泉屋博古館(せんおくはくこかん)というのは、京都にある住友グループの美術館だと思っていたが、東京にも分館があると最近知った。
千代田線の赤坂駅から歩いて六本木に出て、アークヒルズの横の坂を登って行った。小規模な美術館である。
古代中国の青銅器を展示している。化け物に人が食われているような『虎卣』は、以前にたしか根津美術館で見たことがある。空間恐怖のようにびっしりと文様で埋め尽くされた、不思議な動物をかたどった銅器たち。──古代中国の青銅器と言えば饕餮文、と相場が決まっているが、そもそも何を指して饕餮文と呼ぶのか、あまりよくわかっていなかった。想像上の動物だとは知っていたが…、えっ、顔だったの、これ。
これはレプリカだけれど、…鼻で、口で、目なんですって。
帰りは、スウェーデン大使館の脇の歩道を下りていくと、神谷町の信号に出た。六本木から赤坂にかけての谷と、神谷町の谷の間の、馬の背のような地形になっている。