翌朝10時過ぎに名古屋駅に戻ってきた。
大名古屋ビルヂングと、名駅の“針”。この“針”、なくなっちゃうんですって? これがないと名駅で自分の居場所が把握できないから困るんですが(?)
ホテルの朝食をスルーしてしまったので、ホームできしめんをずるずる食べていたが、ギリギリ気味になって、10時24分の列車に駆け込んだ。中央本線の快速中津川行き。──高蔵寺を過ぎるとけっこうな渓谷に沿って行くけれど、どのへんまで通勤圏なのだろう。列車は盆地に出て、10時59分に多治見に着いた。
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多治見ではいくつか美術館を廻ろうと思っていた。このあたりは“美濃焼”と呼ばれる古くからの陶器の産地であり、多治見市内には、
・多治見市モザイクタイルミュージアム
・岐阜県現代陶芸美術館
・多治見市美濃焼ミュージアム
…などなどの美術館が点在している。しかしそのどれもが市内でも違う場所にあり、公共交通による回遊性はまったくない、という仕組みになっている。
コミュニティバスに乗って、まず、多治見市美濃焼ミュージアムへ。なお、コミュニティバスは1乗車100円と書いてあるが、多治見駅からここまで乗ると200円である。
観覧者は誰もいない。古い織部や、現代作家の志野茶碗などを眺める。美濃焼とは美濃で焼いていれば美濃焼ということのようで、なんでもありらしく、さまざまな様式の陶磁が並んでいたが、ぼくが最も印象深かったのは、ショップに置いてあった美しい青白磁の小皿であった。かなり手ごろな値段だったので、買って帰って部屋に飾りたい、と強く思ったのだが、今日はまだ初めだし、と思って、見送ってしまった。結局、ずっと後悔することになるのだったが。
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窯業の工場などを眺めながら、丘陵地を越えていく道路を歩くこと20分ばかり、“セラミックパークMINO”という施設が現れる。ここはコンベンションセンターと岐阜県現代陶芸美術館が入っている施設らしい。道路から、歩行者用の入口というものは特になく、車といっしょに駐車場に入っていくような恰好になる。歩いてくる人なんていないのだろうな。
アプローチの天井に散りばめられた陶片。
インドの階段井戸を連想した。
外壁の黒いタイルの色合いが良かった。
織部と言われてもあまりぴんとこなかったが、こういう公共の備品を、深い色合いで作られると、感心してしまう。
岐阜県現代陶芸美術館では、企画展『フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア』を開催中だった。──フィンランドの民生品の食器などのデザイン(カイ・フランクなどの)ってたしかに有名だけど、それに至る前の20世紀初頭の、直線で構成された民族的なデザイン(よく見ると変形ハーケンクロイツだったりするものも)に驚く。
ギャラリーIIでは『マリメッコ・スピリッツ』ということで…、
こちらは特大のプリント柄の布で会場が覆い尽くされている。すごーい
茶室「真理庵」だって。
ここのショップで、手ごろなご飯茶碗を一つ、自分用に購入。