night and sundial

じゃわじゃわ日記 -the 5th defection-

「蜷川実花 瞬く光の庭」@東京都庭園美術館 8/28

 蜷川実花の個展。昨年に上野の某美術館でやっていた展示は、なんだかんだで行けなかった(行こうと思ったときにはもはや日時指定チケットが取れなかった)のだよね。──今度の展示は、一味違ったと言うか…、たしかに蜷川実花は昔から「花」を撮っているけれど、昔のような、極彩色の、毒々しい色合いというよりも、やわらかい光、その先にあるものを求めているような、そんな写真ばかりだった。

東京都庭園美術館>蜷川実花「瞬く光の庭」

 インタヴュー映像で、「シャッターを切ることとは、見つけた光(=希望)を封じ込めたいという祈りだ」というようなことを言っていましたね。2017年の『うつくしい日々』も見ましたが、この人が見た美しい光、見て写真に閉じ込めたいと願った光、その視線が、やはり魅力的なのだった。

 また、同じくインタヴュー映像で、「人の手が入った花に興味があるということに、自分でも初めて気づいた。誰かが誰かのためを思って作った花にひかれる」と話していたことには、ちょっと感心してしまった。…これ、なんというか、人の世を愛するようになってしまった庵野秀明監督(?)みたいな話で、同時代のアーティストが歳月とともに変わっていくのを、目の当たりにしたような気がした。

 写真展に行ってパネルに引き伸ばされて展示されている写真を写真に撮るということがどれだけ意味のないことか、と思うのだけど、東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)という館での展示風景。


 背景に負けてるような…これは展示方法があんまりでは…


 ただ、サンルームのこの空間はいいと思った

 別館では映像が投影されていて、空間いっぱいに広がる色の洪水が。


 これはよかった。これ、観覧者がその空間に入ることで完成する作品なんだと思った。

もう15年以上前の個展の印象がいまだに強いのだけど、あのときの、すぐにでも死にそうな写真ばかり撮っていた写真家と、やわらかい光に祈りを求めている今の写真家が、同じ人物であるということが、すごく自然に受け入れることができて、
2022-08-28 16:36:44
それはぼく自身も一緒に15年あまり歳を取ったからかもしれないし、おそらくだからこそ、美しいと同時にぼくにとってはとても重たい展示だった
2022-08-28 16:37:48

 会場で流れていたインタヴュー映像は、YouTubeでも視聴可能。

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 この日は雨模様だったけれど、庭園の緑は美しかった。それにしてもこんなにきれいに芝生を維持するのって大変だと思うんだけど。