night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

9/28(月)けいはんな記念公園

 木津の駅前は小綺麗なロータリーになっていて、ちょっと殺風景な新興住宅地という感じだ。そこに、小さな車体のバスがやってきて、老人が数人乗り込む。バスは1時間に1本、これも木津川市コミュニティバスである。駅自体はかなり古くからあるはずだし、人口もそれなりにある土地のはずなのだが…。ミニバスで、旧街道のような県道を行く。近鉄の線路を渡るし、駅(山田川駅)にも立ち寄る。途中、いかにも郵便局、それも集配局の設備があるような建物が、看板が掛け替えられて「シルバー人材センター」になっているのを見て、関西の郊外とはこんな状況なのか、と驚いた。「都心からの交通の便が悪い近郊の衰退」、労働人口が流出し、バス路線が維持できなくなっていく…、首都圏に住むぼくにとっても危機感のあることでもはや対岸の火事ではない。それは昨今の禍によって促進されているように思う。

 20分ほど乗って、木津川台7丁目という停留所でミニバスを降りた。広い幹線道路の両側に、整然とした戸建のニュータウンが続いている。同じ関西の、北摂三田ニュータウンあたりを思い出す。関東にはこういう風情の住宅街はあまり思い付かない(千葉ニュータウンの一部が近いような気もするが…)。行政が道路を敷いたが公団の手が入らず道路沿いの少しを除いてほぼ宅地だけ分譲された結果、商業地が形成されず戸建ばかりが並んで、隙間だらけの新興住宅地ができあがった、という雰囲気である。ここが本当に都心のベッドタウンだとしたら、とてもこんなミニバスでは通勤需要には足りないはずなのだけれど。

#どうやら、祝園や山田川から木津川台住宅には、朝と夕は奈良交通バスがあって、なんと奈良交通は日中だけ撤退したらしい。露骨なことをするものだ…。うちの地元もそういうことになりかねない、と、ちょっと寒気がする。

 住宅街を突っ切って歩くと、緑地の中の研究所のような建物が見えてきた。

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 「けいはんなオープンイノベーションセンター」だそうだ。このあたりは、「関西文化学術研究都市」(けいはんな学研都市)という、国が開発した学術地区で、ちょうど関東でいう筑波研究学園都市のようなところだ。だが、人の気配はない。

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 中を通ること自体は特に問題なさそうだったので、通り過ぎて反対側へ出た。──大通りを渡ると、「けいはんな記念公園」という広い公園の敷地になる。

けいはんな記念公園

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正式名称は「京都府関西文化学術研究都市記念公園」だそうだ

 ここにものすごい庭園があると聞いたことがあるのを、この日、午前中に祝園で乗り換えたときに思い出したので、寄ってみたのだった。有料200円。

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 柴垣の道をたどって行く。──なんか、木立の向こうに、ものすごい橋が見えるんだけど…

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 大きな橋がずどーんとかかっている。なんだこの橋! そして行く手にバクテリオファージみたいな建物が?

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 すごい高低差だ。

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 巨石文化の遺跡のようだ

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 ここは「水景園」というところ。「観月橋」という橋の下に、豊かな水をたたえた、大きな池がある。

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 圧倒された。こんなスケールの大きな「公園」、見たことがない。

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 池も、水面に複雑な高低差がつけられて、とうとうと流れている。「水景棚」というそうだ。

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 池の奥の方に行くと、流れの音が聞こえなくなり、深い山の中の湖のような風情になるのにも驚いた。ここが都市公園だというのだから…。

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 橋のたもとにある謎の楼閣(「観月楼」)の中は、こういった構成。こう言ってはなんだけど、必要火急の施設は、何一つない(笑)。だからこそ逆に、うらやましい。

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 だって、このめちゃめちゃな高低差を、人工の都市公園に作ってしまっているのだ。ここは、「現代の回遊式日本庭園」ということになっているが、もはや、新しい時代に生まれた景観の冒険!という感じで、まったく、京都府はものすごいものを造ったな! と舌を巻いた。──17時の閉園まで、この公園をめぐって歩いた。ちょっと時間が足りないかなと思いながら、思い切ってバスに乗って訪れてみたのだったが、来てよかった。

*

 帰りは、奈良交通の路線バスで祝園駅に戻り(けいはんな学研都市祝園駅の間には、通勤時間帯にはそこそこの本数のバスがあるようで、連接バスも走っているらしかった)、近鉄電車で京都の市内に戻った。──京都と奈良の間のこのあたり、これまでなかなか旅行の目的地にはしなかったところだけれど、この日は、よいお寺やお庭をめぐることができた。