night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

「三菱の至宝展」@三菱一号館美術館 9/8

 平日の午後、三菱一号館美術館に立ち寄った。



 『三菱創業150年 三菱の至宝』展というのを開催中。三菱の創業一族は、静嘉堂文庫、東洋文庫などに莫大な蒐集物を残したわけだけど、それを展示するものだ。──禍の時代の内向きな企画という気もする。

三菱一号館美術館

 とは言え、東洋文庫の古典籍は、美術品として鑑賞するものかと言われると、そうでもない気もするし、刀剣にも興味はない。ぼくが面白かったのは陶磁器。目玉は、静嘉堂文庫が持っている、国宝の曜変天目で、このために一室設けられていたが、これは暗く光る地に無数の斑紋がはっきりと浮かんでいて、なんだかちょっと不気味だ。以前に静嘉堂文庫美術館で見たときにも同じ感想を持っていた。

 野々村仁清の『色絵吉野山図茶壺』は、金泥の彩色が美しいし、輝く黒漆の背景がおしゃれだ。──中国陶磁も、龍泉窯の青磁、磁州窯の黒く描かれた紋様、清代の景徳鎮の大物…など、その一室だけで「体系的に持っている」ことの強みを見せつけてくるのだけど、すばらしかったのは、唐代の三彩の壺。唐三彩と言うと、黄褐色や緑色の釉を思い浮かべるけど、ここに出ていたのは、青みの強い緑色が白い地にさっと落ちかかっているもの。錆びたような、かすかな色合いが美しかった。