night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

9/23(火)南京(城壁と陵墓の森を歩く)

 すでに時刻は14時頃。少し歩くと「集慶門大街(Jiqingmen Dajie)」駅があったので、地下鉄に乗った。

 今日は、上海から、高速鉄道でいきなり南京に来てしまったものの、実は南京市について地図もなにも持っていない。今回の旅行で持ってきた『上海』のガイドブックは、蘇州や杭州のことは書いてあるが、南京のことは載っていなかった。さきほどの紀念館も、地下鉄の駅名をおぼろげに覚えていたのを出たとこ勝負で訪問したのだった。南京は、中山陵という孫文の陵墓が有名なのと、さらに古い、明の孝陵という世界遺産がある。また、明の時代の古都であるので城壁都市としても有名だ。南京の城壁を歩きたいなあ、中華門まで行ってみたいけれどちょっと遠いよなあ、と思いつつ、赤いラインの地下鉄2号線に乗って、「明故宮(Minggugong)」駅で降りてみた。


 ──が、想像はしていたが、明故宮は単なる遺跡公園で、何もなかった。さらに歩くと南京博物院があり、後ろ髪を引かれたが、そびえ立つ城壁と中山門が見えたので、登ってみることにした。



 修復されているけれど、これが南京の城壁。──もしかして中華門まで歩けちゃったりするのかな? と思いながら、南へたどった。霧雨が降り始めていた。


 城壁の外側には水辺に赤い屋根の新興住宅地が広がっている。


 ──が、城壁は途中で途切れた。やっぱりね…。


飛び降りるわけにもいかない

 てくてくと城壁の上を歩いて引き返し、適当なところで城内に下りた。藍旗街というところだった。


 流していた黄色いタクシーを拾い、若い運転士に、「明孝陵(ミンシァオリン)!」と声をかけ、助手席に乗り込んだ。上海でも乗らなかったタクシーに南京で乗るっていうのもちょっと冒険だけど、「明孝陵車站?」「不、不是地鉄、明孝陵公園。」…話は通じたようだ(地下鉄2号線には明孝陵という駅がある)。この時点ですでに15時20分頃だったので、「もうすぐ4時だよ。」「えっ、四点関門?」「不、五点。」…明孝陵景区は夕方5時までだそうで、只有一個小時、云々、と話しながら、タクシーは南京の市内を爆走し、紫禁山への山道を登って行った。

 タクシーは明孝陵景区の入口の門の前に着いた。メータは15元を示していたが、「プラス2元」と言われた。見ると、燃料代として2元を上乗せする、という意味の中文が、ダッシュボードに貼られたシールに書いてあった。タクシーを降りるときに傘を忘れそうになり、呼び止められたりした。──運転士は、桑という姓の、気のよさそうな兄ちゃんだった。まともな運転士でよかった。

*

 明孝陵景区の入場料は70元。──明孝陵は、明の太祖・朱元璋とその皇后の墓である。しのつく霧雨の中、深い林と草原にふちどられた参道に、茫洋とした風情の石像が待ち構えている。不思議なところだ。









 門を入り、堂をめぐりながら森の中に進むと、行く手に城門のようなものが見えてくる。



「此山明太祖之墓」

 これが墓か…。まるで城だが、この楼閣は単なる葬祭のための場所であって、その背後の薄暗い山の地下に、宮殿があり、皇帝はそこに眠っているということだ。ちょっと気が遠くなるような話である。 


 雨が降り始め、暗くなってきた。景区出口のバス停(時刻は掲示されていない)で10分くらい待ったら、路線バスがやって来た。運賃は2元だが小銭が無く、5元紙幣を運賃箱に放り込んだが、あとからよく見たら2元きっちり払えた。往々にしてこういうことになるな。まあいいだろう。17時29分、バスで出発。この路線バスは観光客向け路線で、中山陵景区を経由して、地下鉄の下馬坊(Xiamafang)駅に着いた。また地下鉄2号線に乗り、新街口(Xinjiekou)で1号線に乗換えて、南京車站まで戻ってきた。市内のごく狭い範囲を移動しているのだが、下馬坊から南京車站まで30分くらいかかった。


 18時20分頃だった。南京駅の出札窓口で、例によって、上海まで「一番早いのを頼む。」というやり方(笑)で、乗車券を買い求めたところ、19時00分発の上海行きの高速鉄道の切符が手に入った。



 南京駅。


 8両固定編成×2の16両編成。妙に汚れている。



 「新空調一等座」。

 19時00分発の上海行きは、停車駅が少ないダイヤらしく、上海まで1時間39分で着くらしい。来た時とは違う、欧州(シーメンスだっけ?)系の車両で、なんと堂々の16両編成だった。こんども一等座で、上海まで悠々の高速鉄道旅行。上海に着いたときは4分遅れになっていたが、これはほぼ定刻と言っていい範囲だろう。


 先頭車両には、このような特等席が。「商務座(Business Class Coach)」だそうだ。

*

 上海駅に着いて、北側の駅前の民族系ファストフードでワンタンスープと春巻のセットを…頼んだら、春巻が品切れなのでこれでいいか、と焼鳥を串2本くれた。「可以吗?」と言うので面倒になって「可以」と答える。しかし特にうまくもないので食べ残す。席に座るとラー油と酢を配りに来るおばさんがいる。最初からつけとくか卓に備え付けとけばいいのでは?と思う。青島ビールとあわせて36元。ビールは冷えてない。運ばれてきたらレンゲだけで箸がついていなかったので、「筷子!」と要求しておばさんに割り箸を持ってこさせたが、あとから考えたら、ワンタンだからレンゲだけだったのだ。箸を使わないと食事ができない日本人の私であった。


 21時40分頃、地下鉄1号線に乗った。空いている。上海人は夜は早いのだろうか。空いているからか、松葉杖を使い、カラオケセットを抱えてマイクで歌いながら、小さな女の子に小銭を集めさせている男が車内を通りすぎて行った。

 ホテルに戻ってからテレビで英語ニュースを見ていると、上海のメテオロジカル・オーソリティは今日の午後5時に黄色警報を解除した、とのこと。上海市内はだいぶ雨が降ったようだが、台風は東の海に抜けて韓国へ向かっているらしい。300km離れた南京は、辛くも強風域的な円の範囲には入らなかったようだ。まずはよかったが、これ、帰国の日に日本の本州に近づいていたりしないかなあ。


 本日のビール。これもサントリー。昨日のもそうだったが、日本のビールよりもアルコール度数が低く、軽いように感じた。