night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

3/21(金)セント・ポールズ・カテドラル、テイト・ブリテン

 バービカン駅の近くのカフェでサンドイッチとラテを買って昼食にしたあと(残念ながらあまり美味くはなかった)、セント・ポールズ・カテドラル(St Paul's Cathedral)へ歩いて行った。“大聖堂”の発音は「カテドラル」というより「キャシードラル」のほうが近いのかな。


 大聖堂の背後から近づいていくような感じになった。



 こちらが正面。彫像は、アン女王だそうです。

 入場料は成人16ポンドのはずだが、なぜか14ポンドのConsession Ticketを売ってくれた(学生と思われたのかな?)。音声ガイドはチケットに含まれているので借りたほうがよい。日本語もある。

 1711年に完成し、"The Blitz"=ナチス・ドイツのロンドン空襲にも耐えて、今なお建つ、日本人の感覚からするとちょっと恐るべき歴史を誇る建物である。ダイアナ妃の結婚式もここだったのですね。──ドームを見上げるだけでも気が遠くなるような大きさだし、大勢の観光客が入っているにもかかわらず、祭壇に向かって歩いて行くと、おのずと自分の中の何かが鎮められていくような感覚があった。内部は撮影禁止。


 長く狭い階段を上ると、ドームの上に出ることができる。ロンドンの都心を一望できます。



 風がとても強かった。ロンドン、あまり高い建物が無くて、高層ビルがあるのは一部だけのように見える。


 桜が咲いていた。桜に反応して写真撮っちゃうのは、いかにも日本人観光客って感じだけど…

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 昨日も渡ったミレニアム・ブリッジをまた渡り、テイト・モダンの近くの埠頭から水上バスに乗った。テイト・モダンとテイト・ブリテンを結ぶ“Tate to Tate Service”という船便(運賃は、たしか6ポンドくらい。オイスター・カードでも払えるが、残額が足りなかった)で、テムズ川をさかのぼること15分くらい。ミルバンク(Millbank)の埠頭で船を下りると、テイト・ブリテンがほぼ目の前にある。


 テイト・ブリテン、来てから気づいたが、ここの所蔵で、ラファエル前派的な意味で最高のものは、いまは東京に行ってるんだよね…。

 ここも英国の国立美術館だけに、ターナーのコレクションが厚い。“Sunset”という作品が妙に気になった。おそらくスケッチで、完成作ではなさそう。ニスの状態もよくない。だが、一か所だけある強い赤と、黒々とした部分のコントラストが強烈だ。

 Joshua Cristallの“A Girl Sewing at a Cottage Door”という絵も何かほのぼのとしていて気に入った。他に、Sir George Clausenの“Brown Eyes”という、麦畑?を背景に、こちらに向かって目を見開いている(何かを恐れているように見えなくもない)少女の絵や、John Singer Sargent“Carnation, Lily, Lily, Rose”という、夏の夕方に花に囲まれて日本の提灯に火を灯そうとしている女の子たちの絵など、いい作品がたくさんあった。──ラファエル前派的には、John William Waterhouseの『シャロットの女(The Lady of Shalott)』がとても魅力的な絵だったなあ。


 また、ここでは“Ruin Lust”という企画展示(有料、11ポンド)もあった。“廃墟趣味”みたいなものはここ西洋にもモダン・アートの一分野として生まれつつあるらしい。ナチス・ドイツが欧州の西海岸に残したコンクリートのトーチカをモノクロームで写した写真など…。


 テイト・ブリテンの裏手に立つ、ミレイの銅像

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 閉館近くまでぶらぶらしてから、テイト・ブリテンを出た。夕闇迫り、小雨も降ってきたので、バスに乗っちゃおうかとも思ったが、オイスター・カードの残額があまりなく、バスでチャージできるのかよくわからなかったので、結局、ヴィクトリア駅まで歩いた。途中には、『Wicked』の看板を掲げた劇場(アポロ・シアター)があった。

 ヴィクトリア(Victoria)駅は、ガトウィック空港から市内に来るときの玄関口になるという駅のようで、大混雑しており、機械に行列してオイスター・カードをチャージ(Top Up)してから、サークル線に乗った。サークル線もちょうど夕ラッシュの時間帯のせいか、乗るのに苦労するレヴェルの混雑だった。──さらに、サークル線は、ここではディストリクト線と線路を共用しているのだが、ディストリクト線のほうが列車の本数が多いようで、西行きのホームで待っていると、ディストリクト線のウィンブルドン行きとかは何本も来るのだけど、サークル線のエッジウェア・ロード行きがなかなか来てくれない。ロンドンの鉄道網の運行形態もそれなりに複雑である。


 グロスター・ロード(Gloucester Road)駅でいったん電車を下りて、ピカデリー線のホームまでわざわざ行って写真を撮ってきた。水樹奈々さんのアルバムのブックレットに写っていたプラットホームですね(^^



