night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

12/31(土)大雄山最乗寺

 年末に寺社に詣でるというのは、人も少なくて良いのではないか、と思いついたので、なんとなく遠出することにした。大雄山最乗寺に行ってみようと思う。まず小田急の急行電車で、新松田へ。


新松田駅前。狭い駅前に、箱根登山バスや富士急バスが出入りする。

 ここから「関本」行きの路線バス(箱根登山バス)に乗る。酒匂川沿いの平野部を横断していく路線で、人口の多い土地だからか、バスは15分に1本は走っている。少し河岸段丘を上ると南足柄市の市街地に入った。終点のバスターミナルで下りると、隣にあるのは、伊豆箱根鉄道大雄山線という私鉄の、「大雄山駅」だった。


駅前に固定された路線バス。初詣客をさばく切符売り場になるようだ


なるほど

 ここから大雄山最乗寺へは、「道了尊」行きの路線バス(伊豆箱根バス)に乗り換えるのだが、これが、箱根登山バスとの接続が悪く、数分前に出て行ってしまっている。しかし30分待てば次のバスがあるので、駅前の再開発ビルの2階にあったスーパーで鯛焼きを買って、食べながらバスを待った。

 改めて道了尊行きの路線バスに乗り、一気に山間に入る。神域らしく杉の巨木が鬱蒼としている。車道に並行して歩道もあり、いまは冬枯れているが紫陽花が植えてあるようで、季節にはきれいなのだろう。ものの10分でバスは終点に着き、ここから参道を歩いた。あちこちに「右側通行」の立札が置かれ、露店なども準備している。今日の夜からは初詣客で混雑するのだろうか。


 ここも、ただ境内に入るぶんには拝観料も取らないが由緒書きなどもない、素っ気ない寺院であった。だが、使われている形跡のある僧堂があり、本堂では僧侶の勤行が行われていたので、実際に修行の場として生きている寺院なのだろう。


 文久三年建立という多宝塔。…ということも、寺としてはとくに書いてなくて、南足柄市重要文化財だという教育委員会の立札があるので知れることである。


 奥の院まで階段を上ってしまった。数えてみたら340段もあった。しかし登っても眺望はきかない。奥の院の左側からは登山道の入口があり、明神ヶ岳・矢倉沢峠に続いているという道標が立っていた。


 天狗の高下駄を奉納する風習があるようだ。


 何かの霊廟のような雰囲気。


 バスの折り返し場。すでに陽は落ちており、杉木立に囲まれた寺域の空気はひんやりとしていて、寒々しい。白い息を吐きながらバス停に戻り、16時45分の路線バスで大雄山駅に戻った。──なんとなく、“大雄山”ってキラキラネームっぽいな、と思って、先入観があったが、たしかに硬派な寺院だな、という印象だった。

*


 大雄山駅からは、伊豆箱根鉄道大雄山線で小田原に向かう。いかにも旧き佳き地方私鉄の駅である。列車は3両編成で、車掌が乗務している。単線だが、途中3駅で交換しながらスムーズに走る。このあたりくらい人口や産業があると、こういう地方鉄道も維持できるのだなあ…。小田原まで21分。


 小田原では少し喫茶店で休憩してから、特急『はこね40号』で町田へ。今年の出歩き納めを、ロマンスカーVSEで飾ることになった。──呑気にビールを飲んでいたが、小田原から町田まで、特急ロマンスカーだとたった40分で着いてしまうので、あまり落ち着いて飲むわけにもいかない。