night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

桃山展 @東京国立博物館11/28

東京国立博物館特別展「桃山─天下人の100年」

 後期展示の終了近くの寒風の強い日、やっと足を運んだ。上野公園の林の中の道、落ち葉のガサガサしたところに強風なので、埃っぽく、これは風邪をひきそうだと思いながら歩く。

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 オンラインの日時指定制であるだけでなく、一般2,400円という、これまでの国立博物館の特別展よりもかなり値上がりした入場料になっており、そのせいか場内は人出もそれなりだった。──冒頭から大きな洛中洛外図。洛中洛外図屏風はいくつもあって、“何々本”と呼ばれているけれど、これは所蔵先が明記されていない(個人蔵?)もので、かなり大きい上に、保存状態も良くて、隣にはもうひとつ「勝興寺本」が並べられているもののこちらの方が迫力がある。さらにこの後期展示では、東京国立博物館が持っている「舟木本」まで出ている。

 工芸品がものすごい質の高さだ。伊達政宗に伝わったという「桐紋花菱繋蒔絵二重短刀箱」は、赤っぽい漆と金の蒔絵で描かれた菱形の柄がモダンだ。酒田の本間美術館の所蔵の国指定文化財だそうだ。また、林原美術館の「縞蒔絵螺鈿重箱」もすごい。積層したミルフィーユのように横縞模様がほどこされていて、リズミカルな感じ。

 狩野永徳の唐獅子図屏風の隣には、東京国立博物館が持っている等伯の松林図屏風が満を持して(?)出品されている。また、京都の聚光院に見に行った狩野永徳の花鳥図襖、智積院で見た等伯の楓図襖にも再会した。そのほか、天球院というところの、狩野山雪の「籬に草花図襖」というのがよかった。何かをひそかに隠しているような絵だ、と感じた。天球院とは妙心寺塔頭だそうだが、普段は非公開寺院とのこと。

 「南蛮人渡来図屏風」や「世界図」なんかも興味深い。西洋人は特にことさら化け物のようには描かれていないのが逆に面白い(幕末のペリーが天狗みたいに描いてある絵があるけど、ああいうのとは違う)。西洋人を見る機会がある時代で、見たものを描いているのだろうな。「世界図」は、外国の地名を一つ一つ丹念に読んでみたい…と思った。満州に「おらんかい」って書いてあったりする。──後半は刀や具足や兜がいくつも。上杉景勝やら酒井忠次徳川家康の具足というのもあるが、意外に小柄なんだよね。伊達政宗の紺糸威五枚胴具足というもあって、これは兜に、有名な三日月のような前立てがついている。

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 …と、ひとつひとつ見ていくだけで、とにかくものすごい物量だし、どれも質が高くて、絢爛! 「90分以内」ではとても見終われない展示だった。