night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

箱根、ポーラ美術館と箱根湯寮 1/17

 1月17日(火曜日)は、平日だが代休。遅くからのこのこと起き出した。久しぶりに箱根に行くことにして、12時58分発の特急ロマンスカーはこね23号』に乗った。




 天気は良く、平日の午後のロマンスカーは気持ちよく空いている。新松田あたりでは富士山もよく見えた。

 1時間で箱根湯本に着き、さらに14時12分の登山電車に乗り換える。中国人観光客がスイッチバックの様子を興味津々で眺めていた。

 強羅に着いたのは14時49分だった。ここまで来るとだいぶ山奥なのだけど、箱根は、主なルートには路線バスがそれなりの頻度で運転されているのが便利だ。14時57分という路線バス(小涌園発、湿生花園行き)が時刻どおりに来て、駅前のターンテーブルでゴゴゴ…と転回している。バス通学の中学生の一団が乗っていた。ひめしゃら林道を走り、15分足らずでポーラ美術館に着いた。ポーラ美術館に来るのは2007年の春以来だ。

ポーラ美術館

 いま、“トルクメンの装身具”という特集展示をやっていて、漫画『乙嫁語り』の世界観、ということで一部で話題になっている。紅玉がはめ込まれた銀器、ものすごい重さになるのではないか…。面白いのは、トルクメンでは銀を産出するわけではなく、近隣文化圏の銀貨を鋳つぶしたり加工したりして、こういった装飾品を作っているということ。







 ポーラ美術館は、そもそも持っているコレクションがすばらしいよね…。ルノワール、モネ、マティス








 黒田清輝の『野辺』、岡田三郎助の『あやめの衣』など、教科書に出てくるような名作が、ここにあるのだよね…。岸田劉生の座敷童(?)の絵もかかっていた。



 “ガラス工芸 ドーム兄弟の世界”という、アールヌーヴォーのガラス器の特集展示も。不透明な被せガラス、きれいだなあ

 企画展は、『ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ』というもの。企画展と言いつつ、ほとんどこのポーラ美術館の所蔵作品で構成されているのがすごい。アンリ・ルソーの、緑したたる絵が、よい。アンリ・ルソーは、作品によっては、ちょっとこれは、、、というものもあるけれど、この展示は、よい方のアンリ・ルソー(?)がいくつもあった。フジタの“小さな職人たち”シリーズは、ちょっと異様だよね、と思うけれど…。

*

 空いた館内を、閉館時刻の17時まで堪能して、17時10分の路線バスで戻った。路傍に残雪が見えるひめしゃら林道をバスはゆっくりと下り、夕闇の強羅駅へ。さらに、17時38分の登山電車で山を下りる。


 旧型の電車。懐かしいね

 強羅で折り返して箱根湯本に戻る電車だが、小涌谷を過ぎたあたりで、車内で、中国人の中年女性観光客3人組が慌てはじめた。他にも中国人旅行者がいたのでその人たちに話しかけたりしている。聞いていると、「ちゃんろー、ちゃんろー」と言っているので、どうやら、強羅(Qiangluo)に行きたかったところ、なぜか電車ごと折り返してきてしまっているようだ。大平台みたいなスイッチバックだと勘違いしたのかな…? 彼女たちは次の宮ノ下で下りたが、無人駅なので、ホームで車掌さんが切符を回収しようとする。彼女たちが説明に困っているようだったので、口を出すことにして、「この人たち、強羅に行きたかったらしいんですよ。」と車掌さんに説明したら、車掌さんはものわかりのよい人で「ああそうなんですか。じゃあ。」と切符を彼女たちに返し、二人して「すぐに反対側に電車が来る。」「去对面,坐电车。」とかなんとか、彼女たちに説明して、どうにか解決。車掌さんに感謝された。外国人旅行者が増えて、車掌さんも大変だと思う。

