海外との交流がしにくい禍の時代のせいか、最近は、あちこちで新版画の企画展示が多いな、とは思っているけれど、これは、ここの美術館の面目躍如という感じの展示だった。
■町田市立国際版画美術館>浮世絵風景画―広重・清親・巴水 三世代の眼―
「東京二十景・荒川の月(赤羽)」。この時代のあのあたりはこんな風景だったのね。おそらく、まだ堤防がないのね…。
人が描き込まれていることが、ぐっときちゃうポイントになっているなあ
「東京十二景・こま形河岸」。構図もいいんだけど、乾いた色合いもいい。
大正から昭和の川瀬巴水に対して、小林清親は少しさかのぼって明治時代の人だ。この人の描く、夕闇に浮かぶ人影に、興味をひかれた。
「三保ノ浦帆」
「隅田川夜」
「高輪牛町朧月影」。高輪築堤、最近発掘されて話題のあれが、しっかり描かれていますね
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川瀬巴水の、「東京二十景・御茶の水」。神田川沿いの風景だ。これを見て、あっなんかわかる、と思ったのは、高層ビルの窓から見下ろしたときの立体的な空間に降る雪を思い出したから。
小林清親「茶の水雪」。神田川にかかっていた木製の水道橋が描かれている。
この水道橋は江戸時代からのもので、歌川広重も描いているのだそうだ(「江戸名所 お茶の水」)。なるほどね、気づかなかったけど言われてみれば確かに今でも「水道橋」という地名がある。