night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

9/24(水)杭州西湖一周

 味をしめて、今日も高速鉄道に乗ろうと思う。──昨日は上海駅から乗ったが、新しく高速鉄道ターミナル駅として発展しているのが、上海虹橋(Shanghai Hongqiao)駅らしい。上海虹橋国際空港と直結した駅で、北京行きなどの長距離の高速列車は主にこちらから出るようだ。今日は杭州に行こうと思うが、上海虹橋駅から杭州東駅を通る列車が、これまたかなりの本数、出ているらしい。


 というわけで、陝西南路駅から、紫色のラインの地下鉄10号線に乗って、「虹橋火車站(Hongqiao Railway Station)」駅まで行った。広いコンコースを右往左往しながら、「鉄路售票処」を探す。ここではさすがに、窓口にはそれなりの行列ができていた。というか、保安区域の外は有人窓口の数がかなり絞られていて、「售票処」の案内表示に従ってたどり着いても、窓口が並んでいても開けていなかったりするのだ。それでも、10分程度並んだだけで済んだが。行列している最中、隣の列のおっさんとぼくの後ろのおばさんが激しい口論を始めた。そんなに離れていてなぜケンカが起きるのか意味がわからない。──ここでも、「ハンジョウ・イースト(Hángzhōu East=杭州東)まで、いちばん早いのを。」という方法で、約45分後、10時36分発の二等座を買えた。73元。安い。杭州東までは160km程度、1時間あまりのようだ。

 上海虹橋駅、乗り場へのゲートが、なんと30個くらい並んでいる。極端すぎる。免税でもなかろうに高級品の店舗が並んでおり、まるで空港のようだ。


 これが鉄道の駅の待合室だと言われても…。中国の手にかかると何もかもが極端になる傾向がある。



 10時36分発の杭州東方面の列車は、寧波行き。これ、上海虹橋が始発ではなく、今朝7時10分に徐州東を出て、すでに600kmあまり走ってきている列車である。それが定刻でやって来るのだから、すごい。──長途やって来たのは、またあの東北新幹線ベースの車両だった。二等座は3列+2列の、おなじみの新幹線の普通車スタイルだ。ぼくの座席は2列座席の窓側(日本風に言うと「E席」だが、ここでは「F号」になる)だったが、隣の若者人民が弁当を食い、前の座席の背中に挟んである紙の「清潔袋」にツバを吐く。あれは汚物入れだったのか。気を付けなければならない。──この列車では、例の車内の電光掲示に、最高「302km/h」という表示が出た。



 11時41分、定刻で杭州東駅に到着。途中駅なので降りそびれないようにしなければならない。杭州市内に入ったあたりで、デッキで待機していると、小さな女の子を連れたお母さんが、子供に「はんじょう(杭州)。」と教えている。子供が満面の笑顔で「ぱんじょー!(^^」→お母さん「はんじょう。」→子供「ぱんじゅー!!(^^」 …中国語の発音は難しいよねえ。(^^;

 杭州東駅からは、またすみやかに地下鉄に乗る。「龍翔橋(龙翔桥 Longxiangqiao)」駅で地下鉄を下りて、地上に上がると、空からは晴れ間がのぞいていた。繁華街らしく、大通り沿いに商店が並んでいる。話題の「メイソウ」もあった。

*

 杭州に来たのは、古来景勝地として名高い西湖を、歩いて一周してやろう、という思惑があったため(逆に言うとそれ以外の目的はない)。龍翔橋駅から西に向かうと、西湖の岸辺があった。観光客でごった返している。まずはスターバックスに入り、30元のグランデラテと12元のレーズンズブレッドで腹ごしらえした。スタバはやっぱり高いなあ。



 リスに餌付けする老人に人だかりができていた。


 カラオケで歌いまくるおばさん。この国ではこういうのが、ある種のレクリエーションなんだよね。



 公園を歩いていると、ときどき、歌いながら歩く人民オヤジがいる。わざわざマイクとスピーカで拡声しながら歌ってるオヤジがいたときは驚いた。まわりの人民オバハンも笑ってたから、さすがにあれは珍しいんだと思う。──森の中では、聴いたことのない蝉の声がする。「ウィッス(G音)、zhi----------(E音)」という感じ。




