night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

8/19(日)「糸のみほとけ」@奈良国立博物館

 久宝寺からうまいこと座れて、奈良に着いたのは14時50分。奈良国立博物館では、特別展『糸のみほとけ』を開催中。これを見に来たのだ。


 国宝『天寿国繡帳』、ぼくは以前に斑鳩中宮寺に行ったことがあるがそこで展示されていたのはレプリカだった。本物を見るのは初めてだ。紺色の字にパッチワークのように刺繍が貼りつけられているが、残欠になったものを取り合わせたもののようで、もともとの姿はすでに失われているようだし、しかも、鎌倉時代に作られた模造部分と、飛鳥時代の本物が、混ぜこぜになっているのだそうだ。だが、明らかに劣化して何の姿だか判別できなくなっている方が鎌倉時代の模造で、女官の衣装や蓮華の色が鮮やかに残っている方が飛鳥時代の本物なのだという。

 この展覧会で、“刺繍仏”というジャンルの存在を初めて認識したのだけど、古代では寺院の本尊とされるようなものだったという。鮮やかな釈迦如来図、奈良時代のものだと言われるとやはり驚くし、近づいてみるとぞっとするほどの細かさである。紺地に美しく表装された金糸の大日如来像は、細見美術館の所蔵品だそうで、やはりあそこは尋常じゃないものを持っているな、と感心した。

*


 レストランで食事をして、仏像館をそぞろ歩いてから、奈良国立博物館を出た。


 興福寺も、夕方になって観光客がいなくなると、実にいいね

 夏の夕方の気持ちのよい風に吹かれながら、猿沢池あたりを散歩して…


 ライトアップイヴェントのようで、池の中の提灯に明かりを入れる準備をしていた。


 視覚化された、風の通り道。インスタレーション的な感じ?

*

 さらに三条通で喫茶店に入ってぐずぐずしていたけれど、そろそろ帰らないと…。18時55分発の快速京都行きで、薄暮の奈良を離れた。


 奈良線には水色帯の205系が入ったのね。

 19時47分に京都駅に着いて、新幹線連絡改札の前の自動券売機を叩いたが、やはり夏の日曜日の夜で、新幹線はだいぶ混んでおり、直近の列車はどれも“×”印が出ている。20時29分の『のぞみ422号』の指定席を取れたが、三列の真ん中のB席しか残っていなかった。新横浜まで2時間。

8/19(日)南海汐見橋線木津川駅

 三国ヶ丘から南海電車に乗った。汐見橋線という、南海電鉄のローカル線を見に行く。岸里玉出から汐見橋まで、30分に一本の電車が下町を往復している。線路は複線電化が維持されているが、駅の様子はどこも鄙びている。


 木津川という駅で下車した。


 工場地帯に放り出されたようなところだ。側線があるが、線路は切り取られており使われていない。転轍機が虚しく残る。


 駅前は砂利。臨海部の貨物駅だと言われたら、まあそうかもしれないと思うけれど、そういうわけでもないのだから、不思議なところだ。


 インターネットで、文明崩壊後の風景、などと言われているところだが、駅前広場(?)は近隣の工場の駐車場に使われているようだったし、線路の東側には住宅団地などもある。だが、そこに住む人が日常的に利用するような駅ではないことはたしかである。

*

 30分後の電車に乗って、汐見橋駅へ。ここもエアポケットのような風情の駅だ。


 地下鉄千日前線阪神難波線の桜川駅に隣接しているが、高速の高架の下を10分ばかり歩いて、難波のOCATのある建物まで歩いた。イヴェントスペースに人が集まっている(アイドルグループの何かだったみたい)のを横目に、地下に下りると、JR難波駅がある。


 201系電車とか久しぶりに見るが…関西ではまだ健在なのだ。

 大和路線の各駅停車に乗って、奈良方面へ。JR難波駅始発の電車はガラガラで、さすがに疲れていたところだったので座っていた。天王寺で乗り換えてもよいが、大和路快速はどうせ混んでいるだろうと思ったので、各駅停車に座ったまま久宝寺まで行って、後ろから来る大和路快速を待ち受けた。

8/19(日)大仙古墳

 和歌山に泊まったけれど、翌日は早くも和歌山を後にする。和歌山駅みどりの窓口で、横浜市内までの乗車券を天王寺・奈良・京都経由で買って、まずは9時40分の“紀州路快速”大阪方面、京橋行きというのに乗った。

 阪和線天王寺ー和歌山間は、1時間に4本の快速電車が走っているが、快速と言いつつ、関空快速と併結して走る日根野までが快速で、日根野から和歌山までは各駅停車である。実質的に区間快速で、和歌山から天王寺まで70分以上かかるようになっている。さすがにちょっと時間がかかりすぎのような気がする。これ、昔からこうだったっけ? 和歌山はもうちょっと大阪から近いイメージがあったのだけど…。しかも、和歌山からの上り列車は、日根野に着く段階ですでに立ち客も出ていて、けっこう混んでいるのだった。

