■日本・オーストリア外交樹立150周年記念 ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
クリムト展…ではないのですね。あくまでも、“ウィーン、モダニズムへの道 (Vienna on the Path to Modernism) ”というサブタイトルのとおり、文化史の系統展示でした。なにせ、最初がマリア・テレジアの肖像画から始まるのです…どこが世紀末ウィーンやねん、と一瞬思ってしまったのですが(メッテルニヒのかばんとか、興味深くはあるけど、なんでここでこれが、と)、そこから下って、ビーダーマイヤーという文化様式が現れ、家具などはもはやすっかりモダンなデザインに。驚いたのは、ナポレオン戦争時代、にも関わらずまるっきりモダンデザインとしか思われない銀製の食器などが、すでにあったということ。これ材質がステンレスになったら一気に大量生産の工業時代じゃないか、と…。19世紀初頭のウィーンに、すでにモダンが始まっていたのですね。分離派もドイツ表現主義も、いきなり生まれたものではない、というわけでした。
シューベルトの眼鏡、ヨハン・シュトラウス2世、…そして時代的には普墺戦争に負けた後、ウィーンの都市大改造が始まり、本当のモダンデザインがやってくる。──シェーンベルクの肖像とか、シェーンベルクが描いたアルバン・ベルクの肖像なんてものがあって興味深いです(シェーンベルクって画家でもあったんですか)。
クリムトはやはり外せません。夢を見ているような世界。
国立新美術館のロビーには、こんなかっこいいグランドピアノが。