night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

クリムト展 @東京都美術館 5/24

 金曜日の夜間開館を狙って、上野の東京都美術館へ。駅構内のチケット売り場で当日券を買って行ったら、待ち時間なくスムーズに入れた。

東京都美術館クリムト展 ウィーンと日本 1900

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 序盤は若い修業時代の作品で、同じ女の子の肖像を描いてクリムトと比較されちゃうマッチュという画家がかわいそうだな、とか思いながら…。ティツィアーノの『イザベラ・デステ』の模写なんかは、目の感じが変なところも含めてよく描けているように思った。クリムトの独特のエロスみたいなのがいよいよ炸裂してくるのが、『ヌーダ・ヴェリタス』と『ユディトⅠ』が並ぶ部屋であるが、それに続いて、『ベートーヴェン・フリーズ』という壁画の原寸大複製が掲げられた部屋は、圧倒的だった。天井から指向性スピーカで『歓喜の歌』が流れてくるという小細工はこの際どうでもよく、…そうだよ、これが見たかったんだよ! 描かれているのはほとんどが化け物の方々(?)で、特にゴルゴーンの三姉妹の恐ろしい表情は強い印象に残る。ぼくが好きだったのは、天井あたりをすいーっと飛んでいる天女の方々(笑)。──色をぶちまけた中から立ち上がってくるような『オイゲニア・プリマフェージの肖像』と、ぼんやりした幽霊のような『白い服の女』が同じ部屋に展示されているのも、面白い対比だった。描く絵のスタイルの幅がとにかく広すぎて、つかみにくい人だ。

 クリムトが日本の浮世絵や春画なども収集してました、という展示もあって、べつに無理して日本とのつながりを語らなくてもいいだろうに、と思うが、コロマン・モーザーという同時代の画家の『冬の松林』という絵が、等伯の松林図屏風にそっくりな空気だったので驚いた。松林図屏風は当時はまだ知られていないと思われるので、関係ないだろうけれど。