 ただの注意書きなんだけど、タイルにきれいに描かれると、とてもかっこいいデザインになる。英国ってこういうところがいいよなあ。

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 夜は、クィーンズウェイ駅の近くのパブに行ってみた。英国に来たからには、パブに入らなくては!(^^ ──実は、ホテルのすぐ近くにあるパブにも行ってみたのだけど、入ってみると、メニューもないし、カウンターに近づいても店員は話しかけても来ないし、という調子で、ちょっとハードルが高いぜ、と思って別の店に来てみたのだった。


 こちらの店は店員も「お待ちのかたどうぞ?(Who's waiting next?)」と愛想がよく、メニューも置いてあった。よかった、と思いながら、しかし、知っていて発音できる銘柄のビール、となると、「…ギネス! 1パイント、ギネス、プリーズ!」しか言えない(笑)。あと、「Cod and Chips」(要するにフィッシュ・アンド・チップス。codってタラのことだよね)を。しめて16ポンド44ペンス。


 運ばれてきた魚の大きさに驚きつつ、フィッシュ・アンド・チップスは無類においしかった。誰ですか、英国料理はマズいなんて言ったのは。。。衣がかりっとしていてとてもおいしく、白身魚も十分にヴォリュームがある。この一皿だけでけっこう満足感のある食事になった。──日本でHubとかでもフィッシュ・アンド・チップスがありますが、このおいしさは再現できていない気がする。そもそも日本で出てくるのは、魚が全然小さいんだよな。。。日本と英国では白身魚の種類が違うのかしら…。

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 英国は公共の屋内が全面的に禁煙なので(BBCSHERLOCKでも、シャーロックが「近頃ロンドンでは煙草を吸いにくい」と言いながら、ニコチンパッチをしてスッキリ(?)しちゃってるシーンがありますね。あれは原作のホームズが、喫煙者でもありコカインも常用していたことへのオマージュなのだけど)、パブでも、酒を飲みながら煙草を吸うことはできない。しかし、屋外の喫煙はかなり許容されていて、歩道に吸い殻入れもよくあるし、パブの店先でグラスを傾けながら煙草を吸っている人を頻繁に目にした。社会としてどういう規制のありかたが望ましいのかは、ぼくにとってもよくわからない。まあ、吸うなと言うなら吸わなくても構わないのだけど。

 ──夜、クィーンズウェイの歩道の吸い殻入れで煙草を吸っていたら、通りがかりのスキンヘッドの屈強な男が突然、"Can I buy your cigarette, please?"と話しかけてきた。こちらは驚いて、「シ、シガレッ?」と動揺しながらも煙草を1本出したら、男は40ペンスをぼくに寄越して、「サンキュー」っつって握手を求めてきて、去って行った。ぼくはあっけに取られ、ここはわけのわからん国だ、と思ったのだけど…。

 ぼくは旅行中、成田空港で買ってきた日本の煙草を吸っていたので、英国の煙草は買わなかったのだが、こちらはどうやら、煙草の税金が非常に高く、日本の倍以上の価格らしい。そういう国では、個人間で「煙草を1本売ってくれ」というのは、まあ、ある話なのかも知れない。このあと、東京でHubでエールを飲んでいたら、西洋人女性からやはり同じように「煙草を1本売ってくれないか」と言われた。──日本では個人間で煙草を1本だけ売り買いするという習慣(?)は無いと言っていいと思うし、煙草を「1本いくら」で考えたこともなかった。所変われば、ということだろうか。

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 喫煙・禁煙問題と言えば、ぼくが泊まったホテルの部屋は、喫煙可だった。“Booking.com”でホテルを探していたとき、ロンドンは全面禁煙なのだろう、と思いながらも、喫煙・禁煙の希望が選べたので、「?」と思いながら喫煙を選んで予約してみたら、チェックインのときに、「あなた喫煙希望でしたね、地下の部屋は喫煙できます」とのことで、地下の部屋が割り当てられた。地下と言いつつも、ロンドンでよく目にする、舗道から少し上がったところがグラウンド・フロア(1階)で、少し掘り下げられたところがベイスメント・フロア(地階)になっている、という形の建物なので、部屋には窓もあり、風通しも悪くはないので、地下と言うほどの圧迫感はなかった。眺めはよくないけれど、どうせホテルの部屋には夜しかいないのでそれは別にかまわない。

 ホテルは、バスタブつき、古めかしいスチーム暖房つきのツインルーム(エアコンはなかった。エアコンを使うほどロンドンの夏は暑くないのか? 小さな扇風機は置いてあった)で、ビュッフェ・スタイルの朝食つき。無料のWi-Fiもあり、これまで書いてきたとおりほぼ都心と言ってよい立地なので、よかったのだけど、設備的には、まあ、ビジネスホテルのレヴェルではある。そんなホテルが1泊99ポンドもしたのは、ちょっとロンドンの物価は高すぎるよ、と思ったのだけど…。


ホテルの朝食。普段こんなに食べないですが(^^;