 三国ヶ丘で下車。快速が停車するのかどうかも調べていなかったが、何も調べていなくてもスマートフォンさえあれば旅行できる時代になっていて、まあ便利なことだ。

*

 三国ヶ丘で下りたのは、日本最大の古墳、仁徳天皇陵とされる“大仙古墳”を見てみようと思ったため。日本史の教科書には必ず出てくる、このべらぼうな構造物、自分の目で見たことがなかった。──ドトールで軽食を取ってから、駅の西側に出てしばらく歩くと、住宅街の中に忽然と、堀、そしてその向こうの森が現れる。線路からは見えないんだな。


 地図をよく見ると、実はこの向こうは大仙古墳ではなくその倍塚であったようだけど。


 歩いて一周してみることにしたが、やはり暑い。路面の照り返しと、金属の柵が明らかに熱を持っているのを感じる。


 でもこういう木陰になると涼しい。


 大仙古墳の南側には、大仙公園がある。堺市平和塔という戦没者追悼施設が建っている。


 堺市博物館に入ってみた。


 まるっきりコーヒーカップみたいな須恵器。


 現在では宮内庁管理の陵墓は発掘も見学もできないが、大仙古墳は明治期に発掘されているそうで、そのときにこういう絵図の、石棺が現れているのだそうだ。

 堺市は中世の自由都市としての歴史もあるわけで、そういう遺物の展示もあるのだけど、目を引くのはやはりこれ。


 「慶長大火縄銃」だそうだ。銃というか、ちょっとした対戦車ライフルのような代物で、さすがにどうかしている。徳川方が大坂の陣をにらんで試作させたものだそうだが、こういうものを作ってしまう17世紀の日本の軍事力は、ちょっと恐ろしい。


 古墳の南側の正面の拝所。もちろん中に入ることはできない。


 南東の角を回って…


 おお、一周してきた。歩いて1時間くらいだったかな。──自分で歩いてみて、この日本最大の古墳の、規模感のようなものがわかったなあ。

NANA MIZUKI LIVE ISLAND 2018 @和歌山県民文化会館8/18

 水樹奈々さんのライヴツアー。夏のツアーは2015年の“ADVENTURE”以来、3年ぶりなんですね。奈々さんのライヴを、文化会館クラスのホールで見たい、という念願が前からありましたが、しかしファンクラブでもそういうところは取れないんですよね…。今回はファンクラブ先行で和歌山と奈良を申し込んだところ、和歌山が取れました。関西旅行がてら、いい日程じゃないか、と。

NANA MIZUKI LIVE ISLAND 2018


 8月18日(土曜)、和歌山県民文化会館に着いたのは15時過ぎ。ちょっと早いけれど、この日の日射にわりと疲弊していたので、すみやかに入場してしまいました。物販にも立ち寄らないため、ロビーのベンチソファで休んでいました。ぼくの座席は2階の後ろの方の上手側でしたが、ブロック的に前にも横にも人がいない、快適な座席でした。後ろの方すぎて、周りの空気的にはわりとやりたい放題感も。(笑)

 わりと最初の方から『もがちょ』が来ちゃったのでちょっとギャフンとしました(モンキーダンスするやつね。あれ、周りの客席が醒めた感じだと厳しいんだよね…)。奈々さんは、まず赤いロングコート的な衣装で登場。2つめの、チャイナ風のトップスとフリル風のスカートの衣装が、好みでした。

 “ホールモード”でも、ダンサーさん「チームヨーダ」は4人(だったかな?)入れていて、紹介コーナーもしっかりやるんですね。チームヨーダコーナーでは、坂本竜太さんが“DJサカリュウ”に扮して、卓を回したりする役をしていましたが、そのうち「おハガキが来ております」とか言って「DJ」を履き違え始める(?)ところでまず笑ってしまいましたが、その次の『PARTY! PARTY!』にムリヤリつなげる台本だったんですね。

 アコースティックコーナーでは全公演でそれぞれ別の編成で別の曲をやっているそうで、和歌山では『PRIMAL AFFECTION』でした。スピード感あるボッサっぽいアレンジで、気持ちの良いプレイでした。各曲でバンドリーダを決めているそうで、今回はサックスのファイヤーさん。弾き終わってマイクを向けられて、「これで一本ライヴやりませんか!」と言っていたのが印象的でした。ミュージシャン冥利的な感じがあったんだと思います。あれは絶対、弾いてて楽しいと思う…うらやましい。

 この日のMCでは、つい前日だったかにTwitterの急上昇ワードみたいになってた件──某ネット広告に勝手に写真を使われて、さらにそれがコラ画像だった件──について、自らネタにしていくスタイルで、客席が爆笑していました。あれは…ねえ(笑) 中村悠一さんにLINEでイジられて、ポプテピピックのチェーンソーをドゥルルってやってるスタンプを送っといた、とか言ってましたね(笑)

 ダンス曲コーナーで『still in the groove』をいまだに定番曲としてやってくれる反面(盛り上がるものね)、最新曲や未発表の新曲まで、かなり盛りだくさんのセットリストでした。未発売の新曲を二曲に歌ってくれましたが、『Birth of Legend』は、7拍子?か何かの変拍子が特徴的な曲で、慣れるまでちょっと時間かかるかも。