 雷峰塔(Leifeng Pagoda)。もともとは五代十国の時代に作られた仏塔だったらしいが、階段にエスカレータが設置されていて驚く。そもそもいま建っているのは、それらしい形をしているだけのビルにすぎず、中にはエレヴェータまであった。だが、展望はすばらしい。



 蘇堤が見える。宋の時代の蘇東坡という文人官僚が築いた人工の堤防で、湖の西側を南北に伸びている。






 蘇堤はレンタサイクルが走りまくっていた。観光カートも、西湖を時計回りに頻繁に走っているが、いつ見ても満員なので乗れない。



 岳飛廟。岳飛とは南宋の将軍で、金に対抗して武勲を揚げたけれど不遇に終わった、悲劇のヒーローですね。


 西湖の北側にあたるここは、「白堤」と言って、白居易が唐代にこのあたりの行政官だったときに築いたものだそうだ。堤が切れるところが断橋と呼ばれているが…。


 ハーゲンダッツのお店があったので、ラムレーズンのカップで喉を潤した。


 断橋まで来たところで、さすがに疲れ切ってしまった。足にまめができてしまって痛い。西湖を歩いて一周するという目論見は完遂できなかったが、断橋まででも四分の三以上を歩いているので、よしとしよう。──路線バスの停留所を見つけて、7番という路線バスで「城站」=杭州火車站まで乗った。2元、すし詰めのバスで手すりにつかまり、市内をくねくねと25分ほどかかった。


 こちらは、来た時の真新しい高速鉄道杭州東駅とは別の、在来線の杭州駅である。超長距離列車を待つ人民が群れを成していた。本数は少ないがここに発着する高速列車もあり、18時00分の上海虹橋行きがあることを時刻表で確かめた上で、2階の售票処に並んだ。──窓口の服務員小姐に「だから無いって言ってるでしょ!」といった風にやり込められているおばさんを、うまいことかき分けて、無事に乗車券が買えた。


 ここは在来線の駅のためか、駅の中は薄暗く古めかしく、人民中国度(?)がかなり高い。自宅に電話をかけてから構内に入った。──茶葉の店で、龍井茶をお土産に一缶買ったが、「袋は要る?」「要る」。…何もくれない。「どうしたの。」「袋要ると言ったんだけど。」…やっぱりぼくの中国語は通じてないなあ。



 今度も帰りはシーメンス車両。となりの側線に停まっている緑色の古めかしい客車と、最新鋭の高速鉄道の車両との対比が、中国らしいところだなあ。──今度は切符を買うとき、「ファーストクラス」とはっきり指定して買った。やっぱり一等座のほうが、楽でいいや。(^^;

*


 上海虹橋駅からまた地下鉄で陝西南路駅に戻った。陝西南路駅は、1号線と10号線の乗換え駅だが、乗換え通路の整備が間に合っていないらしく、いったん地上に出て工事中のようなところを歩くことになる。ホテルも1号線の駅に近いので、乗換え客に混じって、夜のでこぼこの歩道を注意して進んだ。途中、これまた民族系のファストフード店で、カレーラーメンのようなもの(18元)を食べたが、これはちょっと失敗だった。──レジでぼくが、くしゃくしゃの旧1元紙幣(赤いやつ)とか旧2元紙幣(緑色のやつ)とかを財布から引っ張り出して、もにょもにょと数えていたら、店員のお姉さんが、「ああもう、換えてあげるよ!(^^」と持って行ってしまい、会計の釣銭に加えて、1元コインで額面分に換えてくれた。見ると、その紙幣はレジスターには入れず、店員同士で「ちょっと見てよこれ」「あらまあ」みたいな会話(想像です)をしていた。旧紙幣を見かけることなどなくなっているのだろう。1分(100分の1元)の紙幣とか、あったよね、昔は。。。(^^


 本日のビール。やはり中国のビールは軽いと思う。でも飲みやすくて悪くない。