平日の午後に大手町界隈で自由になったので、東京ステーションギャラリーへ。メスキータとは、スペイン人のような名前だが、ユダヤ系オランダ人とのこと。木版画の強いコントラストにまず目を奪われるが、細部を見るとまた感心する。輪郭線がなく、彫るパターンによって、面や陰影、立体感があらわされている。木版にこんな表現があるとは知らなかった。
メスキータはナチスのホロコーストによって、収容所で妻子もろとも殺され、もぬけの殻になった部屋を訪れた弟子のエッシャーが、作品を持ち帰って守り抜いた、というエピソードがあるそうだ。展示の終盤にあった無気味なドローイングの数々は、どこまで諧謔でどこからシリアスなのかはかりかねるところもあった。