night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

Minori Chihara ORCHESTRA CONCERT 2020 ”Graceful bouquet” @ TACHIKAWA STAGE GARDEN 9/12

 もともと、2020年5月30日(土)に開催するはずのコンサートだったのですよね。それが、
・2020年11月18日に延期決定(2020/5/8発表)
・2021年 9月12日に延期決定(2020/9/2発表)
という経緯をたどっていました。その間に、茅原さんをめぐる状況は激変してしまいましたが…。


 日曜日、多摩センターからモノレールに乗って、立川北駅で下りました。立川ってほとんど来ることがないから土地勘が全然ないなあ。

 昭和記念公園を散歩してから、会場へ。17時開演です。「立川ステージガーデン」は、立川駅北の真新しい街区に2020年4月に開館した、新しい会場です。ぼくの座席は1階の前の方の下手寄り。1階客席は跳ね上げ式の可動椅子が平場に並べられたもので、ガタガタして、座り心地は微妙でした。

 全席販売されていたようで(以前なら当たり前だったことですが)、左右も詰まっているし、開演前から後ろの人がべらべらしゃべっているのに、うーん、と思っていましたが、そんなことでいちいち気を立ててしまうのも、嫌な時代です。──ですが、1ベルが鳴ってアナウンスが入ると、客席は、水を打ったように静かになりました。発声禁止、というレギュレーションを、みのり勢、各自それなりに気にしていたのですね。

 オーケストラは、「東京21世紀管弦楽団」。聞いたことがない名前ですが、新しく創立したプロオケなのですね。──黒のトップスに、青地に星が散ったようなすてきなロングスカートの、颯爽とした感じの女性が現れて、この方がピアノを弾きつつオーケストラに指示を出して指揮を兼ねるというスタイルだったのですが、この方が大嵜慶子さんという方で、今回のアレンジ・音楽監督をしてくださったのだそうです。実は、この日ずっと、なにかで見たことのある人だ…と思っていましたが、あとで調べたら、Vanilla Moodの方だったんですね。また、上手には一人、コーラスの女性も。

 そして、茅原さんは、藤色の濃淡が美しいドレープのドレスで登場。

・恋
雪、無音、窓辺にて。
優しい忘却
・月の様に浮かんでる
・Hopeful "SOUL"
・エイミー
会いたかった空
(intermission)
・雨上がりの花よ咲け
・PRECIOUS ONE
・暁月夜
境界の彼方
・みちしるべ
純白サンクチュアリィ

-encore-
ひとひらの願い
・花束

*

 …うーん。やっぱり、どうしても、茅原さんを見る自分の目が、気負ってしまっているような気がします。世界に没入できない。「歌手活動休止」が予告されてしまっているから、それに向かうこの人がどういうパフォーマンスを見せてくれるのか、という目線になってしまうのです。

 座席が下手寄りで、音響はあまりよくなかったということもあってか、オーケストラアレンジという点では、あまり面白い聞こえ方をしたわけではなかったかな…。オーケストラアレンジなのにドラムスをドコドコ鳴らすのも、考えものです。おそらくあまり合わせてないな、と思ったら、オケリハは一度だけだったとのこと。さもありなん。テンポ感も、特に『雨上がりの花よ咲け』なんかで顕著でしたが、みのりんはどちらかと言うと広々と歌いたいのにテンポは早いままで、オケが上滑りしてる、という感じがありました。会場もそもそもオケ向きではなかったと思いますし。

 ですが、やわらかい笑顔で歌う茅原さんのたたずまいは、変わらず、凛として美しいものでした。冒頭をアカペラ風に歌い始めた『優しい忘却』では息を呑んだし、『みちしるべ』は、やっぱりちょっと泣いてしまいました。──MCほとんどなしで(「わたしがこんなにしゃべらないライブも珍しい」と言ってましたが/笑)、歌唱こそに思いを込めて、届けてくれたコンサートでしたね。

 途中に15分休憩が入って、終演は19時15分頃だったと思います。規制退場(客席を満席入れておいて「密を避けるため規制退場」というのも、意味があまりよくわかりませんが)を経て、立川の北口で軽く食事してから(ギリギリ食事できる時間に終わらせてくれましたね)、帰宅しました。──この日は、とにかく、この社会情勢の中、そして茅原さんを取り巻く昨年からの状況の中で、開催してくれただけで大きな意味がありました。