 この種のホールでの奈々さんのライヴに参戦するのは初めてでした。会場の大きさに比してバンドの編成が大きすぎるな、とは思いましたが、距離はものすごく近く、2階の最後方近くでも、大して遠く感じないんですよね。最前列なんかもう手が届きそうな距離だったのでは? この種の、文化会館的なホールのステージには、両翼に、微妙に伸びた空間がありますが、奈々さんは機材を乗り越えてそこにまで立っていましたね…あの近さはうらやましかったなー。──ただ、音響的には、文化会館クラスのホールに奈々バンドは、やはりどうしてもオーバースケールなのではないか、という気もしました。


 和歌山の終演は19時過ぎでした。空がまだ薄明るいくらいの時刻で、この時刻ならまだ今から東京に帰れちゃうじゃないの、と…。この日はぼくは、JR和歌山駅東口のビジネスホテルに投宿でした。県民文化会館から和歌山駅まで歩くと40分くらいかかるのですが、ぶらぶら歩いて行きました。和歌山市内、奈々ライヴ装備勢があちこちに。あつあつのおいしい鴨つけうどんを食べて、ホテルに戻りました。

8/18(和歌山)
STARTING NOW!
Angel Blossom
・アノネ〜まみむめ☆もがちょ〜
・Happy Dive
・You have a dream
・(チェリーボーイズコーナー)
・沈黙の果実
BLUE ROSE
・(夏うたアコースティックコーナー)PRIMAL AFFECTION
PHANTOM MINDS
・invisible heat
・(チームヨーダ&DJサカリュウコーナー)
・PARTY! PARTY!
still in the groove
・Hungry Hungry(新曲)
・夏恋模様
・(映像コーナー)
アオイイロ
・Happy☆Go-Round!
ETERNAL BLAZE
・NEXT ARCADIA
・Exterminate
FEARLESS HERO

-encore-
Preserved Roses
・君よ叫べ
・Birth of Legend(新曲)
POP MASTER

8/18(土)大阪から和歌山へ

 淀屋橋からまた地下鉄に乗って、天王寺へ。──大阪は、市営地下鉄が今年の4月に民営化して、“大阪市高速電気軌道株式会社”、もとい、“Osaka Metro”になったばかりだ。


 大阪メトロのマーク

 でも、すべての標識を貼りかえるには至っていないようで、


 大阪の地下鉄と言ったら、やはり、この「○にコの字」のマークだよね。別にこれでもいいんじゃないかと思うけど。

*


 天王寺では、この先の阪和線の列車の時間を考えながら、あべのキューズモールの下の方にある定食屋さんみたいなところで、適当にお昼ごはんを…。天王寺に来るのも久しぶりだ。あべのハルカスって上ったことがないな、そういえば美術館があるらしい、と調べてみたら、チームラボの展示をやっている。面白そう、見られるかな、と思い、大混雑のエレヴェータで16階まで上がってみたが、80分待ちですが、と言われて、すごすごと退散した。

 そう、今日はこのあと、和歌山に行かなければならない。JR天王寺駅の地平ホームに立ち、紀勢線方面の特急の自由席を待ち構えた。──新大阪から天王寺まで地下鉄で来てしまったが、JRの乗車券は横浜市内から和歌山市駅まで買ってあり、さらに特急券も、新大阪から和歌山まで買ってある。新幹線乗継ぎで特急料金が半額になるので新大阪から買ってあるが、天王寺から乗ってもべつにかまわない。


 大阪環状線もすっかり新型車両に入れ替わったようだ。

 天王寺12時32分発の特急『くろしお11号』新宮行きの自由席で、和歌山へ向かった。通路側の席にかろうじて座ったので、ほとんど寝ていたけれど、泉州紀州の国境の山を越えて、紀の川沿いの明るい平野に下りはじめるあたりの田園風景に、これは昔から豊かな土地だったのだろうなあ、と感心した。──和歌山に着いたのは13時15分。

*

 今日は、敢えて和歌山駅ではなく、和歌山市駅というところまで、乗車券を買ってある。JRの紀勢本線は、天王寺からの阪和線とつながって、白浜や新宮に向けて伸びている路線だが、路線図を見ると、和歌山駅から2駅だけ西に飛び出している路線があり、これも紀勢本線という名前になっている。終点の和歌山市駅は、大阪の難波からの南海電鉄のターミナルにもなっている。和歌山という街はどうやら、南海和歌山市駅側とJR和歌山駅側に繁華街が分かれているらしい。だが、和歌山駅和歌山市駅の間は、1時間に1本程度しか電車が走っていないようだ。

 ぼくがJR和歌山駅に下りるのは2008年以来で、そのときはすぐに駅前からフェリー乗り場までタクシーに乗った。お城のお堀端に沿って走った覚えがあるが、どういう街なのかはまったく知らない。──和歌山駅ドトールで時間をつぶして、13時41分の電車で2駅、和歌山市駅まで行ってみた。


