night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

Kalafina Arena LIVE 2016 @日本武道館 9/17

 Kalafina日本武道館コンサートに行ってきました。今回のツアーは、神戸のアリーナ×2days+日本武道館×2daysというものでしたが、ぼくは最終日のみの参戦。手に入れていたチケットは、2階東スタンドという、「入れるだけありがたい」席でした。入ってみると、ほぼステージの真横。4列目と、標高は比較的低い位置だったのが、辛うじて救いかな…。以前は西のほぼ頂上みたいな位置だったこともあったからなあ…。

 開演予定時刻は16時。北側に三角形のステージが組まれ、花道や出べそのない、シンプルなステージセットです。16時00分きっかりに開演前アナウンスが入り、5分で始まりました。──しかし、客電が全照になり、えっ? と思っていると、Keikoが一人で登場して、ソロのアカペラで『アレルヤ』を歌い始めました。「未来は君に優しいだろうか?」…と語りかけるように歌うKeiko。1番のサビ前まで歌ったところで暗転し、せり上がりでWakanaとHikaruが登場する、そしてピアノ伴奏で…という流れ。緊張感あるスタートでした。

 ぼくは2階の横にいるので、あ、舞台にポップアップが開いた…などの仕掛けが、よく見えました。その後、舞台の後ろ側が下がって、奈落の中でスタッフが大勢でブロックを組み合わせて階段を作っている場面が見えて、感心したりしていました。序盤の3人の衣装は、キラキラの振り袖のような、19世紀の西洋人が勘違いした東洋、みたいな謎のキモノ(ぼくはピン・ポン・パンを連想してしまいました)。その後、3人はそのキモノを脱ぎ捨てて、また開いたせり上がりの穴に投げ捨てると、中に着ていたのは白っぽいチュニックドレスのような衣装でした。『ring your bell』の最後、Wakanaの高音が、ハイFisに上がったときは「おおっ!」と感心。このFisについてはその後のMCでも触れられていましたね、「グッズでF♯のネックレスとか作りたい」「♯が取れて♭にも交換できるの」とか言ってましたね。

 ステージセットは、バンドが高い壇上にいて、ブロックを組み合わせたジッグラトのような階段が作られていた以外は、比較的シンプルだったのですが、後方のスクリーンに投影される映像や、白いステージ自体をスクリーンにしていたり、武道館の箱全体に照明が乱舞し天井にも投影される紋様など、立体的な照明の演出はすばらしいものでした。ぼくがぽかんと口を開けてしまったのは、『red moon』で、もやもやとした瘴気が舞台上の階段に揺らめいて、壇上の中央にいるWakanaがその依り代になっていたような、プロジェクション・マッピング。この曲はこれまでのどのライヴでも非常に力の入った演出がされてきているように思いますが、今回は、本当にものすごいものを見た、と思いました。──続く『Magia』では逃げ回る黒髪の少年Hikaruと、それを誘惑する美しい悪魔のようなKeiko、そしてステージサイドの出っ張りでは緑色の照明が当たって禍々しく無表情に歌い続けるWakana、という展開。このあたり、本当に、この日の白眉と言うか、Kalafinaの舞台の演劇的な演出の真骨頂を見た気がします。

 『to the beginning』のあとのMCでは、アニメを語らせたら長いHikaruによる『Fate/stay night』が「目が離せないゼ!」とかいう解説(笑)に続いて、新曲『blaze』。このあたりからは、アリーナ席はだいぶ盛り上がっていたのですが、2階客席は相変わらずの完全オフモードで、よくも悪くもKalafinaの客層ってこうだよなあ、と歯噛みをせざるを得ませんでした。──『blaze』からアタッカで『destination unknown』、そして『identify』『signal』とアップテンポな曲が続きましたが、やはり圧巻だったのは定番曲『音楽』。今回はパーカッションの中島オバヲさんがバンドに参加していたのですが、パーカッションプレイが炸裂する『音楽』は、Kalafina史上ベストアクトじゃないかと思われるほどでした。しかし、Keikoが、息を切らしながら「リベンジさせてください」と言ったのは、直接には、オーディエンスとコールアンドレスポンスしたときに、オーディエンスがちゃんと入ったのにKeikoが出とちってしまった(^^;ことだったとは思いますが、…想像していたほどの盛り上がりを見せなかった客層、でもそれこそがKalafinaが作り上げてきた客層、という背反を、彼女なりに呑み込んだ言葉、に聞こえてしまったのですが、うがちすぎですかね。

 たゆたうような新曲『into the world』でおしまい。この時点でちょうど18時でした。アンコールは、アリーナ中央の通路に組まれた小さな壇上に現れて、『in your eyes』からスタート。このアンコールが始まるときに、まず現れたバンドメンバのうち、ギターの是永さんがちょっと煽ったら2階客席の一部もついに立ち上がったのでした。彼女たちがあれほど煽っても立たなかった人たちが…(笑)。セットリスト的に、『One Light』なんかは、アンコールに取っておいたな、と言うのが見え見えでしたねー(^^ アンコール恒例の、Hikaruによるグッズの解説は、「B4サイズのパンフレット」について。「神戸でB5って間違えて言っちゃったけど、誰も突っ込まなかった」とか(笑) 「こう、やってるKeikoさんの、このへんが、透けててセクシーです」とかポーズ真似するHikaruに、ひゅーっと盛り上がる客席に、「(そういうの、大丈夫です^^;)」とジェスチャーするKeikoでした。今回はKeikoの逆襲(?)もあり、Hikaruの背中が大きく開いてるショットがあるそうなんですが「お姉さんあれはNG出そうかと思ったよ?!」なんて。

 ダブルアンコールは、本当に予定になかったようで、キーボードの櫻田さんを呼び込んで打ち合わせして、「どんなヴァージョンでもいいです」とKeiko。『sprinter』でした。「君に会いたい/君が恋しい/君に会いたい/君が愛しい」の合唱をオーディエンスに誘いました。これはどんなヴァージョンでも本当にいい曲ですね。アニメ―ション作品から飛び出してそれを優に飛び越えた、名曲になったよなあ。

*

アレルヤ
・believe
・storia
・花束
君の銀の庭
・胸の行方
ring your bell
・夏の朝
・追憶
・red moon
Magia
to the beginning
・blaze
destination unknown
・identify
・signal
・音楽
・into the world

-encore-
・in your eyes
One Light
ひかりふる
・未来

-double encore-
・sprinter

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 Kalafinaというプロジェクトが、3人が、どういう方向に進んでいくのか…、ぼくはどっぷりとFJCファミリーのファンをやっているわけではないので外野から見ているだけなのですが、デビューから8年が経過して(ぼく自身は最初から知っていたわけではありませんが)、3人それぞれ昔とは声質や歌い方が変わってきているのも事実だと思うし、人の声という、ある意味で“生もの”、しかもそれが3人で、3人ともものすごいレヴェルでそろわないと、成立させることができない、というアートを、続かせていくのは、大変なことだと思います。いつまで続くのだろう、と思いながら、でも、ライヴに行けばいつも驚嘆させられるのもまた事実。可能な範囲でこれからも追っかけて行きたいですね。