night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

10/15(月)台北到着

 機内でビールを飲んで、英語字幕で王家衛の『2046』を久しぶりに見ているうちに(“天人五衰”のシーンに思わず涙していた)、桃園国際空港にスムーズに着陸した。空港ビルには、青天白日満地紅旗の巨大なパネルが、到着する飛行機に向かって掲げられている。ここは中華民国である。──ターミナルビルに歩み入ると、湿度の高い空気に、南の国に来たことを感じた。

 現地時間で18時半頃には上陸したが、イミグレーションが大行列になっていて、思わず肩を落とした。──ここの入国は、“持中華民國護照旅客 Citizen”と、“持非中華民國護照旅客 Non-citizen”に分かれている。この表示、台湾という国の微妙な立ち位置を見事に反映した表現だな、と感心せざるを得ない*1。 行列する周りの人たちは、日本や韓国の旅券を持った人のほかは、旅行証を持った大陸の人が多い。

 “持非中華民國護照旅客”の列に並ぶこと45分ほど、やっと入国できた。やれやれ、長かった。入国審査では顔写真を撮影され、両手の指の指紋を登録するようになっていた。これはたしか日本も外国人に対しては実施していることで、どの国も入国審査は厳しくなった。

 桃園機場、着いたところは、天井の高い、新しいターミナルビルに見えたが、入国してやっと出てきた到着ロビーは、前回、2005年に来たときのままのように思われた。出迎えの人たちが柵に沿ってずらりと並んでこちらを見ている。銀行の窓口があるのも、なんとなく見覚えがあった。──喫煙所を探して車寄せの端っこまで行ったりして、時間を無駄にしたとは言え、桃園捷運の乗り場に行って、ホームに下りたのは19時45分頃だったので、上陸してから1時間以上もかかったことになる。さらに、捷運の直達車(急行)がちょうど行ってしまったところで、次の直達車まで15分近く待った。

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 桃園捷運の機場第一航廈站。台北車站まで160元、切符はプラスティックのICチップ入りのトークンである。

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 "Mind the gap"という表現、英国英語風?

 捷運の電車に乗ってしまえば、台北まで40分弱。もう外は真っ暗だが、淡水河にかかる斜張橋が色とりどりにライトアップされているのを眺めながら、電車は地下に入り、台北車站に着いた。台北車站では、地下連絡通路を7~8分も歩いて、メトロ(台北捷運)の松山新店線(緑線)の北門站まで行って乗換え、松江南京站で下りた。松江南京と南京復興の間くらいの位置、長春路に面したホテルを取ってあった。すでに21時頃だった。

首都唯客樂飯店 Waikoloa Hotel

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 三つ星ホテルで、ハワイの地名がついた変なホテルだなあ、と思っていたのだが、ところがどうして、入ってみると部屋は40平米はあろうかという広さで、ゆったりしたバスタブとシャワーブースが両方あるという部屋だった。設備もアメニティも、文句の付け所がひとつも無い。Wi-Fiも、部屋ごとのアクセスポイントがある。よいホテルに当たったものだ。どちらかと言うと松山空港に近いので(松山空港からなら、文湖線で南京復興までたった2駅だ)、そちらだったらだいぶ便利だったところだ。

*

 さっそくホテルから歩き出す。コンビニはそこかしこにあるので不自由しない*2。 南京東路を渡って、遼寧街に来ると、小規模な夜市になっていた。さすがに空腹なので、適当な店に入って適当に湯麺を頼んだ。

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 味が薄く、こしょうをかけたいな、と思ったが、食べ終わるころには、うまいな、と思っていた。

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 アジアに来たなあ、という思いがする。

 路上の席では男たちがおそらく二鍋頭などの透明なお酒をコップで飲んでいるのだが、不思議なことに、こういうところで缶ビールなどを売っている様子がない(店の中では瓶でビールは飲めるのだが…)。コンビニで缶の台湾啤酒を買ったが、煙草を吸いながら飲みたいので困ってしまった。──台湾は室内が全面的に禁煙になったとのことで、ホテルに戻ると煙草を吸うことができない。外で吸う分にはよいようだが、例えば、公園があるな、ベンチで煙草を…と思っても、「公園は禁煙」である。結局、南京復興の近くの、公園の隣の適当な路地の縁石に座って、椰子の街路樹の下で、缶ビールを飲みながら煙草を吸っていた。

 台湾、東京よりも気温は高く、この日も25℃近くあったようで、東京から着てきていた上着を脱いで歩いていたけれど、適当によい風が吹いて気持ちよかった。夜中に、街なかの、そんなわけのわからないところでビールを飲んでいても、特に誰からも見とがめられない。*3

 気持ち的にだいぶリラックスしてしまった。けれど、さすがに23時近くなり、飲食店も店を閉めるような気配であったので、ホテルに戻った。

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 本日のビール。

*1:自国民のことを、“台湾国民”ではなく、あくまで“中華民国の旅券を持つ旅客”と表現しているのである。英語の方の"Citizen"は、ちょっと曖昧すぎる表現ではないかと思うのだが…。

*2:台湾ではコンビニのビニール袋が全廃されたようで、実は台湾旅行の必需品はショッピングバッグではないかと思われる。ぼくは百均のへなへなのエコバッグを街歩き用のショルダーバッグに忍ばせていたのが役に立った。愛想の良い店員なら、買ったものをエコバッグに入れるのを手伝ってくれることもあった。

*3:野外でビールなど飲んで気持ちよくなっていたのは、蚊がいない季節だったからよかったのかもしれない、とも思う。蚊が媒介する各種伝染病の危険は、ゼロとは言えないだろう。