水樹奈々さんの夏のライヴツアー。最後の有明アリーナ3daysのさらに最後、千穐楽にだけ参加しました。有明アリーナとはオリンピックのために臨海方面に作られた新しい会場で、しかし微妙に面倒な場所にあります。ゆりかもめの新豊洲駅が一番近いはずですが、ぼくは地下鉄の豊洲駅から歩いて行きました(まあ豊洲でもぼくにとってはだいぶ遠いところなのですが)。豊洲からでも20分強ってとこだったかな。湾岸のタワマンの足もとを歩いて、運河に架かる橋をぞろぞろと渡って行きました。
4年ぶりに観客の声出しが解禁されました。ですがマスク着用の指示は出ていて、過渡期だなあ、とは思いますが、でもマスクはしたほうがいいんだよね…。以前、真冬に参加したライヴで、一発で喉をやられて風邪をひいたことがあるので。。。また、今回は、水樹奈々さんのイヴェントで電子チケットが本格的に導入された初めての回だったと思います。今回のスマートフォンチケットは、特別なアプリを必要とせずブラウザ上に表示し、入場時に電子スタンプを押されると印影が現れる、しかも印影が席番に被って見にくくなるが画面に触れると印影が消えるという、かゆいところに手が届くしくみでした(他の現場で、印影で席番が隠れてしまって入場後に若干混乱が起きてた経験があります)。──ぼくの座席はアリーナCブロック、要するに一番後ろのブロックの、その中でもかなり最後列に近いところでした。遠いけど、見晴らしはそこまで悪くなかったかな。
オープニング映像で黒い海賊っぽい衣装で現れた奈々さんは、そのままステージの奥のスモークの中にシルエットとして現れて、スタート。──今回のぼくは何の情報も得ずに千穐楽だけ参加しているので、どの曲が来るのか全然知らないので、『Bring it on!』のイントロが入ったときには、もう、腹の中で悲鳴を上げていました。MCを挟んで坂本竜太氏@ベースがぶりぶり言わせる半端ないイントロから、チームヨーダも入って『still in the groove』、速やかにダンス曲パートです。今回すごいと思ったのは、ダンス曲パートでこの『still in the groove』だけじゃなくて『Gimmick Game』もやっちゃったこと。大盤振る舞いかよ! 中盤では緑色っぽいすその広がった衣装に、サイドテールのようなヘアスタイル。『ETERNAL BLAZE』で4年ぶりに叫んで跳べました。やっぱりこれがないとね…!! ──バンドメンバー選抜のアコースティックコーナーでは『哀愁トワイライト』がこの曲にぴったりのジャズアレンジで披露されていました。『恋想花火』でバンドのアウトロを残して奈々さんは奥に引き上げ、前半がおしまいでしたが、この曲がとにかくエモーショナルでしたね。。。
映像コーナーを挟んで後半も、なんだかよくわからないステージ一体型タワー衣装(?)の上で歌う奈々さん(ただ、『サーチライト』で「携帯のライトをかざして…」をいきなりやられたので、ぼくは荷物からスマホを取り出すのをあきらめて普通にペンライトを振っていました)、『Higher Dimension』で4点吊りの空飛ぶゴンドラに乗ってフライングしてくる奈々さん、そのゴンドラが地上に下りるとトロッコになって『Astrogation』で回る奈々さん、などなど、奈々さんのライヴで恒例の、大型乗り物(?)が縦横無尽に現れます。私たちもはや慣れてますが、これ冷静に考えるとすごいよね、予算のかけ方を含めて。──終盤のセットリストは、これ、明らかに、観客に声を出させるためのラインナップだったんだろうなあ。アンコールでは、ライヴTシャツを切って着てきておなかは出すけどおへそは見せない、絶妙な(?)スタイルの奈々さん。何かのアニメに使われる『Sugar Doughnuts』という新曲をやってましたが、これ相当トリッキーっていうか作り込まれた曲ですね。バンドメンバからクレーム(?)が上がったというのも納得。最後が『DISCOTHEQUE』だったのには楽しすぎてちょっと半笑いになってしまいました。そしてダブルアンコールは『POWER GATE』。とにかく観客に声を出させることに徹底した選曲でしたよね。
・(SE: "Welcome To The Black Parade" / My Chemical Romance) ・(オープニング映像) ・Red Breeze ・哀愁トワイライト (アコースティック) ・Sweet Dealer ・(映像コーナー) ・Higher Dimension ・Astrogation -encore- -doule encore- |
ライヴの開演前のSEは洋楽でしたが、アナウンスも終わっていよいよ始まる!というタイミングでSEのヴォリュームも上がると、観客から手拍子が起こって、場内が異様に盛り上がっていたのですね。なんだろう?と思っていると、その曲が綺麗に終わってライヴ本編が始まったのでした。──これ、後から知りましたが、My Chemical Romanceの"Welcome To The Black Parade"でした。ぼくは洋楽を全然知らないんですが、有名な曲なんですね?(LIVE PARADEの1曲目はこの曲だった、と表現している人が、インターネット上にはおられますね)。 これまであんまり考えたことがありませんでしたが、開演前SEも奈々さんの選曲のはず。この曲に観客から手拍子が起こったのはおそらく自然発生的なものだったのかとは思いますが、この曲が明けて始まるオープニング映像とインターミッションの映像が、──スチームパンクな世界で黒い海賊のような衣装で飛空艇に乗る奈々さんが現れて世界に希望を届けに来るんだけど、突然の落雷で灰の降る死の世界に落とされる。でも子供たちの紙飛行機が力をくれて…、というものでした。なんだか多義的なメッセージが感じられます。誤解を恐れずに言えば、奈々さんの中にある、何かに対する“鎮魂”のようなものが込められていたように、ぼくには感じられたのです。奈々さんはエンターテイナーとして、こういう場面でストレートにネガティヴな表現を好む人ではないと思っていますし、今回のツアーも、前回のライヴも、コロナの時代を乗り越えて生き返ったエンターテインメント、音楽の力で観客と一体になれる祝祭としての「パレード」を、私たちに提示してくれようとしている、それはずっと一貫していると思っています。でも、今回の奈々さんには、何か、言いたいことがあったのではないでしょうか。それが何かはわかりませんが。