▼5/29(月)『大エルミタージュ美術館展』@森アーツセンターギャラリー
ルネサンス、オランダとフランドル、フランスのロココ絵画、というように分けて構成された展示。イタリア・ルネサンスのコーナーでは、カルロ・ドルチの『聖チェチリア』の緑色の衣が魅力的。オランダ絵画では、レンブラント『運命を悟るハマン』の暗い色彩に沈痛な面持ちのハマンが印象的だったが、風景画など黄色く変色していて残念な状態のものもあった。それにしても、この時代のフランドル絵画は寓意が理解できないものが多いな…テニールス二世の『厨房』なんてそんな感じ。
左はピーテル・デ・ホーホの『女主人とバケツを持つ女中』、右はスルバランの『聖母マリアの少女時代』
会場入り口の、エカテリーナ二世の肖像画。これだけ撮影可能となっていた。
帝政ロシアの歴史上の大人物だけれど、実はこの人はロシア人じゃなくてドイツ人なんだよね…。外国人が、めぐりめぐって皇帝にまでなるというのは、今の感覚ではちょっとわかりにくいなあ。
●大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
▼6/10(土)『花*Flower*華』@山種美術館、『大英自然史博物館展』@国立科学博物館
恵比寿駅から歩いて、山種美術館へ。中年女性で混雑していた。
●山種美術館>企画展「花*Flower*華 琳派から現代へ」
きれいな花の絵が多く集められた展示。横山大観の山桜の絵などすばらしいのだけど、わりと素直な絵が多い中、目を引いたのは、速水御舟の黒い桔梗の絵だった。桔梗が黒いわけはなく、しかしあえて墨で描かれているのだ。妖気のようなものが漂っている。
酒井抱一の『月梅図』のみ撮影可能、とされていた。
山種美術館から、高級住宅街を散歩しながら、地下鉄の広尾駅へ。
ざくろの花が咲いている
地下鉄で上野に向かい、国立科学博物館へ。
会期末なので混んでいたが、それを見越して、夜間開館の日に来てみた。待ち時間はなく、入場が締め切られてからはゆっくり見ることができた。
まずすごいと思ったのが、ガラスケースのハチドリ。…こういうふうに見せようと思うその発想が。
脚が無いという伝説があったという、オオフウチョウ(いわゆる極楽鳥だが、正式な和名ではないので展示には使われないようだ)。
目玉展示、始祖鳥の化石。尾羽のようすが、はっきり残っているんだねえ
18世紀の植物標本、つまり押し花なのだけど、しっかり印刷された台紙に、独特の美意識があるんだなあ、なんて思った。
▼6/18(日)『ランス美術館展』@東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館
●東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館>フランス絵画の宝庫 ランス美術館展 ダヴィッド、ドラクロワ、ピサロ、ゴーギャン、フジタ…
有名なところではダヴィッドの『マラーの死』が来ている。まさに、殉教した聖人のように描かれているのだね…。コローの田園の絵は、しみじみ、よいなあ、と思う。衣の薄さがけしからん(?)のは、シャルル・ランデルの『タンジールのユダヤ人の女』。
ランスといえば藤田嗣治が晩年に教会の装飾に活躍した土地だ。関係があるのかどうかは知らないが藤田嗣治の作品のコレクションもあるようで、かなりの数の作品が来ていた。目を引かれたのは、写真をもとに描いたという、7歳の藤田自身の肖像、そして不自然なヴァイオリンを持って澄ました子供の絵。二つとも、奇妙に老成したような表情だし、暗色が強く、見ているとなぜか不安定な気持ちになる。他にも、黒人の姿をした聖母や天使など、晩年の藤田の作品がまとまって見られたのは珍しいのではないだろうか。