 この車両、まだいたのか…。国鉄105系電車というやつだ。2両編成。隣のホームには同じエメラルドグリーンの105系、五条の方に向かう和歌山線の電車がいた。

 寂れた住宅街のような、しかし単線の線路が高架化されていたりしてアンバランスな風景の中、和歌山市駅という小さなターミナルに着いた。難波方面の南海電車が頻発しているはずだが、JR側は無人駅のようで(南海電鉄の管理駅なのかな?)、自動改札機だけが置かれており、青春18きっぷの乗客がインターフォン式の精算機に列を成していた(回線の向こうの駅員と会話して、カメラで切符を見せて、改札を通ることになる)。


 南海の駅ビルがあったらしいが、取り壊されたようで、工事中。寂しい駅前だ

 20分ばかり歩くと、和歌山城のお堀端に着いた。お城に登ってみる。


 西の丸庭園をそぞろ歩いて、さて登城


 天守は戦災で焼失して、戦後の外観復元天守だそうだけれど。だが、さすが御三家の城で、大奥まであったと言う。

 城跡には水樹奈々さんのライヴTシャツを着た人がだいぶいる。西洋人の女の子二人組がライヴ装備で来ていたのには感心した。──今日の会場、和歌山県民文化会館は、ここからほど近い。

*


 暴れん坊将軍こと(?)、徳川吉宗公の騎馬像。

 時間があったので、和歌山県立近代美術館にも立ち寄った。


 柴川敏之“2000年後に発掘された絵画の化石:モネ”。ちょっと笑ってしまった


 和歌山県庁。ちょっと驚いて、思わず写真に撮った。あとで調べたところ昭和13年竣工だそうで、地方に来ると戦前の政府庁舎がよく残っているのに感心することがある(鹿児島県庁や愛媛県庁、静岡市庁、会津若松市庁など)が、和歌山もそうだったのね。

 県庁の向かいにあるのが、和歌山県民文化会館。──さて行きましょう、水樹奈々さんのライヴ。開演は16時です。

8/18(土)大阪市立東洋陶磁美術館

 8月18日(土曜)、早朝から飛び出して、新横浜6時34分発の東海道新幹線『のぞみ3号』に乗り、新大阪まで2時間あまり。御堂筋線に乗りかえて、淀屋橋で下車した。


 淀屋橋


 まだ朝の9時前。地上に上がったところでヴェローチェがあったので一休みした。──日本銀行の向こうに、中之島のビル群。ちょっとしたマンハッタンのようだ。

 異様な炎暑が続いていた今年の夏だが、この日は空気が入れ替わったようで、陽射しは暑いが日陰に入ると涼しい風が通って、過ごしやすい。クマゼミの声がシャワシャワと聞こえる、関西だなあ、と思いながら、大阪市庁舎の横を歩いて行った。


 大阪府中之島図書館。明治37年に開館し、大正時代に増築されて今の姿になったものだという。某市長が廃止するという話があったが、今のところ壊されずに残っているようだ。


 大阪市中央公会堂。これも、大正7年竣工の建築。──大阪も激しい空襲を受けているはずだが、よく残っていたものだ。

*


 目当ては、中之島の東側にある、大阪市立東洋陶磁美術館。ここ、前から来たかったのだよね。


 高麗青磁。どれもすばらしい


 重要文化財木葉天目と、国宝の油滴天目。どちらも南宋時代のもの。


 元代の“飛青磁”だそうだ。なんとこれも国宝。


 明代の大物で、回転台に展示されている。


 唐代の黒磁。白い斑が渋い。


 北宋、磁州窯の黒釉。


 金代のものとされる緑釉。


 明代、嘉靖年間のもの。いかにも中国、という感じの色合い。


 深い蒼がいい。

 日本の陶器は、ゴツゴツした手びねりみたいな、あまり興味をひかないものが多いのだけど…


 江戸時代の、古清水

 
 これなんか、ちょっとモダン。鍋島だそうだ。

 そして唐三彩。


 この、青がかすかに入った水注、本当に美しくて、この日のベストを選ぶならこれだ!と思った。


 9時半の開館から、11時頃まで堪能した。これだけのコレクションがたった500円で楽しめるのは、すばらしい。何度でも来たいところだ。

Minori Chihara 10th Summer Live “SUMMER CHAMPION 2018”@河口湖ステラシアター 8/4、8/5

 茅原実里さんの夏の河口湖ライヴも、なんと10年目。ぼくも、毎年最低1日ずつは参戦して、いつのまにかそんなに年数が経っていました。今年は“SUMMER CHAMPION”という名前に変わったのですね…。今年は2daysの2日ともチケットを取って、日帰りで河口湖まで2往復することにしました。

