宮島達男といえば、ディジタルカウンターを使う作品が有名な現代アートの人として有名な名前である。その宮島達男の展示が、千葉市美術館で開催されていた。千葉、遠くはないのだが、いざ行こうと思うと遠い、という微妙な距離感だ。非番の金曜日、品川から総武快速に乗って約50分、千葉駅に着いた。
駅ビルを歩いてモノレールの乗り場に行って、県庁前行きの路線がちょうど出るところだったので走って乗り込んだ。この路線、どうやら15分おきくらいらしく、1本乗り過ごすと歩いた方が早いのか微妙なところになる。葭川公園(よしかわこうえん)という駅で下りた。公園がどこにあるのかはわからない。
昔の繁華街がひなびたような街並みを歩く。千葉、駅前にモノレールの高架が上空を絡み合うように飛び回っているのは未来都市風だけれど、こういうところを見ると、千葉も紛れもなく地方都市だな、と思う。国道126号線に出ると、千葉市美術館があった。ここはなんだかたいそう立派なビルであった。
この、壁に取り付けられたイコンが電線でつなげられている祭壇のような、…見たことのある違う人の作品によく似てる
ちょっとかわいい
はるばる来ては見たものの、いまいち展示の規模も大きくないし、肩透かし感のある展示だったのは否めない。ただ、暗い大きな部屋に円形にしつらえられた枠のなかで、一面に散りばめられた青いディジタルカウンターが明滅する作品──『地の天』は、有無を言わさぬ厳粛さがあった。暗い海のなかで、なにかを刻み、なにかを刻み終わり、そしてまたなにかを刻み始めるディジタルカウンター。これはある種の曼荼羅図かもしれない、と思った。
千葉市美術館のビルは、旧川崎銀行という洋館を覆うように保存したという、ちょっと驚いてしまうような建物で、1階は「さや堂ホール」という空間になっている。そこにプロジェクションマッピング。
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千葉市美術館のコレクション展示で目を引いたのは、川瀬巴水、井上安治、小林清親などの新版画。
シルエットの構図がかっこいい。
円山応挙の「秋月雪峡図屏風」。
千葉まではるばる来たものの、他に見たいものがなく、帰りはなんとなく千葉駅まで歩いて、また総武快速で東京にとんぼ返りした。