night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

「アーツ・アンド・クラフツとデザイン」@府中市美術館 11/20

 府中に出かけた。これまでなら自転車で行ったところだけど、天気が悪くなりそうなので、電車で、京王線の東府中で下車。駅から歩いて行くと、ほどなく航空自衛隊府中基地の敷地に突き当たる。その横のほうにあるのが「府中の森公園」だ。


 もう寒いので芝生の丘にも人がいない。この方が好きだな。


 府中市美術館では『アーツ・アンド・クラフツとデザイン』という展示をやっている。19世紀の英国で“アーツ・アンド・クラフツ運動”という芸術の流行があって、中心的人物がウィリアム・モリスという作家だそうだ。うん、聞いたことはある名前だけど…時代的にはラファエル前派とかと近いよね。

府中市美術館アーツ・アンド・クラフツとデザイン ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで

 花のタイルパネルなんかとてもきれい。植物の複雑な意匠なんかは、後の時代のアールヌーヴォーにも通じる、というよりも時代的にはこちらの方が先なのか。──美しいインディゴ染めは、いったん全体を青く染めてから色を抜くところを洗い落とす、という方法で白い模様を出しているそうで、えっ、日本の藍染めとは逆じゃないかな?

 英国で工業化が進んだ時代に、化学染料ではなく天然素材に、機械工業ではなく手作業にこだわって、社会運動としての側面もあったのだそうだ(戦後の日本でいう消費者運動にも似てるかも)。だが、そうするとどんどん製品の値段が高くなって、庶民には手が届かないものになってしまう、というジレンマに陥っていたという。──いかにもどこかで聞いたことがある流れで、まさに日本の民藝運動はこの“アーツ・アンド・クラフツ運動”から影響を受けていたのだそうだ。"VSE & BEAUTY"なんていう標語が書かれたアーツ・アンド・クラフツ運動の時代のポスターなどがあって(VはUの古風ぶった書き方ですよね)、要するに「用の美」って言ってるんだよねこれ、と感心してしまった。

 玉虫色のファブリルガラスや、半透明のワセリングラスのランプシェードなどとても美しく、このへんになるとアールヌーヴォーの時代っぽくなってくる。最後には、フランク・ロイド・ライトの直線的な(工業生産に親和性の高い)デザインに行きついて、展示はおしまい。──とても面白かった。スタンプコーナーでも遊んでしまった。

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 府中市美術館の、展示を見終わって最後に階段を降りるときの、この窓が好き。


 絵になるディスプレイだけど、映り込まずに写真に撮るの難しいなあ

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 府中の森公園の日本庭園は紅葉がきれいだった。──帰りは、東府中から京王線で一駅、府中競馬正門前駅で下りて、競馬場の横を歩いて、JRの府中本町駅へ。このへん、知っているようでいて、駅から競馬場につながる通路など歩いたことなかったので、ちょっと新鮮だった。