上野の国立西洋美術館に行った。
■国立西洋美術館>憧憬の地 ブルターニュ モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷
時間指定入場券はこの連休明けから廃止されたそうで、いきなり行って当日券を買うという、以前なら当たり前だったことを久しぶりにやったのだけど、逆に、並ぶのではないだろうか、入れるのだろうか、などと戸惑ってしまう。何が良いことなのかもうわからない。
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ブルターニュとはフランスの西北部、大西洋に突き出した半島のあたりの地名で、どちらかと言うと“フランスの田舎”といった地方なのだろうけれど、南フランスのような明るい風土でもなさそう。──19世紀末から様々な画家がブルターニュを訪れて描いた作品が集められている。国立西洋美術館自身の所蔵品や、日本国内の各地からの作品が中心になった展示のようだ。一部撮影可。
モネの『嵐のペリール』。
妙に土俗的に見えてしまうのはゴーガンが描くせいだろうか…
面白かったのは、アンリ・リヴィエールの多色木版画の作品群。これがまるで浮世絵のような作風なのだ。落款に似せた赤い四角にごにょごにょした図形が入ったマークなんかも入れてある(どこまで意味がわかっていたのだろうか、という気もする)。『薄暮』というカラーリトグラフの、空や雲の表現など、まるで明治の新版画のようで、淡い色の重なりがとてもきれい。
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大きな画面で圧巻だった、シャルル・コッテ『悲嘆、海の犠牲者』
その後ろには陽気なステージが。リュシアン・シモン『庭の集い』。光と影…
最後の展示はこの時代の日本人洋画家の作品。西洋絵画の模倣のようなものばかりであまり面白くない…と思ったのだけど、
黒田清輝の『ブレハの少女』。ブレハというのはブルターニュ半島の北側にある小さい島の名前らしいが、この絵はちょっと強い印象。異様な風貌、貧しい身なりの女の子に、左側から光が当たっている。黒田清輝ってこんな絵も描いたのか。