*

 もうすっかり夜。箱根湯本の一つ手前の塔ノ沢で電車を下りて、遊歩道を数分歩くと、日帰り温泉施設“箱根湯寮”に着いた。──小田急町田駅で、箱根湯本までの往復乗車券とここの入湯券がセットになった『日帰り温泉 箱根湯寮クーポン』という企画乗車券を買ってきていた。

各種温泉クーポン|おとくなきっぷのご案内|きっぷのご案内|乗車・きっぷのご案内|小田急電鉄

 ふつうに乗ると町田と箱根湯本の間の運賃が往復で1,792円で、“箱根湯寮”の大浴場の料金が1,400円、合わせて3,192円のところ、2,580円なので、少し安くなる(片道の特急料金が620円で、ほぼそのくらいの割引になっているところが、絶妙な設定だ)。

箱根湯寮(はこねゆりょう)

 “箱根湯寮”は、3年ほど前に小田急グループ鳴り物入りでリニューアル開業させた日帰り温泉施設で、箱根湯本駅から送迎バスで数分という便利なところにある。大浴場のほかに、家族などで使える個室風呂が売り物らしい。当時はあちこちに広告が出ていて、そのうち行ってみようと思っていた。休日は非常に混みあうという話も目にしていたが、このときは、冬の平日の18時半頃で、ガラガラと言っていいほど空いていた。外湯は、森の木々に囲まれたような風情の露天風呂。熱すぎないお湯で、とても気持ちがよい。奥の方に陶器の壺のような一人分の浴槽が2つあり、そこでレイドバックしていると、まさに、自分の家のような安心感(?)だった。ぼくは、温泉自体にはとくにこだわりがなく、ここも塩素のにおいがして、…うん、ここはかけ流しではないことは知ってる、という感じだったけれど、…とにかく、空いている温泉というのは、実にいい(笑)。

 ここでは、1時間に1回、サウナ室で“ロウリュウ”というのをやっている。いったいなんだろう、と思って、19時半の最後の回でスタッフの人がやってきたので、サウナ室に入ってみた。──サウナ室の隅に熱せられた石柱があり、スタッフの人が、その石柱にひしゃくでアロマ水をかける。そして大きなうちわでそれを扇ぐと、ものすごい熱気が発生する。さらに、参加者に向けてうちわでばっさばっさと扇ぐと、とんでもない熱風に襲われる。…という、一種のパフォーマンスだった。1人5回ずつ扇ぎます、それを2セットやります! ということで、「ぐぅ…!」とよくわからない声を上げながら、耐える。正直、ぼくは普段から温泉施設に来てもサウナなど入らないので、身体に悪いのではないか、と思いながら、ほうほうのていで出た。

 すでに1時間余りも、風呂に出たり入ったりしていたので、ロウリュウから出て、汗を流したら、上がることにした。身支度をして大浴場を出て、施設の中庭の喫煙所で煙草など吸っていたが、身体はとてもぽかぽかとしていて、コートを着ないで手に持っていたものの、ふと、かかっている寒暖計を見ると、気温は3℃である。血行がとんでもなくよくなっているのはたしかのようだった。

*

 いろり風のしつらえの食事処で軽く食べてから(この施設は21時に閉館、食事処は20時でラストオーダーとなるそうで、ぼくはちょうど20時すぐ過ぎくらいに入ろうとしたので、「なんとかなりませんか、すぐできるものでいいですので、すみませんねえ」という感じになってしまった。迷惑をかけて申し訳ない)、送迎車で箱根湯本駅に戻った。箱根湯寮、とてもよいところだった。

 箱根湯本から21時00分の各駅停車で小田原に出て、少しお土産物屋さんを物色してから(時間が時間だけに、お弁当など何もなくなっていたけれど)、21時39分の特急ロマンスカーさがみ92号』で町田に帰った。日帰りで箱根の美術館&温泉、というのは、前にもやったことがあるけど、休日の過ごし方として、とてもいい。