この日はまず地下鉄で北山駅へ、そこから一乗寺の方向へ歩いて行った。白川通りを渡って、住宅街に分け入っていく。
まず詩仙堂。
庭は斜面に作られていて、視界には広さは感じられない。しかし、都の灯を遠ざけて(だけれども遠すぎない)隠棲の住まいとしては、たしかに、ちょっといいな、と思う。だが、有名になりすぎているようでもあり、すこし人が多い。ここが有名になったのは何がきっかけだったのでしょうね。チャールズ皇太子とダイアナ妃も訪問したのだそうだ。
ここ、ししおどしの元祖なんでしたっけ。わりと野太い音がするんですね
こういうの流行ってるのかな
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近くにある圓光寺。ここ、先に来てみたら、閉まっていて、門前で数人の観光客が待っており、よく見ると、本日に限り拝観は11時から、という貼り紙があったので、詩仙堂を先に訪れていたのだった。どうやら何かのカメラが入っていたらしく、門前には、撮影隊のような人たちが何人か残っていた。
奔龍庭という新しい枯山水。なんというか、有無を言わさない何かを感じる。
ここは徳川家康の開基によるというお寺で、裏手の斜面の上に、家康の墓なんていうものがある。そこまで登った。
詩仙堂も圓光寺も、ぼくは18年前に訪れている。何も覚えていないものだなあ…、と、虚無感に襲われていたけれど、圓光寺の庭園の奥の斜面を登って、街並みを一望したとき、ああ、と、記憶がよみがえってくるものがあった。18年も経ったのか、と思う。あのときにどんな未来を自分が想像していたかも今となってはもはや定かではないけれど、少なくとも自分が想像していたようなものではない世界になったのはたしかだ。うつし世ははかない、と思った。
苔のお庭が美しい。
水琴窟。手入れされて澄明な水を保っている。柄杓で地に水を落とすと軽やかな音が聞こえる。音を通すためだろうけれど太い竹筒が二本も地中から伸びていて、ちょっと不思議だ。