代々木八幡で電車を下りて坂を上って行くと、代々木公園はタイフェスで大変な混雑になっていました。苦労して人混みを通り抜けて、NHKホールへ。
・パンフィリ/戦いに生きて[日本初演]ファビオ・ルイージは今、N響の「首席指揮者」ということになっています。登場したコンサートマスターは篠崎さんでした。この方はN響のコンマス、長いですね。──パンフィリというイタリアの作曲家の曲は、現代音楽らしく同じ音型を繰り返さず多彩なリズムで展開されていく作品でしたが、よくわからないというのが正直なところ。1階席の中央付近で作曲者が聴いていた様子で、演奏後に拍手を受けていました。
・レスピーギ/交響詩『ローマの松』
・レスピーギ/交響詩『ローマの噴水』
・レスピーギ/交響詩『ローマの祭り』
指揮:ファビオ・ルイージ
レスピーギのローマ三部作はあまりにも有名な作品たちですが、一気に聴くのはあまりない経験です。思ったのは、やっぱりN響はうまいな…、と。『松』の冒頭でパーンと音が出た瞬間、すでに切れ味が全然違う。聴いてて気持ちいいんですよね。2階席の入口ドアからの階段の近くの席で聴いていましたが、曲中に、楽団の方が入ってきて、手に何か持っているので、おっ、と。“ジャニコロの松”の最後で、コップにストローのような器具で息を吹き込んで、小鳥のさえずりの音を出すものでした。この曲でそういう演出(もともとはレコードを回すものだったと聞いていますが)が入ることは知っていましたが、鳥笛というのはああいうものなんですね。──『噴水』の絹のようななめらかさ、『祭り』の瞬発力も、たいしたものでした。『祭り』は先日のLFJでも聴きましたが、やはりN響定期のほうが音の解像度が高く、聴いていてこっちのほうが面白い。カンツォーネが狂っていくようなところなど、聴いていてぞくぞくしてしまいます。──そういえばこの曲はマンドリンが入りますが、LFJと今回のN響、両方とも同じ奏者の方でしたね。
場内にはファビオ・ルイージの等身大(?)パネルが。──この日、終演後もカーテンコールがおさまらず、楽団が退場してからも拍手が鳴りやまずに、1階席のステージ前の下手側に客が集まっていました。帰り支度をしつつ見ていると、篠崎氏がルイージ氏を連れて下手からもう一度出てきて、歓呼を受けていました。N響定期でこういうの、珍しいのではないでしょうか。ルイージ氏、N響の首席指揮者に着任して2シーズンが過ぎようとしていますが、愛されているようですね。