night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

3/19(木)フランス初入国!

 昨年とほぼ同じ時期に休暇を取得することにした。昨年、ほとんど突発的にロンドンに行ったことで、ヨーロッパって意外と行けちゃうじゃん、ということに気付いてしまったので、味をしめて、今度はパリに行くことに。ルーヴル美術館に行って、オルセー美術館に行って、…と期待が高まる。

 3/19(木)出発→3/24(火)帰国、という日程になり、これは奇しくも昨年とまったく同じ。もう2日、旅程を延ばすこともできたが、お金もかかるし疲労もするので、このくらいにしておいた。──朝、地元・町田バスセンターから、空港行きバスで出発。今回は羽田空港からの出発なので、少し楽だ。

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 朝の8時50分頃、順調に羽田空港国際線ターミナルに着いて、機械ですいすいとチェックインした。今回は、迷ったものの、バックパック1個だけで来てしまったので、預ける荷物も無い。JALのチェックイン機で座席を選んだら、どうやら後ろの方はけっこう空席があるようだった。テロ事件があったりしたので、欧州向けの旅行客は少ないのかも…とか思ったが、卒業旅行っぽい学生二人組なんかが目に付くので、そうでもないのかな。出国審査も通ってしまってから、保険に入るのを忘れていたことに気付いて三井住友海上自動販売機で保険に入ったり。──10時50分発の日本航空45便で出発した。

 機内はやはり空いていて、ぼくは最後尾近くの座席で、右舷側の窓際席を占め、さらにその列3席にはぼく一人だけという状態だった。これは快適。さっそくモニタで映画を見始める。『アナと雪の女王』を見て、『ベイマックス』を見て、…午前中の出発なので、まったく眠くならない。


ロシア領の沿海州あたり。


JAL機内食はうまい

 映画とビールに飽きたら、3席使って横になってうたた寝したりして、快適なエコノミークラスの旅を堪能していると、飛行機はヨーロッパの上空に入っていた。欧州まで12時間のフライトでも、これならいいなあ。


バルト海沿岸のスウェーデン上空あたりで、軽食に、組立て式モスバーガー(笑)が出た。これ、前にも食べたことがあるけれど、正直言って食べにくいのだけど…。

 デンマークやオランダあたりの、北海の海岸沿いの砂州が見下ろせたが、白い。北ヨーロッパはまだ雪の世界なのだろうか。──夕方16時頃(中欧標準時)、パリ、シャルル・ド・ゴール(CDG)空港に着陸した。どんよりと曇っていて、機内のアナウンスによると気温7℃とのことだった。CDG空港は、イミグレーションがターミナルごとに分かれているらしく、まったく並ぶことなくスムーズに入国した。入国審査官はほとんどこちらの顔など見ていない感じ。

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 荷物が無いので、とっとと到着ロビーに出てしまう。さて、ここからパリ市内にはどうやって行けばいいのか…。CDG空港には、RERという郊外電車が乗り入れていて、パリ北駅まで30分程度だと言う。が、治安が悪いとどのガイドブックにも書いてある。──“パリの治安の悪さ”については、愛用する『地球の歩き方』に数ページ割いて書いてあるくらいであったので、正直、警戒している。RERの他には、凱旋門行きとモンパルナス駅行きのエールフランス・バス、オペラ座行きのロワシー・バスという、直行バスがあるようだが、到着ロビーからなんとなく歩いて行ったら、SNCF(フランス国鉄)のマークがついた鉄道駅に着いてしまったので、まあいいか、と思って電車に乗ることにした。

 空港の到着ロビーにあったトラベレックスのATMで、ユーロの現金を引き出してあったが、50ユーロ紙幣しか持っていない。だが、電車の乗車券の自動券売機は、どうやら、硬貨とクレジットカードしか使えないらしかった。ここでまずギャフンとする。なんだそれ、めんどくさいなあ、と思いつつ、駅の窓口で「パリまで一枚!」と言うと、無事に乗車券が買えた。10ユーロ。路線図を見ると、RERのB線は、ここCDG空港からパリ北駅を経由して市内を突っ切って南の方まで直通している。市内の地下鉄(メトロ)とも共通運賃らしいから、たぶんホテルの最寄駅までそのまま乗れるだろう。


