈川フィルハーモニー管弦楽団/齋藤友香理(cond.)

 ホールAの二階席はさすがに遠いよなあ、と当たり前のことを思いながら。『亡き王女のためのパヴァーヌ』、最後の音が早めにスッ…と消えたのが印象的でした。このホールが響かないってのもあるけど、あれは意図的に早めに消したのだと思います。──萩原麻未さん、青緑?にざっくりした線の入ったドレス。ラヴェルのピアノ協奏曲、躁鬱症みたいな曲だけど、2楽章がとても心地よかったです。ラストは『ボレロ』、ある意味でオケの力量が明確に出る曲なんで、神奈川フィルがんばって…! スネアは中央に二人、ずっとソロ奏者が一人で叩いていましたが終盤で二人になるところで俄然、曲に勢いがつき、さすがに遠さを感じていた二階席ものってきた感じでした。ぶおーっと盛り上がって、フィナーレに突っ込んで、大団円。気分爽快。やっぱりこういうのがなくっちゃね。

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公演No.126 5/3(金) ホールC“エスプレッシーヴォ”20:30-21:15
・ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ第5番 ホ短調 RV40から 第1、2楽章
・チャラン・ポ・ランタン:内緒の唄
・クレズマー・ヒストリー・メドレー:
 ニグン~オデッサ・ブルガリッシュ~コロメイカ~コロブチカ
・クレズマー・インスパイア・メドレー:
 ブロッホ「祈り」~チャラン・ポ・ランタン「マジシャン」~佐藤芳明「ヨールヨール」
・イディッシュ民謡メドレー:長靴~ドナドナ~アレブリダー
・モノー:愛の賛歌(チャラン・ポ・ランタン バージョン)
 新倉瞳(チェロ)/佐藤芳明(アコーディオン)/チャラン・ポ・ランタン(唄とアコーディオン)

 実はチャラン・ポ・ランタンをまったく知らなかったのです。だけど、今回、LFJの公演プログラムを眺めていたとき、なぜか、これは…!!と、ぴんと来るものがあってチケットを買っていました(ぼくの中の、今年のLFJの“なんだそれ枠”という感じでした)。新倉瞳さんが出ることも知りませんでした。──チェロとアコーディオン、響きの溶け合いかたが絶妙なんですね。新倉瞳さんがイディッシュ語で歌うチェリストだということも知りませんでしたし、アコーディオンの佐藤氏とのコラボ作品を出していたり、いろいろやっている方なんですね。『ドナドナ』がイディッシュ民謡だということも知りませんでした。知らないことばかりです。

 「クレズマー音楽」がテーマだということですが、「クレズマー音楽」とは? 新倉瞳さんによると、「おみそしると、カレーと、カリフォルニアロールとマクドナルドのようなものです」…どういうことでしょうか(笑)。伝統的なものから、様変わりしたものまで、そしておいしければなんでもいいじゃん、というものまで、といったようなことだそうです。わかったようなわからないような感じです。──佐藤芳明さんというアコーディオン奏者が、チャラン・ポ・ランタンの小春さんの「師匠」だそうで、師匠の曲に弟子が歌詞をつけました! その妹が歌います! ということで、「やばばい!やばばい!」というすっとんきょうな歌で盛り上がりました。「やばばい!」と合いの手を入れる新倉瞳さんの声が可愛いのがまた面白くて。なんなんだこれ。終わっても拍手が鳴りやまず、「アンコールありがとーう!」「一度引っ込んだりしません」と、そのまま続けてしまいます。──最後が『愛の賛歌』だったんですけど、ももさんの歌唱がわりと感動的だったのと、ヴォーカルのマイクのコードをさばくためにステージに出てきたスタッフのおねいさんをつかまえて『愛の賛歌』を歌いながらからんでしまう、あげくには客席に下りてきて一階席の通路で歌ってしまう(別に階段とかなくて、ステージの前の高い段差をそのまま下りてきたので、戻るときに、腹ばいみたいになって無理矢理に上がっていたので、もう、可笑しくて)など、LFJでこれをやってしまうとはなんてヤバイ人たちなんだ、と。本当に楽しかったです。いやー最高でした。出演者のことも音楽のこともまったく知らなかったのにこのチケットを取った自分をほめたいです。