night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

ヨコハマトリエンナーレ2020 @横浜美術館、プロット48 8/16

 3年に一度のこのアートイヴェント、今年も開催された。だが、横浜美術館への入場は日時指定制チケットということになって、だけどそういうのって苦手なんだよね…。なんとなく見ていると、土日の日中の時間指定チケットは、前日までには、ほぼ捌けているようだ。休日の予定なんて特に立てずに、思い立った時に出かける、というやり方でぼくはずっと暮らしていたのだけれど、そういうのが通用しない時代になってきた。──だが、日曜日の朝8時半頃に、ふと思い立って見てみたところ、当日の昼12時半の時間指定チケットに空きがあったので、行くことにした。

ヨコハマトリエンナーレ2020

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横浜美術館が何かに包まれている。SFアニメに出てくる光学迷彩を連想した。──工事中かとも思った(笑)

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 正面の巨大空間いっぱいに、ニック・ケイヴ『回転する森』。モビールがくるくると回っていてとてもきれい、だけど、中にはピストルの形をしたものも混じっている。──きらきらした、かわいげな世界に、暴力が隠されている。

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 ちょっとぐっと来てしまったのが、この、エリアス・シメという人の作品。

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これ、ぱっと見で何かわかる人は少ないかも。PCのキーボードですね

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うわ…

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この一面の壁は…

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撚りあわされた電線。

 この人はエチオピアの人で、世界を覆っていくテクノロジーの残滓で、こういう作品を作っているらしい。

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 横浜美術館の展示で一番「ヤバいな」と思ったのはこれだったかも…

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 触っていいようですが、触るなら消毒液で手を…ということになっていた。

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 地獄だ、と思ったのはこの部屋。母親や大人が子供を叱る台詞が、延々と流れているのだ。

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 キム・ユンチョルの『クロマ』は、毎時30分から15分間、点灯するそうだ。光っていないとただの金属のうねうねした塊なのだけれど、光り出すととても美しい。無数のポリマーが虹のような色に光る。一つ一つの部品は機械的に微細な動きをして、表面の色も変化していく。

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 横浜美術館の裏口から出て、炎天下を高島町の方向に歩き、“プロット48”という会場(アンパンマンミュージアムの跡地だそうだ)にも行ったけれど、…こっちはちょっと、やりたい放題感が強かったかな。ボコ・ハラムの襲撃から立ち直って学校生活を送るナイジェリアの女の子たちの映像が、印象に残った。──見て回りながら午後いっぱいを過ごし、新装開店のようになった根岸線桜木町駅の中華レストランで軽く食事をしてから、帰宅。新しい出口ができたり、ホテルメッツが建ったりして、桜木町駅、いつの間にかちょっと変わったのだね。

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 今回のヨコハマトリエンナーレ、思ったのは、映像作品が多すぎるということ。かなり長時間のものが多く、全部見ることはそもそも想定されていないみたいだし、別に全部見てやろうなどとはこちらも思っていないのだけれど、これはもはや映像インスタレーションというよりもしっかりしたストーリーのある映像作品ではないのか、ここで“展示”することが最適なのかどうか…と思うものが多かった。この日ぼくが、おそらくかなり大部分を見てものすごく強い印象を持ったのは、パク・チャンキョン『遅れてきた菩薩』、あと…名前を忘れてしまったがもう1作品だった。映像作品は、何らかの方法でインターネット上で展示するような方法をとらないのかな。チケットを購入して来場した人は一定の期間見られる、というような方式は可能だと思うんだけど。