night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

坂本真綾 LIVE 2022 “un_mute”@東京国際フォーラム ホールA 11/27

 坂本真綾さんのライヴ。ライヴのタイトルが発表されたとき、象徴的というか挑戦的というか、意気込みのあるタイトルだな、と思った──「ミュート(無音)を解除する」と説明されている。2daysの二日目に行ってきた。東京国際フォーラムに入るのも3年半ぶりになる。近くには毎日来てるんだけど、やはりイヴェントからはだいぶ遠ざかっている。


・菫
・言葉にできない
・SONIC BOOM
・雨が降る
・プラリネ
・ねこといぬ
・Here
・Waiting for the rain
ディーゼル
・まだ遠くにいる(新曲)
・un_mute(新曲)
・Remedy
・お望み通り(instrumental)
・カザミドリ
・Hidden Notes
・空白
・レプリカ
・クローバー
・千里の道


 キーボードのシンプルな和音で始まる『菫』で幕開け。──ぼくの座席は1階の前の方だったが、かなり下手側で、ステージの全体は見えない角度。ステージの奥は三角形の白い壁になっていて、イメージが投影されたりする。坂本さんのドレスは青いコクーンドレスで、ふくらんだシルエットがちょっと違和感があったけれど、バンドのインストが明けて後半の衣装はスマートなパンツスーツだった(だけどこれが、肩がざっくり開いた不思議なデザインになっていて、あれはどうなってるんだろうと思っていた)。

 坂本さんのライヴは2021年3月の横浜アリーナ以来になる。あれは25周年記念ライヴという触れこみで代表曲を中心に選んだけれどそこでは選べなかった曲をセットリストに入れた、というような意味のMCがあった。『SONIC BOOM』のイントロが入ったときに鳥肌がたった。この曲が好きだったことも忘れていた。2009年の“かぜよみ”ツアーに言及されたけど、そうだった、ぼくはあのときもこの国フォAにいた、とても寒い日だった、…なんてことも思い出していた。

 MCで、菅野よう子氏から贈られて会場に置かれているフラワースタンドについて、「ボードに『ばぶ~!』と書いてある。菅野よう子がそれを申し込むのに、『ばぶ~』でお願いしますぅ!あ、伸ばすところは波線でお願いしますぅ!とか言ってたのかと思うと可笑しい。」というようなことを言っていて、その菅野よう子氏の口調を真似るところとかも面白くて笑ってしまった。(そのフラワースタンド、ホールAの1階の入口の右手にあったんだけど、終演後には写真を撮ろうとする人でごった返していた。まあ、あれは可笑しいよね(^^)──そして、そんな菅野よう子氏が十代の坂本真綾に歌わせた、今思うととても大人っぽい曲、として披露されたのが『ねこといぬ』だった。緊張感あふれるジャジィなアレンジで、じっくりと歌詞を聴いていたら、たしかに、ストーリーが思い浮かぶようで浮かばないような、とても不思議な歌詞の曲ではある。

 後半では、昨年亡くなった音楽プロデューサの渡辺善太郎氏に最後にアレンジしてもらった曲、として『Hidden Notes』を歌っていた。「誰かにまた会えることが当り前のことじゃないということを感じる年齢になってきた」、──「でも私はこれからも歌っていくよとみなさんに伝えたかった」という坂本さんの言葉はとても力強かったし、会場の拍手も大きかったと思う。

 客席は全席販売されていたが、以前の恒例だった『ポケットを空にして』の合唱はまだできずで、アンコールなし、2時間余りの一本勝負できっぱりと終わるライヴだった(「コスタリカ戦までにみなさんを帰さないと…」ということだった(笑))。跳ね回るような激しい曲は抑え気味だったと思うし、年齢的なこともあるのかもしれないけど、前にも増して落ち着いたライヴになったな、という感想だった。──坂本さんのライヴに来るといつもいろいろ考えてしまう、というか、なんとなく厳粛な気持ちになるんだよな。もはやこちらも来し方を振り返るくらいになってきてしまっているからなあ。