night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

10/11(火)ADO87便で旭川へ

 羽田から夕方の便で旭川へ向かう。第2ターミナルの中でも、だいぶ歩いてからさらに階段を下りて、500番台のゲートにたどり着くと、そこは「バスラウンジ」という名の、天井の低い広間だった。沖にとめられた飛行機までバスに乗せられる搭乗口だ。地方空港への便が集められており、売店も閉まっている。最果ての待合室という感じで、羽田空港の中でもここに来たのは初めてだった。行き交う人たちの中で、なすすべもなく、所在なく空白の時間を過ごす。どことなく、移動するむなしさ、のようなものすら感じさせる。旭川行きのエア・ドゥ(ADO)87便は17時15分予定であった。


 こうやって地上から飛行機に乗るのは、本当に久しぶりだ、というかこれまでに記憶にない。飛行場を照らす金色の光が美しかった

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 右手にずっと美しい満月を見ながら飛んで、19時過ぎに旭川空港に下りると、小雨模様で肌寒かった。市内行きの連絡バスに乗って、雨の夜を30分程度、旭川の駅前に下ろされた。すでに20時。この日は、駅の近くのビジネスホテルを予約してあった。

 この休みは道北の方面を適当にぶらぶら泊まりながら歩こうと思って、この日はとりあえず旭川に入ったけれど、明日からは予約のない旅だ。泊まるところに困ることはないだろうと甘く見ていたのだけれど…、投宿したホテルの部屋で、インターネットのホテル予約サイトをつらつら探してみたら、だんだん焦りが出てきた。──2022年10月11日、まさにこの日から“全国旅行支援”が始まったせいだと思うが、各地のホテルがのきなみ取れないのだ。まさか、インターネットに出してないだけで電話したら取れるんだろう、と思って電話をかけてみても、満室です、と言われる。それを何度か繰り返して、ついに、今回の旅行はまずいぞ、と思い至った。

 とりあえず食事をしに出た。旭川の駅前からまっすぐ伸びる「買物公園通り」という歩行者天国があり、そこにはいくらかの飲み屋が開いていた。


「買物公園通り」にたたずむ佐藤忠良彫刻。どことなくかなしげでもある

 明日からの旅程が決まらないことに唖然としながら、飲み、食事していたが、はっ、と思い出した。どこに泊まるどのような旅程であるにせよ、JR北海道の周遊切符である「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」を手に入れる必要がある。この切符は利用当日には購入できず、必ず前日までに買っておく必要があるのだ。──店を出て、小雨の降る旭川の駅前を走り、人気のない駅舎に駆け込んだ。窓口は当然のように営業時間を過ぎているし、指定席券売機はあるはずだがこれも時間によっては止められる。まだ動いている指定席券売機を見つけて、日付が変わる15分ほど前に、買うことができた。北海道まで旅行に来てバタバタ走っていて、この時点では明日もどこに泊まれるかわからず、幸先がよくない。


 旭川駅、駅舎も新しくて洒落ているし駅前にはイオンもあるが、深夜0時近くのこの時間になるともはや最終の特急列車が札幌から着くのを待つだけで、夜行列車も今はなく、誰一人歩いておらず森閑としていた。