night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

12/30(金)星宿山王禅寺

 町田の隣、川崎市麻生区には、柿生(かきお)という地名があるが、これはもともと禅寺丸柿という柿がこのあたりの名産であり、王禅寺という近在の古刹に由来する、という知識があった。しかし実際に王禅寺というのがどこにあるのか知らない。柿生や新百合ヶ丘からバスで東の方に入ったどこかにある、という程度の知識しかなかった。

 自転車を駈って、鶴見川の北側の丘陵地に迷い込む。この辺りは全山びっしりと宅地化されているが、その中でも、谷戸の県道沿いの古めかしい雑居アパートと、いかにも昔の農家の家だろうと思われる大きな民家が混在する光景と、斜面にきれいに整備された新しいマンション群や高級住宅街、という風景が、地区によってまだらに共存している。


 「星宿山王禅寺」という寺名だそうだ。石碑に書かれた由緒(寺の由緒書きが徐々に柿の由緒書きに変わる、迷文(?)であった)によると、延喜十七年(平安時代)に高野山三世上人が開山した真言宗の寺院で、元弘三年に新田義貞の鎌倉攻めの戦乱で焼亡するがその後再興され、再興するとき山中で甘い柿の木が自生しているのを見つけたものだから近在に広めて、名物になったとのこと。──固く扉を閉ざしたそっけない寺院だが、葵の紋を使っているところからも、昔は格式の高い寺院であったのだろうと思われる。


 “旧小机領三十三観音霊場”と書いてある。そんな三十三ヶ所があるのか。このあたりは旧国名で言うと武蔵国都筑郡である。


 禅寺丸柿の原木で、天然記念物だそうだ。横の方にはせんとくんの親類みたいな人の像があったけど…?


 禅寺丸柿を名物に、ということで、柿生駅前の商店街の洋菓子屋さんで、「禅寺丸の柿ワインケーキ」というのを売っている。ひとつ買って帰った。これが上品な甘さでおいしかった。