night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

ブダペスト展 @国立新美術館 1/19

国立新美術館ブダペスト ヨーロッパとハンガリーの美術400年
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 ブダペスト国立美術館から、ヨーロッパ美術の品々が来ているそうだ。ハンガリーは、歴史的にはドイツ系の支配を受けていたり、オスマン帝国の支配で欧州から切り離されたり、という境界的な国で、どういう展示なのだろうと思いながら展示場に入ると、冒頭に置かれているのがまずルーカス・クラーナハの『不釣り合いなカップル』という異様な絵だった。いきなりこれか…。16世紀ネーデルラントやイタリア・ルネサンスの絵画にはそれほど興味が持てず、なんとなく行き過ぎる。──面白くなってくるのは19世紀以降の絵画で、ムンカーチ・ミハーイという画家の名前を初めて聞いた(ハンガリー人の人名は姓・名の順なので、姓が“ムンカーチ”である。また、この人の生まれた土地は、現在ではウクライナ領にあたるところだということだ。カルパチア山脈の東側までハンガリー領だった時代があるということで、民族と国境線の変遷が激しい)。老いて威厳に満ちたフランツ・リスト肖像画にも感心したが、『ほこりっぽい道』のぼんやりとした画面にしばらく立ち止まってしまった。なんというか、祖国に帰ってきてこの風景を見て、描かずにいられなかったんだろうな…、と、画家の気持ちが伝わってくるような気がしたのだ。

Hungarian National Gallery - Dusty Road II. Mihály Munkácsy

 目玉になっているのは、シニェイ・メルシェ・パールという人の『紫のドレスの婦人』という絵だが、この絵、草原の緑色に対して鮮やかな紫色のドレスが引き立っていて、見た瞬間にカラーバランスをぎゅっと調整されたように錯覚するほどだ。──気になったのは、ギュスターヴ・ドレの『白いショールをまとった若い女性』という絵。こんな逆光の絵、ありなの? …でも、まるで、風がさっと吹いて目を上げたときにまぶしくておぼろに見えたその瞬間の光が描いてあるようで、なんだかはかなくもあって、…この表現にはやられてしまった。

Young Woman and a White Scarf by Gustave Dore, 1870,
(via Wikimedia Commons)