SUMMER CHAMPION 2018 〜Minori Chihara 10th Summer Live〜

 一日目、8月4日(土曜)は、出遅れ気味になりながらも八王子から12時01分の特急『かいじ105号』に乗れました。大月からは、12時55分のフジサン特急に。


 フジサン特急では無事に座れましたが、雲行きは…どうなのかな、少なくとも富士山はまったく見えませんでした。

 河口湖駅に着いて、まずはまっすぐ、ステラシアターへ。


 “10周年記念植樹式”をするということだったので、それは見ておかなければ、と思って、例年よりも早く来たのですが、いったいどこでやるのだろう…。と思ったら、会場入り口の駐車場に人が集まり始めていました。──地元・河口湖町の複数の店舗さんが「茅原実里ステラシアター10回目記念コンサートをお祝いする会」を結成して、苗木を寄贈してくださったとのこと。人がだいぶ集まっていて、後ろの方で、これは見えないなあ、と思っていたら、前の方から、さっ…としゃがんでくれたのには驚きました。さすがみのり勢(^^ 拡声器で司会するのは、おなじみ、斎藤P。「植樹式とは何をすればいいのかわからなかったけど、土をかけて水をまけばいいのではないかということになりました」、などと笑わせてくれました。ステラシアターの館長さん・マネージャーさんの挨拶も。植樹する木はハナミズキで、「実里さんのような可憐な花が咲きます」とのことでした(^^。


 みのりんの、本物の“聖地”ができてしまいました!

*

 早く来たので時間があります。雨がぱらついてきましたが、いったんステラシアターを離れ、国道沿いのショッピングセンター“BELL”に行って、みのりんのライヴ写真展に立ち寄りました。──初回からの10回の河口湖ライヴの写真が展示されていて、懐かしさが…。


 すごいですよね、BELLでここまでしてくれるなんて…。“SUMMER CAMP”の初期は、会場の駐車場が開放されていなかったのか、少ししか開放しなかったのか忘れましたが、BELLの駐車場に停めちゃう人が続出して問題になり、ライヴの存続が危ぶまれたくらいだったのですよね…。

*

 雨はどんどん本降りに…。ファミリーマート船津登山道店では店の前にテントを出して、生ビールとかフランクとか売っています。ベンチで雨宿りしながらビールを飲んで、レイドバックしていましたが、ちょっとそれどころじゃないくらいの豪雨になってしまいました。車道を行く自動車に盛大に水をぶちまけられながら、ステラシアターに戻りました。

 というわけで入場。今回はフラッグがチケット代に含まれていて入場時に配布してくれます…みのりんのライヴはそうしてほしいなあ。この日のぼくの座席は2Eブロック。──ロックアレンジの“富士の山”を歌い上げるみのりんからスタートしました。雨は小降りになり、2階席からは、ぎりぎり、富士山の山頂が見えましたが、可動屋根は閉めたままでスタートしたため、開幕から比較的暗めでした。

 今回、みのりんに歌ってほしい曲の投票を募っていたのですよね…。自分が何に投票したかはひとまず置いといて、そのせいだったのかな、わりと渋めの旧曲が多くて、一味違うライヴだったと思うのです。バンドメンバ紹介に続いて、幻の(?)1stアルバム『HEROINE』のメドレーなども披露されました。──『Lush march!!』ではみのりんが1階席と2階席の間の通路を歩きながら歌っていましたが、普段は入らない、2階席最前のスペースにも上がっていたのには驚きました。

 バンドのインストは、毎度ながら岩田ガンタ氏のドラムスプレイで盛り上がった後に、『威風堂々』のアレンジという面白い選曲。インスト明けはみのりんがロングスカートで登場して、最新シングル『Remained dream』に続けて、1日目は『孤独の結晶』でした。いつ以来のセットリストでしょうね…たぶん2013年のSUMMER DREAM以来じゃないかと思いますが。この曲は、「歌っているときのみのりんの表情が好き」という投票コメントがあったそうです。さらに『Sandglass〜記憶の粒子』なんてかなりのレア曲でした。

 『Hopeful“SOUL”』を歌う前のMCで、「畑亜貴さんの歌詞だけど、自分の考えていることにとても重なる」と話し始めたみのりんでした。生きていると裏切られたり理不尽なことがある…と、具体的になるのを避けながらなぜか妙にネガティヴなことを話すみのりんに、あれっこういうみのりんはちょっと久しぶりだな、みのりん何かあったのかしら…(?)という気もしましたけど…。そして、そんなふうに気持ちを込めてしまったせいか、歌い始めすぐに、盛大にむせ込んで歌唱中断、リテイクになってしまったみのりんでした。うーむ…。私が思うに、みのりんは、「大好きな曲です」と気持ちを込めると単純に歌唱に力が入って、よい結果につながらないことが多い気がしますね…。

 アンコールでは、1階と2階の間の正面通路から登場して、『透明パークにて』から『純白サンクチュアリィ』。そして、発売予定がアナウンスされている新譜から新曲『夢幻SPIRAL』が披露されました。みのりんも話していましたが、初披露なのにびっくりするくらい客席の我々が“つかんで”いましたね…。新譜は、もうほとんど完成している、という話で、み「あと一曲レコーディングして、あと一曲、私が歌詞を書いたら終わりです。」 …ん???(^^;

 ──最後は、スタッフ陣をステージに入れて盛大に素人ダンスをさせる(笑)、サマーソングメドレーでしたが、その前に、スタッフと言いながらステラシアターの支配人の野沢さんまで呼び込んでいて、ご挨拶をいただきました。野沢さんの挨拶、なんとなく、“職場の飲み会の上司のスピーチ”感がありましたね…(^^;

