night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

3/16(木)當麻寺


 1年以上ぶりに京都にやって来た。23時台の京都駅烏丸口に出て、まず喫煙所で一服しながら、京都タワーを見上げる。ああ、京都に来たなあ、と思う瞬間だ。──なんとなく、若い人が多くて、東京の都心のオフィス街の夜とはちょっと違う雰囲気だと思った。


 突然のテルマエ・ロマエ京都市上下水道局の広告らしい

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 翌日、近鉄特急で橿原神宮前へ、そして乗り換えて、当麻寺駅で下りた。


 當麻寺に行こうと思って来たのだ。飛鳥時代からのとても長い歴史のあるお寺だけど、実はぼくはこのとき、當麻寺というのが奈良県の中でももっと手前の方、たとえば生駒とかそのあたりにあるのだと思っていて、実際には近鉄でも南大阪線の沿線だということを知って驚きながら、電車を乗り継いで来たのだった。なるほど、飛鳥と河内の間の道筋にあると考えると、そのへんなのか。。。奈良の地理感覚が全然ない。


 古い家並みをまっすぐ伸びる道の向こうに、山門が見える。この日は上着を着て歩くと汗をかくほどの暖かい日だった。


 推古年間にさかのぼるというお寺だ。


 中之坊。知らなかったのだけど、當麻寺には中将姫という悲運のお姫さまの伝説があるそうだ。お庭がすばらしい

 
 本堂は平安時代のものだと言う。厨子におさめられた當麻曼荼羅が本尊である。金堂も、壮大な白鳳仏に圧倒された


 この、東塔と西塔も、奈良時代から平安時代初期のものだという


 こういうたたずまいを見はるかすと、関東とは違う風土が感じられて、すごくいい

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 奥院まで歩いて行くと、壁が朱色で、ちょっと珍しい雰囲気だ。後から知ったのだけど、高野山真言宗の「當麻寺」と、浄土宗の「當麻寺奥院」は、別の宗教法人らしい。宝物館で菩薩来迎像などを見た


 新しめの浄土庭園が広がっていた


 暖かい陽射しに、ちょっと上着を脱いで休憩。

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 お昼に「にゅうめん」を食べた。これも実は知らなかったのだけど、要するにそうめんを温かい汁で食べるもので、三輪山のこのあたりの郷土料理なのだそうだ

 この當麻寺は、平野の縁というか、丘陵が迫っているようなところにあって、このあたりは、飛鳥と河内を結ぶ日本最古の官道とも言われる竹内街道(たけのうちかいどう)の沿線にあたるのだそうだ。當麻寺から少し丘を越えたところに、国道166号線が通っているけれど、新しい自動車道路は何もない山の中を突っ切って行くような道で、それに少し沿って歩いてから道をそれると、いかにも古そうな道筋に沿って、集落が連なっていた。


 ゆるい下り坂で里へ向かって下りていく。なるほどね、河内から山を越えて飛鳥に向かう旅人は、こういう風景を見たのだね


 なんか松尾芭蕉さんがこのへんに住んでたことがあったそうです


 道筋から少し奥まったところにお寺がある。観光客が立ち寄るようなところではないようで、ふらふらと足を向けたら、何の御用ですか、といったやり取りになってしまった。


 近鉄磐城駅に着いた。

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 この日はこのあと、来た道をまた近鉄電車で京都に戻った。當麻寺、京都をベースにして訪れるには、ちょっと遠かったなあ。──京都市内、四条通あたりは、外国人観光客が波をなしていて、日本人の姿がむしろ2割以下のように思われる。完全に時代が切り替わったことを感じた。

 前夜は遅い時間に着いて吉野家の牛丼なんか食べただけで寝てしまったので、この日は先斗町で、ちょっと奮発した。このお店にはこれまでに何度か来ている。一人でも適当に入れるのが気に入っている。


 メモしていたメニューは、ほっけの西京焼き/生麩の田楽/海老真丈の春巻き/赤地鶏の塩焼き。お酒は、英勲純米大吟醸龍神丸純米吟醸。そして炙り鯖寿司。


 さらに、おばんざいを出すお店でもう一杯。。。

 四条通も、23時近くになると日本人の酔っ払いが主体になるようだ。考えてみれば平日の夜で、京都の勤め人がちょっと一杯やったような集団が、楽しそうに歩いている。──ぼくもぼくで、東京の仕事を離れて、西の都でお酒を飲んで、いい気持ちになって四条烏丸のホテルに戻った。たまにはこういうことをしないと。。。