night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

藤田嗣治展@東京都美術館 10/5

 東京都美術館藤田嗣治展に行く。藤田の企画展は、近年、もう何度も開かれているような気がするが、人気のある画家だし、会期末も近いためか平日でもだいぶ混雑していた。チケットは先に買って行くのがよい。

東京都美術館>没後50年 藤田嗣治展

 冒頭から、若い頃の自画像や、軍服を着た父親の肖像など、最初からちゃんとした絵を描ける人だったんだ、と思う。パリに渡ったころの街角の風景画が、なんだかしみじみとよかったなあ。薄く雪の積もった石畳、そこに足跡が残るようすや、灰色の地面の広い画角の絵など…。バラの絵がとてもよかった。乳白色の、だがくすんだように影のある背景に、折れ曲がったような黒々しい枝ぶりを広げ、濃く赤黒い花が咲いている。背景とのコントラストがとてもおしゃれである。また、ブルターニュだかの海沿いの町で、路地の向こうの空を背景に十字架が(カルヴェールというらしい)立つ絵もよかった。

 だが、藤田の代名詞とも言える乳白色の背景や女性たちは、本当に当時そのままの色合いなのだろうか、と、いつも疑問を持っている。作品によって、くすんだり、セピア色っぽくなっているものもあるが、経年劣化したためなのか、もともとこういう色だったのか、どうなのだろう、と思ってしまうのだが。

 今回、珍しかったのは、戦間期のパリで藤田が手掛けたポスターとか、中南米で描いたまったく画風の違う作品たちなど、だろうか。そして、東京国立近代美術館にある、サイパン島の巨大な玉砕の絵も。──戦後、戦争協力を指弾された藤田は、日本を離れて、二度と戻ることはなかったわけだけれど、西洋人の来場者たちがその英語のキャプションをどう読んだか、気になった。

 バラの絵がとても気に入ったので、ポストカードでもあれば買おうかしらと思っていたけれど、ショップが芋洗いのような混雑で、時間がなかったのでパスして出てきた。

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