 一日目は20時10分頃に終演。河口湖駅まで早足で歩いて、20時39分発の臨時快速大月行き、大月から21時40分の特急『スーパーあずさ36号』で帰宅しました。

*

 そして翌日もお出かけ。こんどは前日よりも1時間遅い、八王子13時01分の特急『かいじ107号』、そして大月からは富士急行の各駅停車で河口湖へ。大月からは座れずに外国人観光客に混じって立ち、途中から座れたものの、富士急行線の大月ー河口湖間の移動は相変わらずつらいな、と…。


 河口湖駅のポップ

 この日は河口湖も炎暑で、昨日と同じくファミリーマート船津登山道店で生ビールを飲んでいたら、暑熱とアルコールの相乗効果で気持ち悪くなってきて、ああ、この気候でお酒はダメだ、と。。。呼吸を整えてステラシアターに向かいました。


 富士山がくっきりと。


 この日は1Fブロック。──この日は、2曲目から『君がくれたあの日』でリテイクを…ほかならぬこの曲でリテイクを出してしまったみのりんに、ありゃりゃ…とは思いましたけれど。バンマスのキーボード須藤さんに向かってみのりんが土下座、客席に向かってまた土下座、「お客さんに謝りなさい^^」と須藤さんに言われて再び土下座するみのりん…(^^;

 盛り上がったのは、「投票で1位だった」という『不確定性原理』だったかな…なんかネットで選挙運動してた方々がいたそうで(^^。

 毎回、晴れ女の“ミスサンシャイン”ことみのりんと、雨男で“ミスタースコール”ことギターの馬場さんの対決、ということになっているみのりんバンドですが、昨日は一雨来たおかげで適度な涼しさになって、協力体制(?)が整っていましたが、この日は暑かったですね…。「いやいや、(可動屋根が)開いたり閉まったりするのも醍醐味でしょ? 大人の事情とかあるかもしれないけどさ」と馬場さん。そういえば、あの可動屋根、動かすともしかして追加費用がかかったりするのですかね…?

 最後、10年目、ということに触れて、…今はもうここにいない人も含めて、たくさんのスタッフがかかわってきたが、みんなでバトンを渡し続けてくれた、、、と、話すみのりん。またなんとなく“職場のスピーチ”感がありましたけど(^^;…、でも、本当にそうですよね…。以前からずっと見かけるイベント制作会社の人とかいますけど、実は会社が変わったりしているのですものね。“祭り”を続けていることの偉大さに、ぼくも観客の一人として敬意を表したいです。もちろん、この河口湖ステラシアターでのライヴを続けていきたい、と、これまでも何度も話しているみのりんですが、この日、「都合が悪くて来れない年があってもいい、私はここにいるから。」と話してくれたみのりんのMCには、ちょっと泣けるものがありました。また、みのりん本人が、いいことを言っているつもりが特になさそうなところも、なんだか、みのりんらしいな、と思ったのでした。(^^

*

 終演後、河口湖の湖上祭の花火を見上げながら、駅まで歩きました。この日、昼間は暑かったけれど、夜になるとちゃんと涼しい風が吹く、河口湖の町です。ぼくはここ何年か、ステラシアターと河口湖駅の間は、幹線道路ではなく住宅街を縫う道のりで静かに歩くのが気に入っているのですが、この日は、盛大な花火の、あまりの美しさに、ちょっと涙が出てきそうになってしまいました。──20時39分の臨時快速大月行き、この日は湖上祭帰りの一般客も乗せて、たいした混雑になりました。


 今年の富士急行線の“みのり編成”。



 そして今年も、“みのり編成”の広告ジャック。天候ネタは危ないな、と毎年ひやひやしてるんですが…。

8/4
・Opening(富士の山)
・Tomorrow's chance
FOOL THE WORLD
・too late? not late...
この世界は僕らを待っていた
・“HEROINE”スペシャルメドレー(NAKED HEART/jelly beans/マリオネット)
・Fairy Tune
Lush march!!
・(Instrumental)
・animand〜agitato
・孤独の結晶
・Remained dream
・Sandglass〜記憶の粒子
・Hopeful“SOUL”
・Flame
Paradise Lost
・Sunshine flower

-encore-
・透明パークにて
純白サンクチュアリィ
・夢幻SPIRAL(新曲)
・メドレー(みのりん音頭/みのりん☆サーフィン/SUMMER CARNIVAL〜みのりんサンバ)

-double encore-
・purest note〜あたたかい音
・(打ち上げ花火)

8/5
・Opening(富士の山)
・Tomorrow's chance
・君がくれたあの日
・too late? not late...
この世界は僕らを待っていた
・“HEROINE”スペシャルメドレー(NAKED HEART/jelly beans/マリオネット)
・Fairy Tune
Lush march!!
・(Instrumental)
・animand〜agitato
不確定性原理
・Remained dream
・Sandglass〜記憶の粒子
・Hopeful“SOUL”
・Flame
・TERMINATED
Freedom Dreamer

-encore-
・透明パークにて
純白サンクチュアリィ
・夢幻SPIRAL(新曲)
・メドレー(みのりん音頭/みのりん☆サーフィン/SUMMER CARNIVAL〜みのりんサンバ)

-double encore-
・purest note〜あたたかい音
・(打ち上げ花火)

