night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

"Tokyo 2020"

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 開会式の3日前、2021年7月20日20時14分の東京駅前。カウントダウンクロック、記念写真を撮る人がひっきりなしでした。

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 新型コロナウィルスの感染者がまた増え始める中で、1年延期・外出自粛・無観客の、特異なオリンピックが、東京で開催されました。もともと何のチケットを取ろうとしていたわけでもありませんでしたが、「尾根幹線道路を走るオリンピックの自転車ロードレース」、これだけは見たい、と以前から思っていました。

 自転車ロードレース、7月24日(土曜日)は男子、7月25日(日曜日)は女子です。──土曜日は、町田市側から自転車で、多摩ニュータウンの方向へ走って行くと、…なるほど、警察と自衛隊が展開して、バリケードを張って鎌倉街道を通行止めにするところでした。ちょうどやって来た路線バスが通行止めに巻き込まれていたりして、そういうのって調整しないんだね…(尾根幹線が横切れない以上、迂回のしようがない、という事情もあるかもしれません)

 「沿道での観戦」がよく思われないことは明らかだったのでぼくも警戒していて、この土曜日は、貝取団地側の公園の木立の中から遠目に見たのですが、さすがに遠すぎて、よくわからなかったのですよね。このため、日曜日の女子ロードレースの日は、ぼくも多少図太くなって、旧南野高校側の歩道に出て、待ち受けました。

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 というわけで、7月25日の尾根幹線道路。とは言え、大した“密”ではなかった。緑色のポロシャツを着た大会ボランティアの人たちが沿道を整理していた。

 交通が規制され、関係車両が一列になって西へ走って行くのを見送ります。自転車ロードレースは、武蔵野の森公園を出て大國魂神社などをパレード走行してから、是政橋で多摩川を渡ると本スタートになるそうです(つまり、いきなり稲城の激坂ってことですね)。そのあとは稲城の丘陵の住宅街をちょっと走ってから尾根幹線道路を西へ、町田街道に出てから津久井に入り、小倉橋を渡って道志みちを山中湖へ向かいます。──いや、もう、すごい地形のルートだな!と驚いてしまいますね。

 ヘリコプターがバリバリと上空にやってきます。いよいよです。──やってきたロードレース女子の車列は、…逃げ集団とメイン集団が、ほんの一瞬で通り過ぎていきました。

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 スピードが、圧倒的だったのです。風が通り抜けたようなものでした。…自転車の速さじゃないぞ、これ! と。

 ぼくは思わず、不思議な気持ちになりました。警察と自衛隊とボランティアと、スポンサーとテレビ局と政府と自治体と…、この国のたくさんの人が、このイヴェントのために動いていて、そしてそれは一瞬の風のように通り過ぎて行って、でもそのために生命をかけている人たちがいるということです。そういうことを考えて、不思議な気持ちになったのです。──必ずしもそうとは考えませんが、もしかしたらぼくは「感動」したのかもしれません。

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 先頭集団にいた、オーストリアのアンナ・キーゼンホーファーさん。この日の女子ロードレースは、この選手が、是政橋から一貫して先頭を逃げ続けて、ついに優勝してしまう、という、ものすごい展開になっていました。

 土曜の男子も、日曜の女子も、高温多湿で最悪な日本の夏の日でしたが、集団を見送ってから自宅に戻って、インターネット中継を見ていました。見慣れたような気になっていた日本の風景が、まるでツール・ド・フランスのような美しい中継映像になっていて、ちょっと新しい発見でしたね。自転車ロードレースって、お酒でも飲みながらゆったり中継映像を見るのが、ちょうどいいですね。

(9月26日公開)