■町田市立国際版画美術館>長谷川潔 1891-1980展 ― 日常にひそむ神秘 ―
長谷川潔とは、1918年に渡仏してから、二度と日本に帰ることなく、フランスで活動し続けた版画家だそうだ。戦時中には敵国人として収容所に入れられたこともあったという(昭和20年のことだそうなので、パリ解放後ということなのだろう)。──ぼくは作品を目にしたことはこれまでにもあったと思うが、まとめて見るのは初めてだ。
初期の作品。
藤田嗣治の絵にもちょっと似てるよね
精緻なレースの描き方に驚く
斜めに交差した下地が、独特の視界を作っている。不穏に暗い空。
柵越しの世界。
枯れているのに不思議な生気を感じる、不思議な絵だ。細い線なのだけど、不思議と、硬さは感じない。
また面白いところでは、フランス語訳『竹取物語』(La légende de la demoiselle de lumière)が多数展示されていた。平安王朝風の挿絵を、長谷川潔が手掛けたものだそうで、こちらはわりと硬質な線で描かれている。
戦後の、黒い背景の世界──「マニエール・ノワール」の作品たちが、すばらしい。
ガラスに光が映り込んでしまって、なんだかぼんやりと撮れてしまうのだけど。──闇の中に浮かび上がっているのは、いったい何なのか、考えていた。
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窓ガラスに透明のシールで、この展覧会のポスターヴィジュアルのデザインが浮かんでいるのだけど、ちょっと見えにくいですね
美術館の背後、こんな散策路があるのか。でもここ(芹が谷公園)は、地形的に谷間なので、どうしても薄暗くじめじめしてしまうんだよなあ。