三浦友理枝ピアノ・リサイタル @浜離宮朝日ホール 7/27

 台風が近づいて、北風が強く吹いている日。このところの酷暑が少しでも和らいで、助かる。国立西洋美術館を出たあと、上野から電車で新橋駅まで移動して、築地の朝日新聞のビルまで歩いて、浜離宮朝日ホールへ向かった。ここに来るのはたぶん8年ぶり…。

 三浦友理枝さんのコンサート。なんだか、チケットを買うときにちょっと勘違いして、2階席の上手側を取ってしまったのだけど…、特に悪くはなかったかな。ショパンの、作品番号50番台で固められたプログラム。冒頭から、『2つのノクターン』第1番の、含羞をたたえたように歩むピアノに、ぐっとつかまれた。バラード第4番の有名なメロディでは涙が出そうになり、最後はピアノソナタで劇的な幕切れになった。──ショパンの晩年(と言っていいのか…)の曲って、比較的、とっつきにくい曲が多い、というイメージを持っていたのだけど、終始、緊張感を持って聴くことができたし、いっさい迷いのない三浦さんの演奏、すばらしかった。

・2つのノクターン 作品55
スケルツォ 第4番 ホ長調 作品54
・子守歌 変ニ長調 作品57
・バラード 第4番 ヘ短調 作品52
-intermission-
・3つのマズルカ 作品59
ピアノソナタ 第3番 ロ短調 作品58
・《アンコール》即興曲 第3番 作品51

 久しぶりに音楽で胸が熱くなったような気がする。──三浦さんは新譜を出したばかりのようで、会場物販で購入したけれど、終演後のサイン会には、ものすごい列だったので、並ばなかった。帰りは、朝日新聞ビルの目の前にある築地市場前駅から、大江戸線で新宿に出て、小田急ロマンスカーで帰宅した。非番の一日、すばらしい金曜日、これこそプレミアムフライデー!という感じだったな。

ショパン:バラード&スケルツォ
三浦友理枝
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「モネ それからの100年」@横浜美術館7/22、国立西洋美術館7/28


 炎暑の日曜の午後、横浜へ。──さすが横浜美術館、ただのモネ展じゃなくて、モネはどちらかというと目くらまし(?)のような展示。カラフルな燕子花図のような中西夏之の作品、もやった色に飲み込まれそうになる根岸芳郎の作品、水野勝規の鮮やかな水面のヴィデオ作品などが印象に残った。

 もちろん、肝心のモネもすばらしく…。『セーヌ川の日没、冬』は、氷が浮かぶ荒涼とした夕陽の光景で、見入ってしまう強さのある絵だ。だが、絶望と希望、みたいな解釈は、蛇足なのではないかな…。ただ美しく、迫ってくるものがあった、モネはきっと、描かざるを得なかったのではないか。──圧巻だったのは、晩年の『バラの小道の家』という作品。抽象的な色の暴力のようだが、老いたモネが見ていたのがこの色合いなのだ、と思うと、何とも言えないものがある。

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横浜美術館モネ それからの100年


 長者町でいつもの刀削麺を食べて帰宅。

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 7月27日(金曜)は、上野の西洋美術館へ。『ミケランジェロと理想の身体』展を瞥見したが、大理石やブロンズの男性像が並び、ぼくの感覚からは特に“理想の身体”とも思われず、面白くはなし…。

国立西洋美術館>ミケランジェロと理想の身体

 常設展もひとまわりした。


 ロベールの廃墟。


 新収蔵作品だそうだ。ドガの、『舞台袖の3人の踊り子』。ドガの描く闇が好きだなあ。


 ラファエル・コランという画家の作品。

7/14(土)「亀岩の洞窟」

 朝9時、品川駅前から出発。木更津駅行きのアクアライン高速バスに乗った。品川駅港南口のアクアラインバス乗り場に大行列ができていて目をむいたが、ほとんどは御殿場アウトレットや木更津アウトレット行きのバスを待つ人たちで、木更津駅行きは心配するほどの混雑ではなかった。──運転士さんが車内アナウンスで、「アクアラインの渋滞が湾岸線まで伸びているため羽田線を通る」とのこと。そう言えば三連休の初日である。アクアトンネルを通過するだけで20分あまりかかった。海底トンネルの中で渋滞、というのは、未来的だけど、ちょっとぞっとしないものだ。電子音のチャイムと、よく聞き取れないアナウンスがずっと流れていて、なんとなく怖かった。

 木更津金田バスターミナルで下車。10分ほど遅れて、9時55分頃だった。──灼熱の炎天下に放り出されて、ちょっと唖然とする。


 飲み物を買うにも、この反対側まで行かなければならない…。

 だが、見ていると、品川行き・東京駅行き・川崎行き・横浜行きなどの高速バスが頻繁に出入りする。この本数にはちょっと驚いた。高速バスが都市間の基幹交通機関になっているという、日本では珍しい土地柄の場所だ。──ここは、アクアラインを下りてすぐのところに作られたバスターミナルで、首都圏や横浜と千葉県各地を結ぶ高速バスを、相互に乗り換えられる、ハブターミナルになっている。ぼくは数年前、房総半島の高速バスは木更津金田をハブにしてくれたらいいのに、と書いたが、木更津市も同じことを考えていたらしく、その後の数年で、今のような体制になったようだ。

