翌日は月曜日。9時半頃にホテルを出た。四条烏丸あたりは京都の都心で、勤め人がたくさん歩いている。地下鉄に乗って南へ向かう。地下鉄が地上に出て、終点の竹田に着くと、そこは近鉄京都線と共用の駅で、向かいのホームに近鉄の電車が入ってくる。ちょうど東京の代々木上原や和光市のような駅である。急行橿原神宮前行きに乗り換えた。
今日は京都の市内を離れて、南山城の古寺巡礼に行こうと思っている。目指すのは、岩船寺と浄瑠璃寺である。とりあえず関西本線の加茂駅に向かうが、普通に考えると京都駅からJR奈良線に乗って木津で乗り換えることになるところだが、なんとなく近鉄に乗っている。都心から電車に乗って十数分で田園風景が広がるところが、関西旅行の楽しみである。竹田から30分足らずの、新祝園(しんほうその)という駅で下りた。ここはJRの学研都市線(昔でいう“片町線”)と並行していて、JRの祝園(ほうその)駅と隣接している。
30分ほどの待ち合わせで木津行きに乗り、すぐに木津に着いて、大和路線(関西本線)に乗り換える。
木津で乗り換え
木津と加茂の間は1駅。山を越えて里に出て、急にマンションが見えると、加茂に着いた。加茂は関西本線の途中駅だが、大阪から奈良経由で直通の快速電車はここが終点になる。そのためか、ここが通勤圏の末端のようになっているようだ。
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加茂駅前のバスロータリーから、木津川市のコミュニティバスに乗る。11時14分発の「加茂山の家」行きである。小さめの車両で、奈良交通バスに委託されているようだが、もともとは奈良交通の路線だったのだろう。加茂駅から、わずかな新興住宅地を出外れると、つづれおりの山道をぐんぐん登る。15分くらいで岩船寺のバス停に着いた。若干の集落もあるようだし、閉まりきった土産物屋などもあるが、バスから降りた二、三組の観光客以外、人気はない。
■岩船寺
本堂に上がると、どっしりとした阿弥陀如来が鎮座していて、見上げるような迫力で圧倒された。僧侶の方の説明によると、天慶年間のものだという。「天慶、ですか?」と驚いてしまった。藤原純友の乱の時代である。宇治の平等院の阿弥陀如来よりも古いというのが、売り(?)のようだ。
これはパンフレットを写したものだけど、実際に堂に上がって見ると、もっと薄暗い。阿弥陀如来像は、3メートルもの高さで、ケヤキの一木造りだという。
鬱蒼とした山中に三重塔が隠れている。ここはあじさいで有名なお寺なんだそうだ。