night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

ルートヴィヒ美術館展/李禹煥展 @国立新美術館 9/2

 雨模様の金曜日、国立新美術館で、美術展を二つ見てきた。


国立新美術館ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡 市民が創った珠玉のコレクション

 ルートヴィヒ美術館とは、ケルンにある、20世紀から現代のアートに特化した美術館なのだそうだ。──ドイツ表現主義、ロシアン・アヴァンギャルド、といった時代で展示は始まり、あまり親しみのない作品が多い。ただ、こんな作品があるのか、と惹かれる絵がいくつもあった。

 印象に残った絵をいくつか。
ピカソの『アーティチョークを持つ女』…アーティチョークってなんだっけ、と思って調べてみたらアザミのような花のようなのだが、しかしこの絵ではもはや棍棒だよね、これ。強い怒りが充満しているような、凄味がある。1941年に描かれた作品なのだそうだ。戦争の時代である。
シャガールの『妹の肖像』…シャガールには珍しい絵じゃないだろうか。小さな分厚い本を開いた女性…これはおそらく聖書だよね、信仰心の深さの表現みたいなことなのかな。
・ゲオルク・バゼリッツ『鞭を持つ女』…甲虫の怪物のような体とどんぐりまなこ、背後の土饅頭も相まってとても怖い。
・ペーター・ヘルマン『ロト(燃えるドレスデン)』…黒いマスクをつけた人、うつろな目の人、振り返ると、何かが降ってきて街が燃えている、黙示録的な光景。ドレスデンは戦争で無差別爆撃で都市が壊滅しているはずだが、そのことなのかな。

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国立新美術館>開館15周年記念 李禹煥

 現代アーティストの李禹煥(リ・ウファン)の展示。円筒埴輪みたいなペインティングは、たしか2020年に東京で見たなあ。──床に大きな石がドンと置かれていたり、…次の部屋から割れ鐘のような音が響いてくるので何だろうと思ったら、スレート状の平板な石が敷き詰められていて来場者がその上を歩くとガラガラと音が鳴ったりする。屋外には、花崗岩とステンレス板で造られたアーチがあって、何かの遺跡のようでもある。──最初のうち、これは…困ったな、という感じでそんな空間作品を見ていたけれど…、見て回っているうちに、だんだんと、異質なものが組み合わされたりそこにあったりする不穏な緊張感、でもそれが不思議な調和を生み出している、と感じられてきて、面白かった。