▽きことわ(新潮文庫)/朝吹真理子
「かつてみた夢に会いに来ているようだと永遠子は思った。」
「車内のひかりが反射して貴子の顔と真向かいの乗客のすがたとが車窓に半透明にかさなりあう。行きの車窓とまるでちがう速度で過ぎ去ってゆく。ひかりより疾く過ぎ、このまま時間を越えてゆきそうだと思えたが、それは夜のせいなのかもしれなかった。」
▽シベリア鉄道紀行史 アジアとヨーロッパを結ぶ旅(筑摩選書)/和田博文
▼すばらしい新世界(ハヤカワepi文庫)/オルダス・ハクスリー、大森望訳
▽世界の美しい地下鉄マップ 166都市の路線図を愉しむ/マーク・オーブンデン、鈴木和博訳
▼観応の擾乱 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い(中公新書)/亀田俊和
▼人生を危険にさらせ!(幻冬舎文庫)/須藤凛々花、堀内進之介
▼謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア(集英社文庫)/高野秀行
▼響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章 前篇(宝島社文庫)/武田綾乃
*
▼灰とダイヤモンド/橘いずみ
(ソニーミュージックショップ)
もとは1994年にリリースされた、渋谷公会堂・日比谷野外音楽堂でのライヴを中心におさめた、コンセプト映像のVHS、それをソニーミュージックが通販限定で再発したDVD。VHSテープも持っているのだけど、気が付いたらもうVHSを見られる機材が自宅にないのだった。ライナーノーツは、VHSについていたのと同じ、一枚の紙を折り込んだもので、ちゃんと原版が残っていたんだね。
「趣味は何ですかと訊かれて“旅行”などと答え、“外国にも何度か”なんてかっこつけてみせる」! …今なら、ブログやTwitterやインスタ漬けのぼくらの、戯画化にほかならないよね。中学や高校のとき聴いていた音楽、いま聴いても、胸が熱くなる。──あの渋公の『失格』のアクト、あれは、どこまでアドリブだったのだろう?