 ここで、別の高速バスに乗り換える。『アクシー号』という名前で、東京駅から安房鴨川に向かうバスである。これもアクアラインを通って来るので、20分ほど遅れてきた。バスがいつ来るのかわからない、というのは、長距離バスという交通機関の大きな欠点である。このバスは満席で、補助席を引き出して座った。あと数人で補助席も満席になって乗れないところだった。バスという交通機関の大きな欠点が、また一つ…。

 高速バスだが外房に向かうには高速道路がないので、『アクシー号』は千葉の山中の一般道を進む。途中、“かずさアカデミアパーク”という工業都市(?)のような地域を通り、こんなところがあるのか、と感心した。──久留里という古びた町を通って、“君津ふるさと物産館”で下車。11時半頃だった。道の駅の前で、近くに県営ダムがあるらしい。

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 こんなところまで来たのは、最近話題の“亀岩の洞窟”を見るため。道の駅で少し息をついてから、炎天下の県道を20分ほど歩いた。深い谷に緑色の水を湛えたダム湖に、釣りのボートが浮かんでいる。しかし、アオコがすごいな…。


 県道、写真は車が途切れたところで撮っているが、実際にはけっこう交通量が多く、歩いていて楽しい道ではない。歩道には、点々と、何かの動物の糞が落ちており、そして、そこはかとなく、獣臭が…。これはたぶん、猿だな。先ほど、バスの中からも、猿が道路を横切るのが見えた。

 ひどい暑さで、なけなしの手ぬぐいを頭からかぶる、無残な格好で歩いて、やっと着いた。

君津市地域ポータルサイト「きみなび」 > 亀岩の洞窟・濃溝(農溝)の滝・清水渓流広場

 “濃溝の滝”として最近インターネット上で有名になったが、問題の(?)穴が開いている場所は、“亀岩の洞窟”なのだそうだ。


 観光客が集まる駐車場から、公園の遊歩道が整備されている。崖の下には渓流が流れていた。


 あそこかな?
 
 洞窟があった。

 この地域では、蛇行する川の、蛇行部分の山を掘り抜いて川の流れをまっすぐに付け替え、干上がった部分の河床を新田開発する、ということをやっていた時代があるそうで、これもそのためのトンネル河川の一つなのだそうだ。


 蛍が出るそうだ。いいところですね

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 公園の駐車場の横では、売店で缶ビールなど売っており、温泉施設もあって、いずれも魅力的だったが、どうせ帰りも汗だくになるのだから…と思って、我慢。──さて、ここから帰るにはどうすればよいのか、という問題。一番近い鉄道の駅は、久留里線の終点の上総亀山駅だが、そこまで歩くと1時間半ほどかかる。この気候でその距離を歩くのは生命の危険があるし、先ほどバスに乗ってきたその道には歩道がなくていかにも危なかった。

 ひとまず道の駅“君津ふるさと物産館”まで歩いて戻り、ダムのレストハウスの食堂でラーメンを食べた。県道を眺めていると、変な時間に高速バス『アクシー号』が走って行く。アクアラインの渋滞のせいだろう、30分以上遅れているのだ。


 レストハウスの裏手は、深い谷のダム湖だった。

 13時46分のバス『カピーナ号』、安房鴨川行きを待つ。炎天下、タオルを被ってうなだれながら待っていたら、3分程度にすぎない遅れで、バスは来てくれた。これは県都の千葉と鴨川を結ぶバスで、アクアラインを通らない分、遅れは少なかったようだ。助かった。

 昔は上総亀山駅安房鴨川駅を結ぶ路線バスがあって、乗ったことがあるが、それが廃止されて、亀山付近ではこの『カピーナ号』が代替交通を担っているらしい。上総亀山駅の近くにも、“亀山・藤林大橋”という停留所が設けられているようだ。だが、たとえば君津ふるさと物産館と亀山・藤林大橋の間だけ乗ることができるかというと、それはできない、という制度になっている。この地域内だけの利用者、というものが全く不在なのだろう、想定されていないのだった。

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 安房鴨川駅前で下車。ちょうど、14時06分発の東京行き特急『わかしお』が出るところで、バスを下ろされた駅の西側から跨線橋を走って反対側に下りたが、さすがにそこから改札を通って特急に飛び乗るのは無理だった。──次の列車は、千葉方面が14時53分、館山方面が15時16分。さらに言えば15時34分の次の特急『わかしお』を待った方がいいというくらいで、たっぷり1時間半も時間が空いてしまった。この酷暑では、散歩する気にもなれない。イオンに行ったほかは、駅からほとんど一歩も出られなかった。


 結局、15時34分発の特急『わかしお16号』に乗って、東京に帰った。外房線はまだ一日に6本も東京行きの特急列車が走っているのだね…内房線は特急『さざなみ』が全滅したけど…。しかし、車内販売も自動販売機もないから注意せよ、とアナウンスが連呼する。侘しい時代になった。東京駅まで2時間。