RATP(パリ交通公団)の車両と、SNCF(フランス国鉄)の車両が、連結されているのね

 高速鉄道TGVも乗り入れている、アエロポール・シャルル・ド・ゴール・2・TGV駅だが、RER B線の乗り場は1面2線だけ。B線には複数の行先があるが、“この乗り場のすべての電車がパリ北駅を経由する”旨の案内書きがあった。
 「エアロポルト?」と思ったが、「空港」はフランス語で「アエロポール」と言うらしい。

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 ところで、ぼくが予約しているホテルは、セーヌ川の南側、サン・ジェルマン・デ・プレのあたりにあり、最寄駅は12号線のリュー・デュ・バック(Rue du Bac)という駅だ。さてどうやって行けばいいのか…。──16時52分にCDG2駅を出た電車(St Rémy lès Chevreuse行き)は、最初はガラガラだったが、駅ごとにすし詰めの混雑になっていった。ガタイのよい、あまり身なりの良くない黒人が多いのでどうしても怯むが、iPadをいじっているインテリっぽい人なども目につくので、少なくともこの時間帯は、そこまで、取って食われるような状態の電車ではなさそう。それにしても、車内は落書きが多く、すえたにおいがして、どうも雰囲気が荒んでいる。中国の地下鉄のほうがよほどきれいではないか…。車窓の風景を楽しむような心の余裕は、ちょっと、無い。

 電車は地下に入って、約30分でパリ北駅(ガール・デュ・ノール)を過ぎた。勤め帰りらしい人々で満員になった。ぼくはボックスシートに座っているけれど、車両が狭いのでかなり圧迫感がある。ドア近くはすし詰めになっている。St Michel Notre Dameで下車し、通路がつながっているCluny la Sorbonne駅からメトロ10号線に乗り、Sevres Babyloneで12号線に乗換えて、Rue du Bac駅にたどり着いた。…たぶん、サン・ミシェル・ノートル・ダムからは歩いてもたいした距離ではないような予感はしたのだが、まあ、最初なので。──CDG2駅で買ったRERの乗車券は、サン・ミシェル・ノートル・ダム駅でメトロに乗換えるときにもう一度自動改札機があるのでそこで通す。最後のリュー・デュ・バックでの出口はバーを押し開けるだけだったので、乗車券は手元に残った。

 というわけで無事にホテルにたどり着き、チェックインできた。──空港でも、駅でも、ホテルのフロントでも、とりあえずすべて英語で話している。旅行の前に、「フランス人は絶対に英語を使ってくれないよ」と半ば都市伝説的に脅かされていたが、ひとまずなんとかなっている。まず最初にこっちから「ハロー。」と言ってしまえば、ああ外国人ね、という感じの応対になるんじゃないかと思う。──部屋に落ち着くと、部屋の窓からは低めのアパルトマンの家並の向こうに、モンパルナス・タワーが霧にかすんで見えた。どうも下町のようなエリアのようだ。高層ビルの無いパリの都心にあって、モンパルナス・タワーは目立つ存在だ。

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 まだ明るいので、まずは近くを歩き回ってみる。北へ向かっているつもりが、モンパルナス・タワーが近づいてくるので、反対方向へ行ってしまったことに気付いて戻ったりしていたが、…狭い路地の向こうに、大きな建物の屋根が見える。あれは、ルーヴルじゃないか!

 セーヌ川のロワイヤル橋を渡ると、チュイルリー庭園とルーヴル美術館がある。

 振り返ると、オルセー美術館がある。…本当にある! これだけでもう、ぼくはすっかり感動していた。

 実はオルセー美術館は木曜日は21時半まで開館しているらしく、この時間でも観光客が群れを成していたが、また日を改めて…。フランプリというスーパーマーケットをひやかしたり、ドラッグストアで歯ブラシと使い捨てのかみそりを買ったりしてから(パリにはコンビニエンスストアというものが無いらしい)、そろそろ食事をしたい。

 ホテルの近所で、とりあえずビアパブっぽいお店に入ってドイツビールを飲み、ビール1杯が11ユーロもするのか、高いなあ、と思いながら、そのまた近くにあるビストロと書いてあるお店の扉を押し開けると、鼠色のセーターを着て茶色の前掛けをかけたスティーヴ・ジョブズみたいなおじさんが、「ボンソワー」と声をかけてきた。英語のメニューはあるかと尋ねると、こちらをどうぞ、と英語併記のメニューを見せてくれた。感じのいいお店だ。

 へリングと温かいポテト、赤ワインを1杯。バゲットの切ったのは、どうやら日本で言うお茶、韓国で言うキムチみたいな感じで、突き出しで出てきておかわり自由みたい。それで13ユーロ。満足な夕食になった。