night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

読書&査収音源リスト(2024年7月~9月)

▽ある行旅死亡人の物語/武田惇志、伊藤亜衣
ある行旅死亡人の物語
 共同通信社の記者だった方々によるノンフィクション。すべての謎が明らかになったわけではないけれど、それは必ずしも問題ではない気がする(そもそもすべてを書いていないと思われるし、詳細を書くことを避けているように感じるプロットもあった)。それより、身元が確認できなければ…というよりも身元を確認できる人に「つながる」ことができなければ「行旅死亡人」扱いになる、という事実が重いと感じた。──本に対する評価としては変かもしれないけど、カバーイラストがとてもすばらしい。後ろ姿の女性が、ぬいぐるみを持って、日常と深淵のはざまに立っている…読み終わってからこのイラストを見返したとき、涙が出てきた。
 もとになったインターネット記事は2022年2月に共同通信社が配信したもので、いまでも見られるようだ。
 → 現金3400万円を残して孤独死した身元不明の女性、一体誰なのか(前編) 「行旅死亡人」のミステリーを追う | 47NEWS
 → 現金3400万円を残して孤独死した身元不明の女性、一体誰なのか(後編) 身元判明、そして分かったこと | 47NEWS

▽海を覗く/伊良刹那
海を覗く
 新潮新人賞最年少(17歳)受賞作だそうだ。なんだこれは、すごいものを読んでしまった…。作者は三島ファンの高校生とのことだが、だからと言ってこんな美文はおいそれと書けるものではない。世界が狭い気はするけど、それは旧華族社会とかを書き続けた三島由紀夫だってそういうところはあるわけで。美とか愛とか、それを焼かねばならなかったりするのは、それってきっと普遍的なテーマで、だからこそ、稚拙な部分があったとしてもそれを真正面から書こうとしてるのはすごいことだと思う。

▼響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のみんなの話(宝島社文庫)/武田綾乃
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のみんなの話 (宝島社文庫)

▽夏至南風/長野まゆみ
夏至南風
 あまりに暑いので思い出して、久しぶりに読んでしまった。学生時代以来かな。相変わらずわからない。

▽中世日本の予言書 〈未来記〉を読む(岩波新書)/小峯和明
中世日本の予言書: 〈未来記〉を読む (岩波新書 新赤版 1061)
 「聖徳太子未来記」とか「野馬台詩」とかいうとオカルトっぽいが、こういったものは歴史上何度も現れてくるらしく。しかしちょっとこの本はわかりにくかったかな。いろんなものに焦点を当てようとして散漫になってる印象。わかりやすく書けない分野なのかもしれないが。

▼張学良の昭和史最後の証言(角川文庫)/NHK取材班、臼井勝美
張学良の昭和史最後の証言 (角川文庫 ん 3-2)
 張学良は1937年の西安事件のあと歴史から消えたが、国民政府に幽閉されたまま台湾で存命だった(2001年に死去)。1990年にNHKのインタビューを受けて、『張学良がいま語る 日中戦争への道』というNHKスペシャルになったことはいまだに覚えている(この番組、貴重な歴史の証言だと思うので、ぜひまた見たいのだけど)が、この本はその番組の取材によって編まれたもの。西安事件は、蒋介石、周恩来、宋美齢、といった登場人物たちに彩られる、歴史を変えた出来事だが、しかし密室の中でどんなやりとりが交わされたのかは、張学良は最後まで語るのを避けたようだ。だが、彼が、父を殺した日本を、厳然として許さなかったことは、歴史に残り続けるのだろう。

▽可燃物/米澤穂信
可燃物 (文春e-book)

▽ここはすべての夜明けまえ/間宮改衣
ここはすべての夜明けまえ

間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』読んだ。いろんな言葉が自分のなかでぐるぐるしている。搾取ということについて考えている。自分は搾取されたのか、搾取したのか。それは愛だったのか、それとも、?
■2024/09/09 20:47:30
描かれている関係は重くおぞましいし、一方で乾いた心象風景は自分にとってあり得る未来のようにぼくには感じられるし、、、恐ろしいものを読んでしまった
■2024/09/09 20:51:58
別件で思ったことなんだけど、もしも何かに搾取されてる/たと思ったとき、それに復讐する方法って、たぶん、ないんだよな
■2024/09/09 21:19:06

▼ふしぎの国のバード (10) (11)/佐々大河
ふしぎの国のバード 10巻 (ハルタコミックス) ふしぎの国のバード 11巻 (ハルタコミックス)
 10巻を読んでいて、八甲田山系に生えてるモミの木、っていうところでピンときた。オオシラビソ(アオモリトドマツともいうらしい)のことじゃないか。見たことあるけど、松ぼっくりが青というか紫色みたいな、ちょっと奇妙な木ね。学名が"Abies mariesii"(マリーズのモミ)というそうで、…英国のプラントハンターのチャールズ・マリーズが1879年に欧州に紹介したのだという。こいつだったのか…

▽なぜ働いていると本が読めなくなるのか(集英社新書)/三宅香帆
なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書)

中盤、90年代や00年代の世相を語っている部分に入ってくると、まさにぼくが生きてきた時代なので…べつに筆者にそのつもりがあるかどうかはちょっとわからないけど痛烈な皮肉だなと思えるところとか。筆者はぼくとは全く世代を異にしてるけど、よくそこまで言っちゃえるなあ、と痛快ですらある
■2024-09-29 19:26:50
00年代の「雇用の流動化」とか「好きなことして生きていく」「13歳のハローワーク」みたいな風潮、その背景にものすごい就職氷河期があったことをぼくらは身をもって経験してるし絶対に忘れないし、2016年に明るみに出た(その前年の)高橋まつりさん事件が社会をものすごく大きく変えたことも(かなしいことだけど)、忘れちゃいけない出来事だよね
■2024-09-29 19:48:30
 どうでもいいけど、筆者の、谷崎潤一郎『痴人の愛』論がおもしろくて、そういえばちゃんと読んでないなあと思って今読んでる。

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 番外編。

 2024年7月にPCが故障して、新しいPCを買った。前のPCはBlu-rayドライブつきの15.6インチノートだったが、もはやいまのノートPCは光学ドライブがつかないのが主流だし、自宅の環境ではモニタもキーボードも別に用意して使っているので、持ち運びしやすく少し小さめの、14インチノートにした。前と同じくNECのカスタマイズPCで、「LAVIE N14」にCore i5、メモリを16GBと、512GB SSDを積んだ。CPUの種類でけっこう値段が変わるんだね。もはやいろんなデータはクラウドに任せる時代になっているしクラウドに置きたくないデータは外付けHDDに保存しているので、SSDは256GBでも十分だったかもしれないけれど、CPUとメモリ16GBの威力か、かなり快適になった。Windows 11の挙動には、最初は細かいところで違和感あったけど、日常使う分にはそこまで大きな問題ではなく。
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