night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

新海誠展、安藤忠雄展 @国立新美術館 11/11

 新海誠監督、いつの間にやら時代の寵児になってしまいました。大規模個展が全国を巡回中で、東京展はなんと国立新美術館です。あの作品の舞台の一つでもあることですが、それにしてもこんな時代が来るなんてねえ。渋谷の、奇妙な形をした狭い映画館で、ほとんど人がいない中、『雲のむこう、約束の場所』をしんみり見たのは、いつのことだったか…。──東京展の開催期間は、11/11から12/18までの約1か月間にすぎず、混雑必至の短期決戦になると見て、開幕初日に足を運びました。

新海誠展 「ほしのこえ」から「君の名は。」まで

 …とは言え、新海監督はぼくにとって当世もっとも尊敬するクリエイタの一人です。『秒速』であの山崎まさよしの歌がかかる瞬間のコンテに記された、微妙な含羞というか、計算というか、のような文章に、ふふっとしたり。よかったのは、『雲のむこう』のパイロット版の映像が見られたこと。あれ、制作中に新海さんのサイトに掲載されていて、美麗この上ないのはもちろん、ゆるやかに降りしきる雪を背景にタクヤがヒロキに銃を突きつけて、そこで投げかけられる問いかけ──「サユリを救うのか、世界を救うのか」。あのシーン、公開版では、背景が工場の板壁になって、さっぱり動かないシーンになっちゃったのだよね…(制作体制の限界があったのかな、などと思ったものでした)。

 『星を追う子ども』は正直なところぼくの興味の対象外だったし、『言の葉』はとにかくあざといなあ、と思うのだけど、…『言の葉』にしても『名は。』にしても、新海さんの作品で描かれる、東京という都市と、そこで描かれる人の心の動きの美しさは、自分が普段忘れている、もしくは気づかないものを、見せてくれる、そういう意味でぼくはとても好きです。私たちは不安定な世界に生きているが、それでもそこには描くべき美しいものがある、という意味のことを新海さんはどこかで書いていましたね。──図録を買って帰りました。


A4変形サイズの大きな図録

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 国立新美術館では、安藤忠雄展も開催中。こんな大規模展を2つも同時開催できてしまう、国立新美術館という箱の威力は、考えてみればすごいことです。

安藤忠雄展 ─挑戦─

 こちらは、安藤氏本人の解説が聞けるイヤフォンガイドが、面白いのなんの。関西の方ですが、ほとんど漫談のような語り口です。初期の住宅など、結果的に住みやすい家ではなかった、と本人が認めちゃったりするところも。


 目玉は、1/1スケールで中庭に仮設された“光の教会”。これ、前から興味あったのですよね。しかし、行ったのが夜だったのがよくなかったのでしょう、外からの光が弱く、こんなものか…という感じになってしまったなあ。