night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

香月泰男展 @練馬区立美術館 3/6

練馬区立美術館>生誕110年 香月泰男展

 シベリア抑留生活を描き続けた人だという。香月泰男の作品、国立近代美術館などで見たことはあると思うが、まとまって見るのは初めてだった。「シベリア・シリーズ」のこれらの作品を、かの国が侵略戦争を始めたこのときに、見ることになるとは…。──闇の中に黒く浮かび上がり、鉄格子をつかんでこちらを見ている、顔、顔、顔…。個性も感情も奪われたたくさんの顔が、見ているこちらに覆いかぶさってくるように感じられて、言葉にならない。でも不思議なのは、そんな黒い作品たちの中で珍しく、鮮やかな赤の色合いで描かれているのが、『埋葬』という絵なのだった。顔を布で覆われて、穴に葬られようとしている人。復員した翌年に描いたのだそうだが、…ああ、描かずにいられなかったのではないか、と感じられて、打たれるようであった。深い穴の底から空を見上げている構図の『青の太陽』という絵も印象に残った。